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「中止ダム周辺整備・・・大阪『負担金払わず』、滋賀と対立」(讀賣新聞)

 ダム計画は川の上流である水没地の住民と下流の住民を「犠牲者」と「恩恵を受ける者」という立場の違いで分断してきました。中止となった後でも、この対立は続きます。ダムをはじめとする公共事業に依存してきた地域の再生は、これからの社会の大きな課題です。

2006年3月14日 讀賣新聞より転載
「中止ダム周辺整備…大阪『負担金払わず』、滋賀と対立」

 国が昨夏に建設中止の方針を示した琵琶湖・淀川水系の大戸川ダム(大津市)を巡り、大阪府は、周辺に道路や公園をつくる周辺整備事業を進める滋賀県に対し、今年度の府負担分2億3100万円を支払わない方針を固めた。

 「ダム建設を前提にした整備費に金を出せない」とし、1億1300万円を今年度予算化した京都府も同調する方針。同県は「両府の負担を見込んで工事を進めた」と支払いを求め、譲らない構え。全国でダム事業の見直しが進むなか、計画地と下流域の間で同様の対立が相次ぎそうだ。

 大戸川ダムは1989年、大阪、京都両府に新たな水道水を供給することなどを目的に国が着工。約740億円の総事業費のうち、2004年度までに556億円が用地取得費などに投入された。

 大阪府はダム本体事業費のうち181億円を負担する計画に基づき、04年度までに135億円を国に支出。さらに同県などが進めるダム周辺整備費計206億円のうち、22億3000万円を負担することになり、すでに9億5000万円を払った。