八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

JR吾妻線の存続へ展望確認 「いかす会」がシンポジウム 群馬・長野原町

 八ッ場ダムの関連事業の中で、最も大規模な工事だったものの一つがJR吾妻線の付け替え工事でした。ダム水没地にあった川原湯温泉駅の上下約10.4キロ区間(岩島駅~長野原草津口駅)を山中の線路に付け替えるためにダム事業から375億円余が投じられ、難工事のトンネルが貫通しました。
 この新線が開通してから10年後の2024年、JR東日本が吾妻線の一部区間の廃線を検討していることが明らかになりました(➡参考ページ)。
 不採算区間であるとして廃線の検討対象となっているのは、長野原草津口駅から終点の大前駅までの区間です。ダム湖の上流端は付け替えた線路の上流端でもある長野原草津口駅の駅前にあたります。

 これまでの報道では、沿線住民が廃線に反対しているという声はほとんど紹介されてきませんでしたが、市民団体の集会についての以下の記事を読むと、表立った報道と沿線住民の心情にはかなり隔たりがあるようです。開業から81年目の吾妻線は、ダム事業による高額な鉄道付け替えによって存続しましたが、ダムができることで地域は疲弊し、人口は減少し、乗客数は大きく落ち込んでいます。何のための公共事業なのかという疑問が改めて湧いてきます。
 

◆2026年8月3日 上毛新聞
ーJR吾妻線の存続へ展望確認 「いかす会」がシンポジウム 群馬・長野原町ー

 JR吾妻線の沿線住民や町村議らでつくる「吾妻線をいかす会」は2日、群馬県長野原町の住民総合センターでシンポジウム「吾妻線とわたしたちのくらしを考える」を開いた。約40人が参加し、JR東日本や行政が今後の在り方を議論しているJR吾妻線長野原草津口―大前間(13.3キロ)を巡り、現状や存続に向けた今後の展望を確認した。

 パネルディスカッションでは、嬬恋村文化財保護審議会委員の下谷通さん、長野原町で農園を営む岩田修一さん、中之条町議の原沢香司さんが登壇。同区間の現状や行政の対応などについて意見を述べた。下谷さんは「会議の中身について、JR東や行政から報告がないので、住民は不安を募らせている。『しょうがない』という雰囲気をつくるのではなく、必要な情報を伝えるべきだ」と訴えた。

 後半は参加者を交えた討論が行われ、廃線の危機感を共有。行政の姿勢に対して「住民福祉の向上を最優先すべきだ」「議論の経過を住民に伝えるべきだ」といった意見が出た。今後の利活用や活性化についても意見を交換した。

 同区間はJR東と国、県、長野原、嬬恋両町村などが「沿線地域交通検討会議」を置き、今後の在り方を議論している。

 いかす会は同社が県と沿線自治体に協議を申し入れたのを受け、2024年4月に発足。署名や同社との懇談など、同区間存続に向けた活動を続けている。鏑木澄雄共同代表は「廃線で困る人は多いが、それを訴える場所が少ない。(同区間を)必要としている人たちのために、できることをやっていく」と話した。(中村響平)

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◆2025年12月19日 しんぶん赤旗
ー吾妻線なくさないで/住民が国交省に署名5千筆ー

 群馬県渋川市と嬬恋村の間を走るJR吾妻線の一部区間で利用者が減り赤字になっているとして、JR東日本や自治体などが在り方を協議している問題で、沿線住民が18日、路線の存続と利便性向上を求める署名5094筆を国土交通省に提出しました。廃止すれば通学・通勤・通院だけでなく、防災や観光にも悪影響があり、過疎化がさらに進むと指摘しました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員が同席しました。

 参加者は「吾妻線をなくさないでほしい」(沿線の高校生)、「今は乗っていないけど、将来は乗らないと生活できない」(沿線住民)との声を紹介。吾妻線をいかす会の伊藤洋子共同代表は「特急が減り有人駅が減り、利用者が減った。利便性を高めて誰でも使える路線にしてほしい」と訴えました。減便により高崎方面の高校に通うのが難しくなり、高校近くに下宿せざるをえない生徒の実態を報告しました。

 事務局の原沢香司さんは「JRへも署名提出と懇談を求めたが受け入れられなかった。住民の声を聞くように指導してほしい」と要望。国交省担当者は「要請内容を伝える」と応じました。

 JR東日本高崎支社は本紙の取材に、個人や団体との懇談については個別に判断しているとしています。