八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

試験湛水中の立野ダム、名称を「阿蘇立野ダム」に変更へ

 観光庁が八ッ場ダムと共に、ダム完成前からPRに力を入れてきた立野ダム事業は、現在事業の最終段階である「試験湛水」の最中です。
 立野ダムは熊本市を流れる白川の上流の立野渓谷に建設されました。この渓谷は、わが国有数の火山である阿蘇山の外輪山の切れ目であり、2016年の熊本地震の被災地でもあります。
 報道によれば、昨晩3日夜に立野ダムは満水に達したとのことで、
 また、ダムを管理する国土交通省は、熊本市など白川流域の4市町村と熊本県でつくる「白川改修・立野ダム建設促進期成会」の要望を受け入れ、ダムの名称変更を行うことになったということです。
 確かに「阿蘇」という地名は抜群の知名度を誇りますが、地震や火山活動と深いつながりがある立地は、ダムの安全性に不安を投げかけるものです。

 熊本県の市民団体が立野ダムの建設に反対する理由を解説したページはこちらです。

◆2023年2月3日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20240203/5000021229.html
ー「立野ダム」試験湛水で満水に 一般向けのダムツアーもー

 治水対策として白川の上流に建設されている「立野ダム」は、強度などを確かめる「試験湛水」によって3日までにほぼ満水になり、一般向けのツアーが行われました。
 治水対策として南阿蘇村と大津町にまたがる白川の上流に建設されている立野ダムは、平常時は穴から水をそのまま流す流水型ダムで、来年度から本格的な運用が始まる予定です。

 先月15日から穴を閉じて満水にし、強度や安全性を確かめる試験湛水が行われていて、3日までに水位が276メートル近くまで上がり、ほぼ満水になりました。
 これにあわせて一般向けのツアーが行われ、ガイドが阿蘇地方に降った雨が集まる立野の地形や過去の水害について触れながら、流水型ダムの仕組みなどを説明しました。

 また、ダム最上部の天端橋梁も歩いて渡りました。
 ツアーを主催した「みなみあそ観光局」の小笹和幸事務局長は「試験湛水の貴重な光景を通してダムの仕組みや治水機能を知ってもらいたいです」と話していました。

 立野ダムは5日の午前10時からおよそ3日間かけて満水となった水位を下げるため、ためた水を流す予定です。
 この間、白川の水位が上昇し、熊本市中心部付近の遊歩道は冠水するおそれがあるということで、国土交通省は川に近づかないなどの注意を呼びかけています。

◆2024年2月4日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1316787
ー立野ダム試験湛水で満水に 熊本県南阿蘇村・大津町 5日から約3日間かけて放流ー

 国土交通省が白川上流に建設し、試験湛水[たんすい]中の立野ダム(熊本県南阿蘇村、大津町)が3日夜、最高水位に達して満水となった。満水の状態を24時間以上保った後、5日午前10時から約3日間かけて放流し、貯水前の状態に戻す。

 立野ダムは普段は本体の放流口から川の水を流し、洪水調節時だけ水をためる流水型ダム。国交省はダムが最高水位になる規模の大雨は「150年に1度」と想定しており、満水状態はめったに見られない。

 試験湛水は3月末完了を目指しているダム事業の最終工程で、ダムの機能や安全性を確認するのが目的。1月15日からダム本体の3カ所の放流口をゲートで閉じて徐々に水をため、20日目で最高水位に達した。ダムの総貯水量は1010万トン。国交省立野ダム工事事務所によると、水位上昇に伴う異常は4日午前9時現在で確認されていない。

 5日からの放流では、ダムより下流の白川の水位が上昇するため、工事事務所は川に近づかないよう呼びかけている。冠水の恐れがある遊歩道には、立ち入りを禁じる看板を置く。(臼杵大介)

◆2024年2月2日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1314362
ー白川上流の立野ダム、名称を「阿蘇立野ダム」に変更へ 試験湛水は4日ごろ満水予定ー

 国土交通省立野ダム工事事務所は2日、白川上流の立野ダム(南阿蘇村、大津町)の名称を「阿蘇立野ダム」に変更する方針を学識者の会合で示した。学識者から異論は出ず、事業完了を目指す本年度中に決定する見通し。一方、試験湛水[たんすい]中のダムが4日ごろに満水になる予定と発表した。
 ダムの名称については、熊本市など白川流域の4市町村と熊本県でつくる「白川改修・立野ダム建設促進期成会」が昨年8月、「知名度の高い『阿蘇』を加えればダムが広く知られ、観光資源としての活用も期待できる」と国交省に変更を要望。阿蘇郡市からも同様の要望があり、変更を検討していた。
 この日、ダムサイト近くの旧立野小で開いた「白川・緑川学識者懇談会」(委員長・小林一郎熊本大名誉教授)で説明。委員からは「立野と比べ、阿蘇という地名は全国的に有名」「地域資源としてインフラを生かすべきだ」との意見が相次ぎ、賛成でまとまった。終了後、工事事務所の長岡一成所長は「学識者の意見を踏まえ、決定の手続きを進めたい」と述べた。
 工事事務所によると、立野ダムの貯水率は2日午前9時時点で約93%。満水になったらその状態を丸1日維持し、5日午前10時から約3日間かけて放流し、水位を下げる。(臼杵大介)