今年2月の総選挙では自民党が圧勝し、ダム問題に取り組む多くの議員が落選してしまいました。そうした中、嘉田由紀子参議院議員は数少ないダム問題に取り組む国会議員の一人です。嘉田議員が8月11日に倉渕ダム予定地を視察したことを現地で案内した「烏川源流の会」が詳しくレポートしています。
★参議院議員・嘉田由紀子さん一行の烏川源流の視察
http://www.karasugawa.shop/kadachousadan.html
視察に同行したジャーナリスト、まさのあつこさんのレポートはこちら。
近年、国土交通省は流域全体で治水対策に取り組む「流域治水」を提唱していますが、これは嘉田由紀子氏が滋賀県知事時代に実現した「流域治水政策」を表面的になぞったものです。滋賀県では嘉田氏の粘り強い取り組みによってダム依存の治水対策から脱却し、流域住民の暮らしと命を守るきめ細かな対策が実現されてきました。けれども国土交通省の「流域治水」はいまだ名前倒れで、全国で問題の多いダム事業が継続・復活しているのが実態です。
◇写真右上=倉渕ダムが計画されている烏川でみつけた魚について案内者に尋ねる嘉田議員。手にしているのはドンコでしょうか?
20年以上前に中止された利根川水系の倉渕ダムも、復活したダム計画の一つです。嘉田議員らの視察を地元紙も詳しく報じています。記事にもあるように、倉渕ダム視察の翌日には利根川上流の薗原ダム、奈良俣ダム、須田貝ダム、藤原ダム(いずれも群馬県みなかみ町藤原)のほか、倉渕ダムとともに復活した戸倉ダム予定地(群馬県片品村)も視察しました。
◆2026年8月13日 上毛新聞社会面より
ー倉渕ダム計画地を視察 嘉田参院議員ら識者6人ー
元滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員をはじめ、ダム行政に詳しい識者ら6人が11日、事業再開に向けた動きがある倉渕ダム(高崎市)の計画地や自然環境の状況などを視察した。
一行は、絶滅危惧種クマタカの観測などに取り組むNPO法人アグレコと市民団体「烏川源流の会」のメンバーの案内で、過去の計画時に造られた付け替え道路や、計画地周辺の動植物、烏川の源流などを見て回った。
視察後、地元の公民館で利根川の治水の歴史に詳しい愛国学園大(千葉県)の梶原健嗣教授が講演。地域住民らに対し、本県で過去に過去に中止となったダム計画や国の治水の考え方などを説明した。洪水の被害防止には「歴史を知り、現場を歩き、地域の弱みを知ることが基本」と強調した。
水を巡る問題に長年向き合ってきた嘉田氏は「(ダム計画において)国は水量計算ばかりで、過去の被害を見ていない」と指摘した。市内の視察については「住民が自分事としてダム政策をとらえ、現場をしっかりと調べている。その行動力はすごい」と述べた。
星槎大学大元教授の保屋野初子氏や河川ダム問題のジャーナリストなどで構成する一行はこの日、八ッ場ダム(長野原町)も訪れた。12日は倉渕ダムと同様に事業再開の動きがある戸倉ダム(片品村)や、ともにみなかみ町の藤原ダムと奈良俣ダムなども視察した。(小山大輔)
*倉渕ダム予定地の撮影日は8月11日、以下の写真の撮影日は8月12日。
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◇写真下=戸倉ダム予定地を流れる利根川水系・片品川。この地点の上流側で東京電力の戸倉発電所(昭和37年~)が水力発電を行っている。尾瀬の玄関口、大清水も近い。

◇写真下=戸倉ダム予定地周辺の原生林。巨木を見上げる嘉田議員。


◇写真右=人里離れた片品川上流では砂防堰堤の工事が行われていた。高さ15メートル以上のものをダム、15メートル未満のものを堰と呼ぶが、かなり大規模な工事。
◇写真下=戸倉ダムが計画されている片品川の下流側には、1966年に発電と洪水調節を主要目的として完成した薗原ダムがある。薗原ダムにより85世帯が水没。水没補償の対象には老神温泉の一部(旅館5軒)も含まれていた。水没住民の反対闘争は熾烈であり、八ッ場ダム水没住民の反対闘争は薗原ダムの反対闘争に学んだという記録もある。


◇写真下=利根川本流の最上流部、みなかみ町藤原には巨大ダムが連なっている。写真は1958年に完成した国直轄の藤原ダム。上流に東京電力の須田貝ダムと(独)水資源機構の矢木沢ダム、奈良俣ダムがある。藤原ダムは上流の複数の巨大ダムからの放流水を受け止めるだけでなく、玉原ダム(利根川水系発知川)との高低差を利用して揚水発電も行っており、ダムの操作が複雑とされる。かつては水没住民がダム湖観光を目指した時期もあったが、今では観光施設がなくなっている。水没159戸。

◇写真下=東京電力の須田貝ダム(1955年完成)。須田貝ダムの地点で利根川本流に楢俣川が注ぐ。

◇楢俣川にはロックフィルの奈良俣ダムがある。ダム堤158メートルは利根川水系で最も高い。
周辺は谷川岳、朝日岳など上越県境の山並みが連なり、豪雪地帯として知られる。雪解け水を受け止めるこれらのダムは、山から流下する水を時間をかけて下流に放流して水力発電に利用され、都市用水や農業用水を首都圏に供給している。
近年はダムの運用目的として「洪水調節」が注目されるが、山に囲まれた奥利根地域では洪水期(7月~9月)に大雨が多く降ることは少なく、ダム建設の目的とされる利根川中下流(首都圏の平野部)における水位低減効果はごく限定的である。
