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石木ダム 長崎県が反対住民に「収用地での耕作中止」求める文書送付

 長崎県が強行しようとしている石木ダムの事業用地では、今もダムに反対する13世帯の住民が暮らしを営んでいます。
 事業用地はすでにすべて強制収用の手続きが済んでいますが、住民らは立ち退かず、毎年、米や野菜をつくっており、昨秋も収穫されたコメが全国に発送されました。石木川の清流を引いた田んぼでつくられたコメは、その美味しさが評判となっており、毎年早々と完売します。
 しかし、長崎県内の報道によれば、このほど長崎県は住民らに、工作中止を求める文書を送ったとのことです。

◆2023年2月18日 長崎新聞
https://nordot.app/999495433103327232?c=684597186287141985
ー石木ダム 反対住民に「収用地での耕作中止」求める 長崎県が文書送付ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は17日、水没予定地に暮らす反対住民13世帯に、土地収用法に基づき所有権が国に移っている収用地の田畑で耕作を止めるよう求めたと発表した。15日付で文書を送付した。
 県河川課によると、2015年に事業用地となる農地の一部を収用。翌年から所有していた4世帯に明け渡しを求める文書を毎月送っている。残りの農地や宅地など全用地を収用した19年以降は13世帯に文書を送っているが、住民は米や野菜を作り続けている。耕作中止を求める文書は初めて。
 「事業用地の不法使用について」と題した文書で、県石木ダム建設事務所長名。県民の安全安心確保へ早期完成は行政の責務とし、工事で作物に被害が出ても「補償の対象とはならない」と警告。同課は「今後、工程に沿った施工が必要になる。具体的な場所、開始時期は妨害で支障が出る可能性があるので示せない」としている。
 一方、住民は反発。岩下すみ子さん(74)は「先祖代々切り開き、受け継いできた田畑。耕作するなということは身が削られるのと同じ」と話し、石丸勇さん(73)は「いよいよ13世帯の土地にも踏み込んでくる可能性がある」と警戒感をにじませた。

◆2023年2月18日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20230218/ddl/k42/040/391000c
ー石木ダム 「耕作停止」要求初通告 県、水没予定地13世帯に文書でー

(一部引用)
ーダムの事業用地は、県収用委員会が19年5月に13世帯の宅地や農地を含む約12万平方メートルの明け渡しを命じ、土地収用法に基づき所有権は同9月に国へ移った。一方、ダム建設に反対する13世帯は米作りなどをして現地で暮らしている。

ー住民の石丸勇さん(73)は「県はこれまで退去した住民の土地で工事をしてきたが、これからは13世帯の土地に着手するかもしれない」と警戒感を示した。文書の受け取りを拒否した岩本宏之さん(78)は「県は圧力をかけるばかりで、マスコミに取材させて反応を見ている。知事も県幹部から使われている」と不信感をあらわにした。

◆2023年2月17日 テレビ長崎
https://www.fnn.jp/articles/-/488069
ー「石木ダムの予定地で耕作をしないで」県が事業反対の住民側に文書送付…住民側は反発ー

 県と佐世保市が、東彼・川棚町に計画している石木ダムについて、県側は反対住民に、ダムの建設予定地で耕作などをしないよう求める文書を送りました。
 文書は15日、県の石木ダム建設事務所長が、事業に反対する13世帯の住民に送りました。

 2025年度の事業完成を目指す県は、工程に沿って工事を進めるため、住民に建設予定地で田畑を耕したり、農作業用の小屋を置くなど「不法使用」しないよう求めています。

 住民「自給自足の生活を続けているわけ、そこを米を作るな野菜を作るなと言われても、我々に死ねということといっちょ変わらん。一方的なことはおかしいですよ」

 県側が反対住民に用地の不法使用に関する文書を送るのは初めてです。

 県が土地収用法に基づいて家屋を含む建設予定地を取得してから3年以上が経っています。