八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

球磨川流域の遊水池計画、現地住民の受け止めは

 球磨川流域では、2020年の大水害の後、川辺川ダム計画と共に遊水池計画が進められようとしています。
 被災地でもある人吉市、球磨村では、計約90世帯が移転を迫られることになっています。
 報道によれば、現地住民からはかなりの反発があるようで、計画の実現は容易ではなさそうです。けれども、大きな犠牲を住民に強いることになる遊水地計画の洪水調節容量は約600万㎥と、球磨川の治水対策としてそれほど効果を期待できないとの指摘もあります。

 関連記事より、住民の言葉を一部紹介します。

◆2022年8月22日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASQ8W53HHQ89TLVB00N.html
ー豪雨災害から2年 球磨川流域のダム復活と遊水池計画、住民どうみるー

 ●遊水池計画がある人吉市大垣地区の住民
 ー数百年続く農家を営む尾方広海さん(50)は、十分な説明がないまま進む経過に納得できない。「私たちが土地を手放して遊水地ができたらどんな効果があるのか、さっぱりわからない」
 最近、水害で壊れた住宅の建て替えに着手した尾方さんは「絶対に立ち退きませんから」と語る。

◆2022年8月27日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/979126/ 
ー豪雨で浸水の人吉市大柿地区、遊水地計画で揺れる 集団移転見通せずー

 ●町内会長の大柿章治さん(76)
 「生まれ育ったコミュニティーを失いたくない。私はここで死ぬと決めました」
 「せめて希望者だけでも大柿に残って、みんなで楽しく暮らせる集落を取り戻したい」

 ●仮設住宅に暮らす尾方民也さん(67)
 「あんな恐ろしい思いはしたくない。もう大柿には住めない」と、集団移転先での自宅再建を希望
 「安住の地を早く見つけたいが、補償額を示してもらわないと先に進めない」

 ●市と地区の協議で、住民の1人が訴えた。
 「数世帯ずつばらばらに移転したら、そこはもう大柿ではなくなる。数百年の歴史がある集落を簡単につぶしていいのか」