「代替地分譲手続き開始 工事遅れ住民の不安消えず」(毎日新聞)

水没予定地では住民の転出、地域の衰退が進んでいます。
 当初、水没340世帯、付け替え道路などの移転も含めると422世帯が水没関係住民といわれてきましたが、現在、中心集落の川原湯地区では当初の四分の一にまで世帯数が減少しています。その大きな原因が、地区内の代替地の造成が大幅に遅れていることです。

2007年6月27日 毎日新聞群馬版より転載

 八ッ場ダム建設のため代替地へ移転する長野原町の5地区のうち、長野原地区に住む住民の第1期分譲手続きが開始された。現在は更地だが、2年以内に住宅などが建ち並ぶ。建設計画から半世紀以上を経て、初めて移転手続きが始まり、八ッ場ダム建設は大きな節目を迎えたことになる。ただ、他の代替地の整備や道路工事は大幅に遅れており、現地での生活再建を選んだ住民の不安は解消されたわけではない。

 手続きを開始したのは長野原地区で第1期分譲を受ける8世帯のうち4世帯。22日に国土交通省に売払(購入)申請書を提出した。今後、代金の支払いを済ませた上で登記の移転を行う。05年の分譲基準では契約から2年以内に分譲する代替地に建物を建てるよう求めている。

 移転先はJR長野原草津口駅北の高台。用地約5460平方メートルに8世帯分の区画が用意されている。国と住民側が分譲基準で合意した05年当初、同年末には分譲が完了する予定だったが、工事の遅れや移転交渉の長期化で約2年ずれ込んだ。

 度重なる移転延期に、住民は国への不信感を募らせている。今回、申請書を提出した無職男性(69)は「待っている間に町民がどんどん外に出て行ってしまった。今からでもちゃんとやってほしい」と嘆く。10年前、約7200人いた同町の人口は5月末現在で約6500人にまで落ち込んだ。2年以内に住宅を建てるつもりというが「町に活気がないのに生活を再建できるのだろうか」と男性の不安は尽きない。

 同地区の第2期分譲(08年予定)を待つ自営業の男性(74)は「代替地で仕事を続けたいけど、(代替地の整備が)いつ終わるのか分からない。この年だから、早く何とかしてほしい」と訴える。

 同省八ッ場ダム工事事務所は今年度中に5地区で計33世帯の分譲を予定している。同事務所によると、水没する340世帯に、JR路線や国道の付け替えで移転する世帯を加えた計422世帯が分譲を希望しており、09年度に全世帯の分譲が完了する予定という。【伊澤拓也】