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「水道料金:7倍以上の地域格差 8割以上の市が民間委託」(毎日新聞)-5/14

2006年5月14日 毎日新聞より転載

 全国779市と東京23区の水道料金に7倍以上もの地域格差があることが、毎日新聞の調査で明らかになった。水道事業は原則として自治体が独立採算制
で運営しているが、規模や水源の得やすさに違いがある。過剰なダム開発や節水技術の向上による水需要の減少で財政難に悩む自治体も多く、8割以上の市は
浄水場管理や料金徴収を民間委託し、経営効率の改善を図っていた。一方で、「職員の技術力の低下」など、民間への依存を危惧(きぐ)する回答も目立っ
た。
 調査は4月下旬から5月上旬にかけ、毎日新聞の支局などを通じて実施した。4月1日現在の水道料金や水道事業の民間委託状況を全市(複数の自治体が作
る水道企業団を含む)と東京都、千葉県、神奈川県に聞いた。
 合併などの影響を考慮し、水道料金(簡易水道を除く)は1123地区(東京23区は全体で1地区)に分けて分析した。一般家庭(水道口径13ミリ)が
月に20トン使用した場合の料金(メーター代込み)は、最高が山形県酒田市松山地区の6132円、最低が兵庫県赤穂市の829円、単純平均は2992円
だった。
 5000円以上は34地区で、27地区は北海道、東北、九州が占めた。料金が安価な地区は富士山周辺など地下水が豊富な所が多かった。4000円台は
139地区、2000~3000円台は825地区、2000円未満は125地区だった。
 人口100万人以上の市は格差が小さく、最高が札幌市3486円、最低は大阪市2016円。他に横浜市2578円、東京23区2309円だ。
 一方、浄水場の管理や水質検査、水道メーターの検針、料金徴収など何らかの業務を一部でも民間に委託しているのは644市(企業団含む)と3都県に
上った。02年4月の改正水道法施行で、浄水場の運転や水質管理など技術力を要する業務も民間企業に一括委託できるようになったことが委託を促進した。
 委託業務がある市の9割以上は「経費節減」や「人員削減」につながったと回答したが、一方で「専門技術が継承できない」「危機管理の対応が不十分にな
る」など、自前の技術力の低下に懸念を示す市も48あった。
 総務省によると、04年度は地方公営企業法が適用される1752水道事業の20%は収支が赤字だった。日本水道協会によると、05年4月までの1年間
に93事業が料金を改定、平均値上げ率は5・9%だった。【まとめ・山本建】
 ◇水道料金高値上位10地区◇
  地 区        料金(円)
(1)酒田市松山地区   6132
 (山形県)
(2)上天草市大矢野地区 6090
 (熊本県)
(3)夕張市(北海道)  6048
(4)武雄市武雄地区   5953
 (佐賀県)
(5)多久市(同)    5880
(5)嬉野市塩田地区(同)5880
(7)村山市(山形県)  5754
(8)天草市御所浦地区  5670
(9)桜川市真壁地区   5640
(茨城県)
(10)小城市三日月地区など5460
(10)上天草市竜ケ岳地区 5460
 ◇水道料金安値上位10地区◇
(1)赤穂市(兵庫県)  829
(2)伊豆の国市大仁地区 882
 (静岡県)
(3)富士吉田市(同)  1022
(4)秦野市(神奈川県) 1050
(5)黒部市(富山県)  1081
(6)伊豆市土肥地区   1154
(7)沼津市沼津地区(同)1210
(8)富士市(同)    1260
(9)岩国市(山口県)  1281
(10)関市関地区(岐阜県)1320
※料金は1カ月に20トン使用時、メーター代込み