八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

市民オンブズマン群馬による公開質問状(2/26)

 2007年2月26日、八ッ場ダム事業に関して、市民オンブズマン群馬が八ッ場ダム工事事務所長、群馬県知事宛に公開質問状を出しました。工事事務所長宛の質問状をアップします。

〒377-1395 群馬県吾妻郡長野原町大字与喜屋11番地
国土交通省八ッ場ダム工事事務所
所長 澁 谷 慎 一 様

市民オンブズマン群馬
代表 小 川   賢

八ッ場ダム工事に関する公開質問状

 このことについて、貴殿に次の質問があります。つきましては、2007年3月6日(火)までに、各質問ごとに書面でご回答賜りますようよろしく御願いいたします。

1)横壁地区の諏訪神社の移転計画について

①一般的に、移転と建設計画では補償金(公金)の支払いを伴うものと考えられるが、神社のような地区の共有財産の移転の場合は、どのような手続きで事業と予算執行が行われるのか? 移転計画の立案、予算の算定、地元関係者への説明と同意、土地の調査と移転、撤去・造成・建築などの工事に係る入札・評価、発注、検査などについて、一連の手続きの流れと、それぞれの事務事業について、例を挙げて分かりやすく説明されたい。

②横壁諏訪神社の移転に係るこれまでの経過を詳細に説明願いたい。

③横壁諏訪神社の移転と建設のための手続について、登記簿謄本によると平成18年11月15日売買とある。「売買による所有権の移転」が行われたときに、大字横壁の誰に、どのような名目で、金額としていくら、渡されたのか? その詳細を説明願いたい。

④一般的に、ダム事業に伴う移転補償金支払い後の国交省の監査はどのように行われているのか?

⑤横壁地区分譲基準交渉委員長の萩原昭朗氏に国交省が諏訪神社の移転問題を話したのは何時か? その際の交渉の内容はどういうものであったのか? 

⑥萩原昭朗氏は氏子総代だが、総代が私的に神社を所有しているものではないと考える。この財産は氏子すべての物であると思われる。その氏子すべての共有財産の移転と建設に関して、売買以前に、氏子総員に説明し、知らせるのが手順ではないか? 国交省として、萩原氏個人と話して、売買と所有権の移転が終了した後に、初めて氏子に説明するという事実はあったのか? もしあれば、それはどういう理由でそのような通常では考えられない手順を敢えてとったのか?

⑦このような類似の行為に関して、国交省として、ここに限らず全国各地で経験豊富のはず。他では、住民の建設委員会などで説明し、その合意によって建設委員会が方針を定めて、総意による決議と実印の同意書によって、手続きが進められていると聞き及ぶ。横壁のような有力者個人と、利害関係者と血縁者だけの判子による同意書によって建設と移転が進められる例は、世間の常識とはあまりにもかけ離れたもので、ひどい独裁体制ではないかと思われる。そのような独裁の上に八ッ場ダムの建設は行なわれてきたと受け止めてよいか?

⑧以上のような移転と建設計画について、横壁住民に説明したのは何時か?

⑨聞くところによると、住民に説明した後に、国交省と萩原昭朗氏は横壁の氏子の前で謝罪して『無かったことにしてくれ』と「従来の所有権移転を取り消し、元通りにする」と約束したという話だが、事実はどうであったのか?

⑩所有権移転がばれた後、改めてどのような説明を行ったのか? 国交省としてはそれまでの態度が誤っていたと認識したから、謝罪し(その態度を)改めて説明したのだと思われるが、そのとおりか?どのように誤っていたのか?

⑪その後、横壁諏訪神社の所有権移転は「錯誤」により取り消されて、平成19年1月18日、国交省から横壁住民の物に戻されている。元通りになっても、証拠上、住民への説明も無いままに売買が行われ、所有権が国交省に移転された事実は消えない。平成18年11月15日に所有権移転で売買された金の行方はどうなっているのか? その経緯を住民にどのように説明したのか?

⑫もし、所有権を既に移転したことが住民に露呈しなかったら、今頃はどうなっていたと思うか?

⑬所有権の移転と売買に関して、住民の同意書はあるのか? 無ければ問題であるので、現物を示してもらえるか?

⑭移転と売買に関する同意書は、住民の総意を示すためのものであるが、そのような内容になっているのか? 氏子総代と血縁者と建設業者の氏名だけが同意書の押印者だという話も聞くが、実際はどうなのか?

⑮このような多くの疑惑を抱かれ、しかも公金にまつわる問題が指摘されている状態の事案に関して、これから国交省はどのような監査の方針で臨むつもりか?

2)道路計画が変更され、萩原昭朗氏の屋敷が含まれるように拡幅されたことについて

①国道145号線の道路計画について、従来から国交省は「145号線計画の変更は一切ない」と住民に何度も説明してきた、という話だったが、最近、交渉委員長の萩原昭朗氏の屋敷が掛かるように道路計画が拡幅されたという話も出ている。本当か? 本当なら、変更の理由は何か?

②この変更に当たって、国交省と萩原昭朗氏との相談、もしくは打ち合わせが行われたと思われるが、何時どのような打ち合わせが行われたのか? その経緯を詳しく説明願いたい。 また議事録もしくは復命書などの記録を見せてもらえるか?

③道路計画の変更について、横壁地区のほかの住民に説明したことはあるか?

④変更以前と以後の計画図を見せてほしい。

3)丸岩会への国交省幹部の参加について

①丸岩会という名称の集まりを知っているか?

②その集まりは毎年9月26日に開催されているという話だが、国交省とどのような関係なのか?

③国交省から幹部が参加した、という話だが、いつどこで誰がどのような目的で参加したのか? 公務で参加したのか? 参加した際の議事録もしくは復命書などの記録をみせてもらえるか?

④毎年9月26日というと、交渉委員長の萩原昭朗氏の誕生日と合致するが、同氏の私的な誕生会ではないのか?

⑤丸岩会には、他にどのようなメンバーが参加したのか? 八ッ場ダムの工事関係者はいたのか? 参加者から事前事後の報告は受けていたのか?

以上