「アユ遡上確認できず 徳山ダム下流、放流影響か」(中日新聞)

2008年5月3日 中日新聞より転載 

 試験放流中の徳山ダム(岐阜県揖斐川町)下流で、天然遡上(そじょう)のアユが確認されなくなったことが、地元漁協の調査で分かった。
 漁協関係者は「遡上のピークを迎えた時期に、姿が見えないのは初めて」と危機感を募らせている。

 調査したのは、ダムから下流30-50キロを管理する揖斐川中部漁協(揖斐川町)。
 5分間の目視調査で、試験放流が始まる前日の4月23日には、340匹を確認したが放流翌日から5月2日まで1匹も確認できない日が8日連続した。

 試験放流では、最大で毎秒200トンを揖斐川に流す。揖斐川の水位が50-60センチ増えて水流が強くなり、水温も3、4度低下している。こうした環境変化が遡上に影響したと、漁協はみている。

 同漁協の昨年の漁獲量は揖斐川本流の全体の90%超の24トン。試験放流のために、稚アユの放流を半月ほど遅らせ、5月中旬に実施することを決めている。
石原潤一郎組合長(52)は「厳しい状況だ。試験放流完了後の回復状況を見守りたい」としている。

 ダム建設主体の水資源機構によると、試験放流は数日中にも終わる。同機構徳山ダム管理所は「魚類への影響は調査している段階」と話している。

 岐阜大地域科学部の向井貴彦准教授(魚類生態学)は「大量放水は、アユの遡上に大きな影響がある。生態系にも何らかの影響が出ないか心配している」と話している。