八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

来春から水道事業を所管する国交省、民営化推進の補助金新設

 先ごろ、水道事業の今後にとって重要な情報がYahoo! ニュースで拡散されていました。

◆2023年9月22日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023092200777&g=pol
ー管理・更新、一体的に民間委託 上下水道で自治体を支援―国交省ー

 国土交通省は、上水道や下水道の施設について、管理・更新の一体的な民間委託を促すため、検討や調査を行う自治体向けの補助金を新設する方向だ。自治体が民間に委託するのに先立ち、施設の老朽化状態などを調べる必要があるため、こうした経費を全額助成する。2024年4月に厚生労働省から上水道関係業務が移管され、国交省が下水道と併せて所管するのを機に、自治体による上下水道事業の経営効率化を支援する。

 国交省は上下水道施設について、維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委ねる「ウオーターPPP(官民連携)」を推進する方針。24年度予算概算要求では、検討や調査を行う自治体を対象に、5000万円を上限に補助する経費を盛り込んだ。委託時の官民のリスク分担や利益分配などの契約内容の検討費用も補助対象に含める。上水道と下水道の両方を合わせて民間へ委託する場合、これとは別の支援策を講じる。
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 水道事業はこれまで厚労省の所管であったとはいえ、水道の給水量が減少の一途をたどっている中で、水需要の増大を前提としたダムなどの水源開発事業に厚労省から異議が唱えられたことはありませんでした。
 2019年に施行された水道法の改正はわが国の水道事業に民営化の道を開くものでしたが、水道事業が国交省の所管になることで、さらに民営化が推進されることになるようです。
 しかし、水道の民営化は利益を優先するために貧しい人々を切り捨てたり、衛生面が蔑ろにされるなど、すでに世界中で失敗例が相次ぎ、世界の流れは再公営化へと向かっています。最も重要なライフラインである水道事業の維持こそ「公」が担うべきものです。
 八ッ場ダムをはじめとする全国のダム事業を推進して、水道事業の経営を圧迫する政策を進めてきた国土交通省は、わが国が誇る水道事業をさらに苦境に追いやる道を進むのでしょうか。
 
〈参考記事〉
◆2023年5月19日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023051900105&g=eco
ー水道整備、国交省へ移管 厚労省業務見直し―改正設置法成立ー

 厚生労働省が所管する上水道・食品関連の業務を国土交通省や環境省に移管する改正設置法が、19日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。厚労省の業務内容を見直し、社会保障や雇用などの分野に集中できる体制を整えるのが狙い。2024年4月施行。

 厚労省が所管する水道業務のうち、老朽化対応や災害時の復旧支援などを含めた上水道整備・管理を国交省に移し、国交省が上下水道を一体的に担う体制に改める。水質基準の策定といった環境保全業務は環境省、食品衛生基準に関する業務は消費者庁にそれぞれ移管する。

〈参考ページ〉
 「水道法の改正、今年10月1日に施行」(2019年10月25日)