「足踏み再建シナリオ まちづくり不安の声」(上毛新聞)

2006年1月23日 上毛新聞より転載

「長野原・八ツ場ダム建設 足踏み再建シナリオ 
ーまちづくり不安の声 代替地造成計画を縮小 公共施設位置は再検討」

 長野原町での八ツ場ダム建設に伴う代替地造成計画の変更案が昨年末、水没五地区(川原湯、川原畑、林、横壁、長野原)の代替地分譲基準連合交渉委員会(萩原昭朗委員長)で了承された。変更案は、五十四㌶で計画された代替地造成面積を四割程度縮小し三十四㌶にした。この縮小で、多くの公共施設が事業地から外れ、五地区は施設位置を再度検討するなどまちづくりの再考を余儀なくされている。川原湯地区は施設位置の代案提示を国土交通省に要望、今夏に予定される第一期分譲を前に、不安も見え隠れする。現地再建のシナリオはまだ確定しない。

 「多くの施設の予定地が事業区域から外れた。新しい川原温泉駅の周辺がどんな状況になるのか不安だ」
 川原湯の代替地の一つ、上湯原地区の計画変更後の地図を広げ、地元の飲食店主は困惑した表情を浮かべる。

 代替地造成計画は、昨年九月の分譲基準調印を受け国交省が水没対象者に実施した意向調査結果に伴い変更した。希望がなかった地域の造成を取りやめるなどして、横壁以外の四地区の代替地を三割から五割程度の面積に縮小した。

□イメージに影響□
 変更案で一番大きな影響を受けたのは川原湯地区の上湯原代替地。この代替地は、温泉街がある打越代替地と道路でつながり、JR吾妻線川原湯温泉駅を核に観光会館、クアハウス、サイクルセンターなどの観光施設や商店街がある商業区域と考えられてきた。

 変更案では、新駅周辺のこれら観光施設と商店街エリアとされた区域が事業地から外れた。

 国交省八ツ場ダム工事事務所は土地取得希望者が少なかったことなどを理由に挙げ、「これらの施設は造る前提で動いている。地元の要望に合わせ場所を変更して建設できるので、地元と協議のうえ位置を確定したい」としている。

 しかし、地元では新川原湯温泉の顔とも言える、新駅周辺の大幅な変更を不安視する声が出ている。ある住民は「下りても何もない駅では温泉街のイメージに影響する。多くの人が利用できる雰囲気にしてもらいたい」と語った。旅館経営者でもある豊田治明川原湯地区ダム対策委員長は「転出者が増えたから代替地を縮小しただけというのでは困る。温泉街再生につながる考えを国に出してほしい」と訴える。

 川原湯地区ダム対策委員会は、施設位置の代案提示を求めて国交省に要望書を提出した。同省は変更案了承に伴い実施した補足意向調査の結果がまとまり次第、回答を提示するという。

□規模見直しも□ 
 川原湯地区は二年前、町、県、国などとまちづくり検討会を組織。打越代替地のまちづくりプランをまとめた。

 上湯原地区のまちづくりプラン作成にはまだ着手していないが、川原湯在住の五地区連合交渉委員会の高山欣也事務局長は「新年度中には完成させたい」と語り、多数の合意が得られればプラン作りに早く取り掛かりたい考えだ。

 上湯原地区のまちづくりプラン作成を前に、地元では観光会館、クアハウス、サイクルセンターの規模見直しを求める意見も出ている。

 千人規模の会議に対応できる観光会館は面積約三千六百平方メートル、日帰り温泉施設であるクアハウスは約千平方メートルと、多くの観光客を想定した規模になっている。

 意向調査結果で川原湯の世帯が四十軒以下になることが予想され、高山事務局長は「身の丈にあった規模にしたい」と話す。住民の意向を尊重し、地元の負担にならない運営形態になるよう検討したい意向だ。

(中之条支局 新井正人)