「八ッ場ダム前課長逮捕」(上毛新聞)-7/6

2006年7月6日 上毛新聞一面より
「八ッ場ダム前課長逮捕 国交省工事で収賄容疑 警視庁」

 国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所(長野原町)が発注する用地調査業務などをめぐり、便宜を図った見返りに無利子、無担保で業者から約六百万円を借りたとして、警視庁捜査二課は五日、収賄容疑で千葉県流山市中野久木、同事務所前用地第一課長(現同省首都国道事務所用地第二課長)、斉藤烈容疑者(44)を逮捕、同事務所などを家宅捜査した。

 捜査二課は贈賄容疑で東京都練馬区、協立測量(東京)元専務、阿部善宏被告(46)=別の収賄罪で起訴=を任意で調べており、同容疑で書類送検する方針。
 同課は、斉藤容疑者が関東地方整備局内の入札予定価格を算出できる内部資料などを入手できる立場にいたことから、阿部被告がこの資料を受け取り、入札に利用したとみて参加した入札の特定を急ぐ。

 調べによると、斉藤容疑者は八ッ場ダム工事事務所用地第一課長だった2004年11月から今年3月にかけ、協立測量に便宜を図った見返りとして、阿部被告から数回にわたり無利子、無担保で約六百万円を借りた疑い。容疑を認めているという。

 斉藤容疑者は1991年から阿部被告と面識があり、02年ごろから融資を受けていた。これまでに二千数百万円を借りたが、返済したのはわずかで、残りは飲食費や借金返済に充てていたという。

再発防止努める
 門松武・関東地方整備局長の話 職員が収賄容疑で逮捕されたことは、行政の信頼を裏切るもので極めて遺憾。厳正かつ適正に対応するとともに、このようなことが二度と起こらないよう再発防止に努めたい。

21面より
”ダムの町”に動揺 「交渉に影響」懸念の声
 ”ダムの町”に動揺が広がった。国土交通省関東地方整備局発注の用地調査業務をめぐる贈収賄事件。警視庁に収賄容疑で逮捕された斉藤烈容疑者(44)=千葉県流山市=は今年三月まで
2年間、八ッ場ダム建設に伴う長野原町の水没地区住民との交渉を担当していた。関係者は「あのまじめな人がなぜ」と驚く一方、「交渉に影響が出る」と今後を懸念する声も上がった。

 関係者の話を総合すると、斉藤容疑者が課長を務めていた八ッ場ダム工事事務所用地第一課は、水没五地区のうち長野原、林、横壁の三地区の代替地交渉などを行っていた。
 公私ともに接触があった地元の男性は「代替地の地主との話し合いに奔走していた。 住民ですら業者からの接待の申し出があるほど。課長ならなおさらだろうが、贈収賄とは夢にも思わなかった」と驚く。勤務態度や風ぼうなどから、「堅物」のイメージが定着していたという。
 斉藤容疑者は同事務所勤務時代、町内の寮で単身生活をしていた。町役場関係者は「派手には見えなかった。ここで一人暮らしでは、お金の使いようがない」と話す。

 ダム建設の計画浮上から半世紀余り。町内で代替地の分譲やまちづくりの計画が着々と進む中、不祥事は発覚した。関係住民でつくる八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会の萩原昭朗委員長は「今でもダムを造ることに批判している人もあり、打撃が大きい」とショックを受けた様子。

 同町の高山欣也町長は「大変心外で、今後の交渉がやりにくくなるだろう。一期分譲者の取得面積、農地などの交渉が控えていて重要な時。こんなことは絶対にあってはならない」と語った。
 関東地方整備局によると、贈賄側とされる阿部善宏被告(46)が専務を務めていた協立測量は2004年4月から今年4月末までに、同局発注の業務27件を指名競争入札で発注。八ッ場ダム工事事務所の業務の落札はなかった。
 警視庁は同事務所の指名競争入札への同社の参加状況についても調べていく。
 警視庁は五日、長野原町与喜屋の同事務所を約6時間にわたり家宅捜査し、捜査員8人が段ボール箱三箱分の資料を押収した。