「初の本体関連工事 安全祈願祭 遅れに住民苦言」(読売新聞)

2008年6月11日 
● 読売新聞群馬版より転載

安全祈願祭で玉ぐしを供える大沢知事(10日、長野原町で) 長野原町に国が建設中の八ッ場ダム予定地で10日、ダム本体の関連としては初めてとなる仮排水トンネル工事の安全祈願祭が大沢知事や国土交通省幹部らが出席して行われた。水没地区の代替地造成が遅れていることなどを受け、あいさつした住民からは「時間がかかり過ぎている」などと、国や県に対する苦言が相次いだ。

 今月中旬に着工される工事の祈願祭には、国交省の北橋建治関東地方整備局長や高山欣也長野原町長ら約60人が出席。大沢知事は「1日も早い完成を期待する。生活再建に全庁態勢で取り組んでいる」などと述べた。

 一方、あいさつに立った住民からは、行政への不満の声が噴出した。

 国会などで民主党などが建設見直しの動きをする中、萩原昭朗・水没関係5地区連合対策委員長は「建設がなくなるのではないかと不安に思う日々が多くなった。我々の長年の協力が水泡に期すことのないよう、連携して事業推進を」とくぎを刺した。

 代替地に関しては、冨沢吉太郎・長野原町会議長が「代替地完成の前に、この工事が始まったことは心苦しい」と苦言を呈した。さらに、川原湯温泉で旅館を経営する豊田広士・川原湯地区対策委員長は、老朽化などで経営難に陥っている現状を明らかにし、「どうして行政は親身になってくれないのか。口先では『1日でも早く』『迷惑をかけている』と言うが、やっていることは全然違う」と語気を強めた。

【反対派抗議文書】 

 仮排水トンネルが着工されることで、ダム事業は2012年度に着工予定の本体工事に向け、大きな一歩を踏み出すことになる。

 この工事は、ダム本体予定地を通る吾妻川の北側の地中に、バイパスとなる全長390メートルのトンネルを掘るもの。水流を迂回(うかい)させることで、川底などでの本体工事が可能になる。09年秋ごろに完成予定で、12年度にはコンクリート工事などのダム本体工事に入る方針だ。本体の完成は2015年度の予定。

 これまで行われていた代替地や付け替え道路工事などと違い、仮に建設が中止された場合、無駄となるため、建設反対派の複数の市民団体から中止を求める文書が国に出されていた。