五木村のニュース

 熊本県の川辺川ダム計画が中止の見通しとなり、水没予定地の五木村の動きが全国から注目されています。

○毎日新聞より転載
「五木村:ファンクラブ会員募集へ 広報誌や特産品情報提供」 

 五木村は20日、観光や旬の特産品などの情報を無料で提供する「五木村ファンクラブ」の会員募集を始める。「蒲島郁夫知事の川辺川ダム反対表明以降、ダム計画に揺れる村として露出度が高くなったことを逆手に取って、村のPRに活用しよう」と、和田拓也村長が発案した。

 高齢化率が県内トップの40%を超え、過疎化が進む村に興味を持ってもらい、交流人口を増加させるのが目的という。また、12月定例村議会に「ふるさと納税」制度を設けるための条例を提案し、「五木ファン」からの寄付の受け皿も用意する予定。

 会員には、2カ月ごとに村の広報誌や特産品情報を郵送する。「五木村に興味のある方」なら国籍を問わず申し込めるが、提供する情報は日本語のみ。

 村にはヤマメ、生シイタケ、シカ肉、ソバ、キビ、アワなどの特産品があるが、いずれも山間地域の少量生産で、JAの販路に載せるほどの生産量がない。このため、会員からの注文(有償)で村の農家が特産物を生産し、直送するシステムを目指す。

 20~24日に村中心部で開かれる「第20回五木の子守唄祭」で募集を開始する。問い合わせは村役場0966・37・2211。【高橋克哉】

毎日新聞 2008年11月12日 地方版

○「川辺川ダム:知事と住民、埋まらぬ溝 反対後初の五木村訪問」
◇「具体策ない」反発相次ぐ

 川辺川ダムの建設計画に反対を表明した熊本県の蒲島郁夫知事が16日、表明後初めて同県五木村を訪れた。ダムができた場合、中心部が水没する五木村は当初、国の計画に反対。苦渋の決断で合意した経緯があり、人口は計画発表時の4分の1の約1400人に激減した。この日、知事は約200人の村民を前に、村の再建を約束したが、村民からは厳しい意見が相次ぎ、深い溝は埋まらなかった。

 蒲島知事は「(ダム反対という)県民の民意を尊重した」と9月の反対表明の経緯を説明。「判断に際して、半世紀近くダム問題にほんろうされてきた(五木村の)皆さんの気持ちにどう応えるかが、最も悩ましい問題だった」と明かした。反対表明後、福田康夫首相(当時)や金子一義国交相を訪ね、五木村の振興を直訴した蒲島知事は「確約をいただいた」と“成果”を強調し「時の総理や大臣の発言が後に生きる」と理解を求めた。

 これに対し、村民からは「再建の見通しが立たない状況で反対するのは乱暴」「民意を重視したというが、五木村の民意はダム推進だ」「予算の裏付けがないのに、再建ができるのか」などの厳しい発言が続いた。知事は「五木村の痛みは政策で緩衝したい」などと述べるにとどまった。

 オバマ次期米大統領のキャッチフレーズを引用し「知事に求められているのは『Yes we can』の精神だ」と迫った農業、松永泰男さん(57)は「具体的な約束が一つもなかった」と残念がった。

 説明会後、蒲島知事は報道陣に「国の協力を求めながら、誠意を持って五木村の振興をやりたい」と述べた。しかし、反対表明から2カ月がたつ今も、村の再建について国と県の協議開催の機運は高まっていない。

 「水没に伴う村の機能回復補償」として、国が進めている橋や道路の建設などについて、国交省は「ダム計画がなくなれば、水没補償としてはできない」という姿勢で、県に肩代わりする財源的余裕もない。計画が中止となった場合の財源確保策など、新たな課題も生じている。

 説明会に出席した和田拓也村長は「国と県の具体的な動きが見えず、国の来年度予算が削られないか心配している。国と県の協議の場を1日も早く作ってほしい」と話した。【高橋克哉、伊藤奈々恵】

毎日新聞 2008年11月17日 西部朝刊

○朝日新聞熊本県版より転載
「熊本知事の五木村入り」(11月17日)

川辺川ダム計画に反対を表明した蒲島郁夫知事が16日、表明後初めて五木村で村民らと対話した。説明会は五木東小学校体育館で開かれ、村民からはダム問題で苦しんだ積年の思いや県政に対するいらだちを語る発言が相次いだ一方、振興策に一筋の期待をかける声も出た。

  照山哲栄元村議は「知事の任期4年で村再建は無理だし、知事の言うことは何の担保もなく精神論だ」と批判、予算措置や実施期間などの具体化を求めた。ほかにも水没地でない地区の振興策や高齢者支援、文化や観光振興などの注文や質問が出た。

  知事は「すぐに来たかったが、遅くなり大変申し訳ない」と陳謝。五木の子守唄(うた)や川辺川のブランドイメージを生かすなどと語った。

  終了後、和田拓也村長は「村民の願いは具体的だが、知事の思いは抽象的だ。具体化して示してほしい」とくぎを刺した。田山淳士村議会議長も「もう少し前向きな話があるかと期待した。知事は今回の来村でこと足れりと思ってほしくない」と今後も定期的な意見交換を希望した。頭地地区に住む20代の女性は「振興策は何度も聞かされているものばかり。今度は期限を決めて具体的にやってほしい」と注文をつけた。

  一方、水没予定地から01年に近くの高台の集落に移ったという80代の女性は「県側も懸命にやっているという印象は持った。みんなの不満も理解できるが、私たちも前向きに考えたほうがいい」と語った。観光振興について質問した橋本悦治村観光協会長は「知事は五木のブランド力の活用を強調し、私たちの認識と共通点はある。行動力を見守りたい」と期待した。

○読売新聞熊本県版より転載
「五木村で初説明会、厳しい意見知事険しい表情…ダムのゆくえ」

蒲島知事が川辺川ダム建設に反対表明後、16日に初めて五木村で開かれた知事による村民向けの説明会。ダム事業で進められてきた村の基盤整備や振興策の継続について、知事は国側に「確約を得た」と強調した。しかし、反対表明から約2か月たっても具体的な進展はなく、村民からは「何の担保もない精神論だ」などと厳しい意見が相次ぎ、知事は険しい表情で聞き入った。

 説明会会場になった五木東小体育館には、全村民の7分の1にあたる約200人が集まり、知事ら県幹部と向き合う形で座った。

 冒頭あいさつに立った知事は、反対の理由について説明した後、「一番悩んだのは、ダム問題に翻弄(ほんろう)された(五木村の)皆様の気持ちにどう応えるかということだった」と続けた。

 知事は表明後、当時の福田首相や金子国交相と相次いで会談し、五木村の支援の確約を得たとし、「当時の首相、担当大臣が確約したことは大変重い」と強調。「県も村の地域振興については全力で取り組みたい」と力を込めた。

 これに対し、住民11人が次々にマイクを握り、「現在の麻生首相に直訴してほしい」「予算を伴った振興策を出し、再度住民に説明すべきだ」などと知事に迫ると、その度に住民側からは拍手が沸き起こった。

 約2時間半に及んだ説明会の終了間際にあいさつに立った和田拓也村長は「国と県の協議の枠組みが見えていない」と指摘し、「一日も早く、国と県で大枠を決める協議の場をつくり、村民が安心できるようにしてほしい」と注文した。

(内村大作)
(2008年11月17日 読売新聞)