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国の足羽川ダム、完成遅れ、事業費も増額

 国が福井県で進めている足羽川(あすわがわ)ダム事業をめぐり、起業者である国交省近畿地方整備局が事業費増額と工期延長が必要であることを公表したと報道されています。これまでのダム基本計画では総事業費約1300億円、26年度末の完成を予定していました。現時点では増額や延長の具体的な数字は明らかにされていません。

(6/14追記)国土交通省近畿地方整備局は6月14日に福井県知事と面談し、「完成が当初予定の2026年から3年ほど遅れ、事業費は2倍近くに膨らむことになった」ことを明らかにしました。事業費はダム基本計画策定当初の960億円から見ると、2.7倍以上に膨れ上がったことになります。

★国交省足羽川ダム工事事務所のホームページより「足羽川ダムについて」
 https://www.kkr.mlit.go.jp/asuwa/about/

 新聞記事で取り上げられている事業費等監理委員会の資料はこちらに掲載されています。

★国土交通省近畿地方整備局プレスリリース
 第17回「九頭竜川水系足羽川ダム事業等監理委員会」の結果概要について(令和5年6月1日)
 https://www.kkr.mlit.go.jp/asuwa/pdf/announce/20230602_2.pdf

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 〇プレスリリースより


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 足羽川は洪水対策を目的とする流水型ダムで、洪水時以外はダム堤に空いた放流口から川の水が流れます。治水目的のダムの完成が遅れることは、本来の目的がいつになっても達成できないということで、本当に治水が目的であるなら大問題の筈です。ダムが建設される川はダムを前提とした治水計画が立てられているため、ダムができるまで危険な状態のままということになります。

 工期延長や事業費増額のためにダム基本計画を変更する際は、まず有識者からなる委員会に諮りますが、上記の「プレスリリース」から察せられるように、ダム事業における「有識者委員」はダム事業者がみずから、ダム事業に支障のない人選を行います。計画変更は最終的に関係自治体の首長と議会の了承を得る必要がありますが、ダム事業の利権に深く関わる自民党議員多数の議会では、議会への諮問は形式にすぎません。一旦始まったダム事業は、どれほど問題が起ころうが、ブレーキをかけるのがきわめて困難です。

◆2023年6月2日 中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/article/701605?rct=f_news
ー足羽川ダム完成遅れる 整備局見通し、工期は非公表ー

 国直轄事業の足羽川ダム(池田町)の建設について、近畿地方整備局足羽川ダム工事事務所は一日、事業費の増額と工期の延長の見通しを示した。二〇二六年度としていた完成は遅れる見込み。専門家がコスト縮減などを検討する事業費等監理委員会で報告した。
 具体的な事業費と工期は非公表。原油・原材料の高騰や建設業界の働き方改革の動向が要因としている。関連して整備する水海(みずうみ)川導水トンネルで難工事が想定されるほか、ダム周辺で崩落対策が必要になったことなども影響した。
 委員会は同日、福井市の足羽川ダム工事事務所で開催。委員らは事業費の増額と工期の延長を「おおむね妥当」と判断した。ただ、作業員の働き方改革を踏まえた上で施工方法などを工夫し、事業費や工期を可能な限り縮減するよう求めた。
 現行の計画では、足羽川ダムは二六年度の完成を予定し、総事業費は千三百億円。二二年度末の工事進捗(しんちょく)率は、事業費ベースで71・5%となっている。 (水野志保)

◆2023年6月1日 福井放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/8dd8e298ddf7b5f557df09af8ade6fc05f5a4415
ー足羽川ダム完成遅れる見通し 働き方改革に伴い工期変更 当初2026年完成予定(福井県)ー

 池田町で建設が進む足羽川ダムは、2026年に予定していた完成が遅れる見通しとなった。建設業者の働き方改革に伴う工期の変更やダム周辺の崩落対策が必要になったため。建設工事の事業費や工程を精査する有識者の委員会で国土交通省が説明した。(6月1日)

 建設業者では、完全週休2日制が導入された。令和2年の大雨でダム左岸の法面では崩落が発生し、その対策工事が必要になった。
 足羽川ダムは、通常はダムに水をためずに川へと流す「流水型」のダムとしては国内最大級で、完成の遅れに伴って、1300億円とされていた事業費もかさむ見通し。

 出席した委員からは、ダムのコンクリート工事で工期の短縮が期待できることが提言された。国交省はアドバイスも参考に、コストの縮減や工期短縮に努めたいとしている。

◆2023年6月2日 福井新聞
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1797521
ー福井県池田町の足羽川ダム、完成時期が遅れる見通し 総事業費1300億円から増額か…働き方改革など影響ー

 福井県池田町で建設が進む足羽川ダムについて、国土交通省足羽川ダム工事事務所は6月1日、2026年度としていた完成時期が遅れるとの見通しを示した。建設現場の働き方改革の影響による工期確保のほか、追加対策工事でダム本体工事が遅延しているため。総事業費1300億円も増額の見通し。延長期間は明らかにせず、同事務所は「工期見直しなどの精査が終わり次第、県や池田町に説明する」としている。

 足羽川ダムを巡っては、04年の福井豪雨を機に必要性の機運が高まり、07年に現計画が正式決定され、治水専用ダムとして建設を進めてきた。大規模水害が全国で頻発する中、地元は一日も早い完成を求めており、延期見通しに懸念の声が高まりそうだ。

〈参考記事〉
池田町で足羽川ダム定礎式 200人が安泰祈願(2022年11月20日、朝日新聞)
 https://digital.asahi.com/articles/ASQCM7VRMQCMPISC005.html