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群馬県、公文書414件誤廃棄か 八ッ場ダム関連資料127件も

 群馬県が公文書を大量に廃棄していた問題が一年以上経てようやく公表されました。

 県のホームページには、記者発表の内容が次のように掲載されています。
 https://www.pref.gunma.jp/contents/100257331.pdf

公文書廃棄の記者発表のサムネイル

 八ッ場ダムをめぐっては、もともと情報が公開されていないことが大きな問題であったのですが、この記事を読むと、行政における公文書管理の認識そのものが杜撰であったという深刻な事態です。

■2022年9月10日 上毛新聞
ー県公文書414件誤廃棄か 河川整備、管理、八ツ場ダム関連も 4割復元できず、陳謝ー

 県は9日、河川課が所管する河川整備や管理の記録など公文書414件を、保存期間満了前に誤って廃棄した可能性が高いと発表した。4割近くは電子データ化されておらず、復元できないという。70年近くを経て完成した八ッ場ダム(長野原町)関連の資料127件も含まれていた。同課は「職員の文書管理の認識が十分ではなかった。公文書は県民の貴重な財産で、重く受け止めている」と陳謝した。

 同課によると、廃棄されたとみられるのは1956年度~2019年度に作成された公文書。内訳は、調査関係153件、補助金・負担金関係111件、庶務関係73件、河川管理関係61件、工事・委託関係16件。電子データが残っていたため、このうち264件は復元できる。内容によって1~30年間保存する予定で、延長されていたものもあった。いずれも事務処理を終えているため、行政上ただちに影響はないとしている。

 公文書の内容は河川管理を巡る工事関係の記録や、国や地元との協議資料などで、最も古いのは水力発電所の水利権に関するものだった。八ッ場ダムに関する下流都県や国との協議資料など127件(8割以上は修復可能)も含まれる。

 県は昨年4月、公文書の管理を統一する県公文書管理条例を施行。公文書の管理や保管状況について調べた際、同年7月に一部が見当たらないことが判明。今年8月末まで同課内の全4562件を調査し、うち414件が誤廃棄され、溶解処理された可能性が高いことが分かったという。
 誤廃棄の要因としては、保存期間や廃棄予定の記載が誤っていたり、記載がなかったりするなど人為的なミスがほとんど。再発防止として、①電子決済による文書事務を徹底 ②廃棄時に複数人で現物を確認 ③延長を決定した際には公文書に延長年数・延長年の明記を徹底ーをするとした。

 記者会見した県土整備部の宮前勝美技監は「県民の信頼を失墜させるあってはならないことで誠に申し訳ない。再発防止に万全を期したい」と語った。(稲村勇輝)

◆2022年9月9日 NHK前橋放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20220909/1060012914.html
ー県が公文書誤廃棄か 保存期間内の河川関係の414件ー

 県の県土整備部が、保存期間内の公文書400件余りを誤って廃棄した可能性が高いことが分かり、県は再発防止策の徹底を進めることにしています。

県の県土整備部河川課によりますと、去年7月に河川課が文書整理を行った際、県庁内で保管していた公文書の一部について所在を確認できなかったということです。
このため、詳しく調査を行った結果、河川の調査や整備の補助金に関する公文書414件の所在が分からず、保管簿の記録などから誤って廃棄した可能性が高いことが分かったということです。
これらの文書は、昭和31年から令和元年までに作成され、すべて保存期間内の文書でしたが、保存期間の記載を間違えるなど不適切な管理状況だったということです。
廃棄した可能性がある文書のうち、264件については電子データで保存しているため復元できるということです。
県の県土整備部河川課の足立文玄課長は「今後は電子決済による文書事務を徹底するとともに、公文書を廃棄する際は、複数人で確認していきたい」と話しています。

◆2022年9月13日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC121KK0S2A910C2000000/
ー群馬県、公文書414件を誤廃棄か 河川関係の記録などー

 群馬県は、河川課が所管する公文書414件を誤って廃棄したとみられると発表した。保存期間の満了前に溶解処理された可能性が極めて高いという。このうち264件は電子データ化されており復元可能だが、4割近くが復元できない。

 誤廃棄されたとみられるのは1956~2019年度に作成された河川管理や工事、補助金などに関する文書。八ツ場ダム(長野原町)に関する資料も127件含まれていた。

 1~30年の保存期間が定められていたが、期間の延長時に廃棄予定を適切に記載しなかったり、保存期間・廃棄予定の記載を誤ったりしていたことが誤廃棄の原因という。県は電子決裁による文書事務を徹底するなどの再発防止策をとる。

 群馬県では21年4月に公文書管理条例が施行された。文書の保管状況を確認する過程で、同年7月に一部の文書の所在が確認できず、今回の誤廃棄が発覚したという。

◆2022年9月11日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20220911/ddl/k10/010/058000c
ー行政ファイル 県河川課が公文書を誤廃棄かー

 県河川課は9日、河川補修事業を巡る公文書など計414件を誤って廃棄した可能性が高いと発表した。うち150件は電子データなどが残っておらず復元できないが、いずれも事務処理は終わっており、直ちに影響はないという。昨年7月に文書整理を行った際、一部文書の所在が確認できなかったため、同課で管理する公文書全4562件を調査した。誤廃棄の可能性の原因として、保存期間や廃棄予定の記載ミスや未記載などが考えられるという。