八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

新年度開校 長野原中学校歌を作詞 詩人の谷川俊太郎さん

 八ッ場ダムのある長野原町には中学校が二つあります。一つは、吾妻川沿いの生徒が通う長野原東中学校、もう一つは浅間山麓の生徒が通う長野原西中学校です。生徒数の減少に伴い二つの中学校は今年4月に統合され、長野原中学校として開校されます。この中学校の校歌を、町内の北軽井沢に別荘のある谷川俊太郎さんが作詞し、お披露目が行われたとのことです。
 
 新たな中学校は長野原東中学校の校舎を使うことになります。この校舎は八ッ場ダム事業の一環としてダム湖畔に造成された代替地に建設された新しい建物です。JR長野原草津口駅の近くにあった旧校舎は、JR吾妻線の付け替え工事の事業用地にあったため、移転を余儀なくされました。
 東中学校は長野原第一小学校と長野原中央小学校の卒業生の進学先でしたが、水没四地区の児童が通っていた第一小学校は2021年3月に廃校になりました。
写真=建設中の長野原東中学校の校舎。2007年7月18日撮影。

◆2023年1月17日 上毛新聞 (紙面より転載)
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/229474
ー新年度開校 長野原中校歌を作詞 詩人の谷川俊太郎さん(長野原)ー

 群馬県長野原町は、東中と西中が統合して新年度に開校する長野原中について、新しい校歌を学校統合準備委員会で披露した。詩人の谷川俊太郎さんが作詞を、谷川さんの息子で音楽家の賢作さんが作曲を手がけた。

 俊太郎さんは同町北軽井沢に別荘を持ち、北軽井沢省の校歌の作詞も担当するなど縁があることから、町は新設する中学校の校歌を依頼した。

 校歌は「山々に見守られ、流れみなぎる川に抱かれて」と始まる。俊太郎さんは長野原で過ごした自身の経験を歌詞に込めたといい、「長野原の自然を心に秘めて、唄ってくださることを念じています」などとコメントを寄せた。

 準備委では、中学校の制服や学校旗のデザイン、スクールバス路線図などについても報告があった。

—転載終わり—

 上記の記事によれば、谷川俊太郎さんによる長野原中学校の歌詞は「山々に見守られ、流れみなぎる川に抱かれて」と始まり、長野原で過ごした自身の経験を歌詞に込めたといい、「長野原の自然を心に秘めて、唄ってくださることを念じています」などとコメントを寄せた、とのことです。

 新設の長野原中学校の下にあるのは流れのないダム湖です。谷川俊太郎さんは、童話作家の岸田衿子さんとともに、別荘地と同じ町内にあった水没地の川原湯温泉を訪ねることがあったそうです。岸田さんがなじみにされていた民宿雷五郎さんは、吾妻川の川べりにあり、民宿に隣接した畦畔林からは、岩壁に吊るされたロープを伝って吾妻川が流れる谷底に下りることができました。谷川俊太郎さんは作詞の際、かつての吾妻川の流れを念頭に置いておられたのでしょうか。

写真=水没地を流れていた吾妻川。一つ目の写真:2013年10月18日撮影、河床にグリーンタフが広がっていた。奥にJRの鉄橋と国道の千歳新橋、その上にダムの湖面橋として建設された八ッ場大橋。千歳新橋のたもとに民宿雷五郎があった。二つ目の写真:2008年8月30日、雨が降って水量が多かった。

 なお、長野原東中学校と今春統合する長野原西中学校の校舎は空き施設となるため、新たに新設される「浅間小学校」(応桑小学校と北軽井沢小学校を統合)の校舎として利用されるとのことです。
 これらの統合計画により、長野原町の小学校は4校→(2021年)3校→(2024年)2校に、中学校は2校→(2023年)1校になります。児童数の減少による合理化で致し方ないとはいえ、広く標高差も大きい町内で多くの児童生徒にとって通学が大変になりそうです。

 関連記事を転載します。

◆2022年10月8日 郡馬建設新聞
https://www.nikoukei.co.jp/news/detail/469574
ー西中活用し小学校統合  23年度に工事着手ー

 長野原町は、応桑小学校(応桑20-2)と北軽井沢小学校(北軽井沢1924-44)の2校を統合し浅間小学校とし、2024年4月の開校を目指している。統合先には西中学校(応桑1543-310)を活用。小学校へ仕様を変更する必要があるため、23年度に工事着手となる。22年度は実施設計を23年2月までの履行期限で神山設計(前橋市)に委託した。設計費には当初予算で確保した統合小学校整備実施設計費2475万円を充てる。

 町内にある小中学校の統合計画は、町長を委員長とし有識者や議員、町民などを含めた検討委員会を19年1月から開催し慎重に進めてきた。21年3月の準備委員会において、24年度に応桑小と北軽井沢小を統合し、浅間小としてスタートすることが決定した。児童数の減少や維持管理費などの諸課題に小学校統合で対応する。

 統合先となる西中は、23年度に東中学校(長野原1110-1)へ統合し23年度に長野原中学校として開校するため空き施設となる。西中はRC造3階建て、延べ床面積2877㎡、敷地面積6489㎡、運動場敷地面積が1万4924㎡で1978年に建てられた。

 浅間小学校としての開校に向け、教室の改修や遊具の設置、スクールバス待避所の整備などを予定している。校内には屋内プールが整備されているが10年以上使用されていないことから、中央小(大津4)のプールを活用する予定。生徒数は80人弱を想定しており、1学年1クラスの規模となる。2023年度に工事へ着手し、単年で完了となる。

 空き施設となる応桑小は、RC造2階建て、延べ床面積1718㎡、敷地面積3981㎡、運動場敷地面積が5186㎡で1990年に竣工。北軽井沢小は、RC造2階建て、延べ床面積2250㎡、敷地面積1万277㎡、運動場敷地面積1万2875㎡の規模で88年に完成している。統合後の小学校跡地利用は検討中。

 なお、東中と西中の統合については、改修工事などは行わず現状の施設を利用することとなっている。