「生活再建事業の見直し」(上毛新聞8/2より)

 工事の遅延が誰の目にも明らかになり、工期の延長→事業費の再々増額が近い将来の課題となりつつある一方で、水没予定地住民への生活再建費用は”ムダを省く”のかけ声の下、細るばかりです。税金のムダ遣いは、八ッ場ダム事業全体の随所に見られるというのに・・・。

2006年8月2日 上毛新聞より
『事業見直し68項目 八ッ場ダムで国交省
人口減で修正案 観光や農林業 生活再建へ影響必至』

 長野原町での八ッ場ダム建設に伴う生活再建関連事業で国土交通省、県、長野原町は31日夜、全286事業のうち、観光、農林業を中心とする68事業の見直し案を、水没住民で組織する「八ッ場ダム水没関係五地区(川原湯。川原畑、林、横壁、長野原)連合対策委員会」(萩原昭朗委員長)に提示した。代替地への移転住民の減少や社会状況の変化を見直しの理由としている。各地区は今月中旬までに住民への説明会を開催し、地元の意見を集約し対応を協議するが、役員の間では戸惑いや反発の声が出ている。

 八ッ場ダム建設の関連事業は水没住民への補償的な意味から、
職業転換、不動産取得などの助成や、道路交通・防災対策事業などが含まれている。秋に予定される代替地の分譲開始を前に、従来計画は抜本的な検討を迫られる。
 見直し案は長野原町役場で開いた連合対策委の初会合で示した。各地区で住民が大量に流出し人口が減少したことを背景に、
①計画が現在の状況に合わなくなった
②地元の意向で必要なものを追加する
③規模が大きく施設運営が困難
④維持管理費が地元の財政を圧迫する

ーの観点から、道路・施設整備などで「事業規模」「実施の可否」を住民と協議して検討する。
 土地改良、林道、園芸施設整備などの農林業対策事業は就業者が少ないことから廃止を含め見直す方向で検討される。各地区に
整備される公園やイベントスポーツゾーンは、施設維持が困難とする地元意見もあり、規模だけでなく建設自体を再検討する。川原畑地区は代替地への移転者が少なく、公営住宅整備も見直し項目に入った。
 公民館、墓園、消防施設などの公共施設整備48事業は、地元と位置などを協議したうえで実施する。
 道路、護岸、簡易水道整備など生活関連事業156事業は当初計画に沿って推進。林地区の長野原第一小学校など13事業はすでに
完了している。
 国交省などは本年度中に、地元からの意向を踏まえたうえ、最終案を決定する予定。県は「提示したのはあくまでたたき台。折衝しながら、地域との合意点を見出していきたい」(特定ダム対策課)と説明している。
 萩原昭朗委員長は「時代に合ったまちづくりを進めるため見直し案を各地区でしっかり協議してもらいたい」と語った。

住民に反発と戸惑い
 国交省などが示した今後の事業計画の見直し案について、
「八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会」のメンバーからは
「今ごろになって下流都県が負担金を出し渋ってきたので、事業を削ってきたとしか思えない」
「簡単に受け入れられる話ではない」などと反発の声が漏れた。
 代替地造成が本格化し、いよいよ移転も具体化する中での今回の提案。代替地縮小などで予想されたこととはいえ、事業見直しは68項目に及び、水没住民にとって生活再建への不安と国への不信感が膨らむ。
 委員の一人は「これまで検討してきたすべての事業を確実に実現してもらいたい。役所の都合で簡単に見直されては困る」と注文をつける。
 事業の長期化で地域外に出て行った住民も多い。古里に残る選択をした住民にとって最後のよりどころとなるのが行政の生活再建支援だけに、住民からは「簡単に答えの出るものではないが、見直しとは結局やらないということだろう」とあきらめにも似た反応が返ってくる。