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「八ッ場ダム建設 代替地造成4割縮小」(上毛新聞)

2005年12月28日 上毛新聞より転載
「八ツ場ダム建設 代替地造成4割縮小」

 長野原町での八ツ場ダム建設に伴う水没五地区(川原湯、川原畑、林、横壁、長野原)の代替地分譲基準連合交渉委員会(萩原昭朗委員長)が二十七日、同町の同ダム総合相談センターで開かれ、国土交通省が提示した代替地造成計画の変更案を了承した。変更案では、水没対象者の意向調査結果を受け、計画で約五十四㌶だった代替地の造成面積を四割程度縮小、約三十四㌶にした。国交省は今回の変更案を踏まえ、年明けに補足意向調査を実施する。分譲開始は来年夏の予定。

 八ツ場ダム建設の特徴とされた、ずり上がり方式による現地での生活再建計画は一部の見直しを余儀なくされ、国交省は「工事が遅れたことには反省点がある」と説明。変更案の了承を受け、萩原委員長は「住民が流出した結果だから、縮小は仕方ない」と語った。

 変更案で各地区に分譲される代替地の面積は川原湯五・三㌶、川原畑二・八㌶、林六・三㌶、横壁四・五㌶、長野原四・五㌶。横壁を除く四地区で大幅に縮小された。同ダム工事事務所によると、住民が希望した代替地以外に約十㌶の代替地を造成する予定。

 さらに、今回の変更で川原湯地区で川原湯温泉駅前に計画されていた観光会館、クアハウス、サイクルセンターなどの予定地、川原畑地区ではコミュニティーセンターや消防施設の予定地が、それぞれ事業地から外れたため、両地区は今後、各施設の位置を検討する。

 変更案については、九月上旬の国交省と水没五地区による代替地分譲基準調印を受け、実施された国交省による水没対象者への意向調査結果の提示後、水没五地区と国交省が協議を続けてきた。

 意向調査の結果、希望があった代替地の面積が計画面積の四割程度だったことから、希望がなかった地域の造成を取りやめるなどして、二〇〇〇年に国交省が提示した第二次土地利用計画修正案に変更を加えた。

◎生活再建を本格支援へ 県と長野原町
 国交省が示した代替地造成計画の修正案を地元が了承したのを受け、県と長野原町は今後、水没地区住民の現地生活再建に向けた取り組みを本格化させる。

 生活再建は国交省のダム事業のほかに、水源地域対策特別措置法による事業や利根川・荒川水源地域対策基金事業などで実施される。

 県によると、これまでに実施された事業の進ちょく率は全体の四割強。来年度から国や同町、地元住民と協議しながら、実際のまちづくりに必要な事業へのメニューの見直しを進める。

 同町が整備するのは町道、上下水道、消防施設、集会所、観光会館、クアハウスなど。各地区で住民が居住するエリアが確定した後に地元と協議し、それぞれの施設を建設する場所、規模などを決める。