2010年度予算案、公共事業費18・3%減、ダム建設見直しへ

 政権交代後、初の予算案が公共事業費18・3%減を打ち出したことが大きな波紋を投げかけています。国土交通省は「ダム建設事業の見直しについて」の指針を昨年末に公表しました。
 新聞報道では、「直轄ダム建設費が約12%減の1316億円となる一方で、堤防工事など直轄河川改修事業費は約11%増の997億円となった。」(毎日新聞12月26日付)と伝えています。旧政権下では、ダム予算が増える分、河道整備の予算が削られ、水害の原因と指摘されてきました。

◆平成22年度 国土交通省河川局関係予算概要(平成22年1月 国土交通省 河川局)
http://www.mlit.go.jp/common/000056791.pdf 

5ページ 「ダム建設事業の見直しについて」より転載

 治水事業については、「できるだけダムにたよらない治水」へ政策転換するとの考え方に基づき、事業実施中のダム事業を「検証の対象とするもの※」と「事業を継続して進めるもの」とに区分した上で、検証の対象となるダム事業について、平成21年12月3日に立ち上げた「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が来年夏頃に中間とりまとめとして示す予定の新たな基準に沿って、個別ダムの検証を行うこととしたところ。(※「要請」するものも含む)
 これに基づき、ダム建設事業の平成22年度予算案においては、具体的に、以下のように措置。
○継続して進めることとしたダム事業(47事業(55施設))
・可能な限り計画的に事業を進めるために必要な予算を計上。
(川辺川ダムは生活再建事業を継続)
○検証の対象となるダム事業(89事業(90施設))
・基本的に、①用地買収、②生活再建工事、③転流工工事、④本体工事の各段階に新たに入らないこととし、地元住民の生活設計等への支障も配慮した上で、現段階を継続する必要最小限の予算を計上。
(八ッ場ダムは生活再建事業を継続。12月以降に本体工事の契約を行った、または予定している補助ダム事業については、別途改めて判断する。)
 なお、各道府県実施のダム事業については、12月15日付の文書等により、関係道府県知事に対して、検証の対象となるダムも含め、検証への協力を要請したところであり、補助ダム事業の予算については、実施計画確定後に公表することとする。

◆2009年12月26日付 毎日新聞より一部転載
http://mainichi.jp/universalon/clipping/archive/news/2009/12/26/20091226ddm010010185000c.html

◆公共事業

 ◇国直轄ダム建設、31カ所再検証

 公共事業関係費は、前年度当初比18・3%減の5兆7731億円。他の多くの歳出項目が膨らんだ中で、鳩山政権が掲げる「コンクリートから人へ」の理念に沿って過去最大の削減率となった。ただ、中小建設業者が打撃を受けるなど地方経済への影響が深刻化する可能性もある。

 道路関係は25・1%減の1兆2464億円。個別路線の事業費は来年の通常国会での審議開始までに決まる見通しだが、国土交通省は(1)新規事業は原則ゼロ(2)開通時期が近い路線を優先(3)事業個所数は2割程度削減--などの方針を示している。同省が11~12月に都道府県などに行った説明では、建設中の全国五百数十路線のうち、事業休止の可能性がある路線が約140路線に上っており、きわめて厳しい事業の絞り込みが予想される。

 河川予算は「できるだけダムに頼らない治水」との方針が反映され、直轄ダム建設費が約12%減の1316億円となる一方で、堤防工事など直轄河川改修事業費は約11%増の997億円となった。

 全国に53ある直轄ダム建設事業費は、従来通り事業を進める「継続」と、新たな工事に入らず、現状を維持する「再検証」に分類。「再検証」は31事業に上り、有識者会議が見直し基準を示す来夏まで必要最小限の予算のみ計上するため、38%減の282億円に大幅圧縮。国が中止の方針を示した八ッ場ダム(群馬県)は「再検証」で、本体工事の建設費は計上されなかった。一方、補助事業は87のうち、58が「再検証」に回された。

 また、民主党の重点要望を反映して、自治体が道路、治水、下水道など幅広い分野の社会資本整備に自由に使える新たな交付金制度が創設される。国交省所管分は「社会資本整備総合交付金」(仮称)で、既存の交付金1兆1000億円を統合し2兆2000億円の規模になる。これによって、従来の自治体への補助金は原則として廃止される。農林水産省所管分でも、1500億円の「農山漁村地域整備交付金」(仮称)が創設される。

 国直轄の公共事業への自治体の負担金(直轄事業負担金)は、全国知事会などの主張を受け、維持管理費分が10年度に廃止されることになった。【位川一郎、石原聖】

◆2010年1月9日付 東京新聞政治面より転載

ーどう変わる公共事業 脱コンクリ 人に投資ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010010902000104.html

鳩山内閣初の予算編成となった二〇一〇年度予算案。その金看板は「コンクリートから人へ」。自民党が政権を握っていたころの公共事業重視の予算は、どう変ぼうしたのだろうか。

 ■大ナタ
 赤字国債発行枠「約四十四兆円」を守りながら「人へ」の投資を厚くする-。この難題を解くために切り込まれたのは「コンクリート」、つまり公共事業だ。
 公共事業費は五兆七千七百三十一億円。一兆二千九百七十億円、割合にして18・3%の削減はともに過去最大だ。自民党族議員の牙城と言える道路関係予算は25%もカット。原則として新規着工を認めず、事業個所数も二割程度カットの大ナタを振るった。港湾、空港も二割以上削減となった。

 行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」と判定された農道整備事業(要求額百六十八億円)や国土・景観形成事業推進調査費(同二百億円)は判定結果通りとしたのも特徴だ。

 ■再転換
 公共事業の削減は、自公政権下でも行われたことがある。小泉政権は「聖域なき構造改革」を掲げ、〇二年度予算で10・7%減に踏み切った。経済財政改革の基本方針「骨太の方針2006」は、公共事業費を1~3%削減する歳出改革を打ち出し、その後の政権も、ほぼそれに沿った予算編成を続けてきた。

 だが、〇八年秋「リーマン・ショック」が日本を襲い、景気低迷が進むと、麻生政権は〇九年度予算で「骨太」路線を否定。公共事業費5%増へとかじを切った。
 鳩山政権は、再び削減にかじを切ったことになる。前原誠司国土交通相は就任直後、群馬県の八ッ場(やんば)ダムの建設中止を表明。一〇年度予算でも、全国で計画されている百三十六ダム事業中、八十九事業を検証対象とし、事実上凍結した。
 逆に手厚くされたのが「人へ」の支援だ。

 社会保障費は二十七兆二千六百八十六億円と9・8%もの大幅増。一般歳出に占める割合は51%と初めて五割を上回った。
 新設するのはマニフェストの目玉といえる「子ども手当」。二兆二千五百五十四億円をかけ、中学校卒業までの子どもに一〇年度は半額の月一万三千円を支給する。高校授業料無償化には三千九百三十三億円を計上した。
 鳩山由紀夫首相は先月二十五日、記者会見で予算案を「命を守る予算と呼びたい」と胸を張った。

 ■試金石
 「人への投資」を増やすことには誰も異論はないが、公共事業の大幅カットには、地方からは悲鳴が上がる。ただでさえ厳しい雇用情勢と景気をさらに悪化させる恐れがあるためだ。
 政府は、地方に仕事を持ち込むためにムダな公共事業を行ってきた過去の慣習を断ち切る必要性を強調しているが、今後の景気回復が思わしくなければ、各地から公共事業を求める圧力が強まるのは必至だ。

 地方の不満が七月に予想される参院選の結果を左右することも予想される。その意味では参院選が「コンクリートから人へ」の試金石ともいえる。

 (政治部・関口克己、横須賀支局・新開浩、経済部・坂田奈央)

◆2010年1月7日付 読売新聞北海道版より転載

ー新・交付金 使いこなせ 石森秀三・北海道大学観光学高等研究センター長ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/feature/hokkaido1198054574846_02/news/20100107-OYT8T00311.htm

 「コンクリートから人へ」を掲げた鳩山内閣の2010年度政府予算案は、公共事業費を18・3%と過去最大の幅で削減した。約5兆7700億円の公共事業費の中でも、「コンクリート」を象徴する道路や港湾予算は約25%、空港予算も約20%減らされた。一方で「人」に関連する社会保障費は9・8%増の約27兆2700億円に急膨張した。

 北海道開発予算は、今年度に比べ17%削減されて、総額4857億円。最も予算規模が大きかった1997年度当初予算は1兆59億円だったから、その半分以下だ。ダム工事を含む治山治水事業は26%、道路整備事業は19%と大幅な削減幅になった。
 北海道は公共事業への依存度が非常に高い地域なので、予算削減は地域経済を冷え込ませ、失業を誘発するために深刻である。鳩山首相は北海道選出だが、民主党政権は北海道を特別扱いしなかった。今後は公共事業依存型地域経済からの脱却をより一層推進していかねばならない。

 要するに民産官学の協働で、それぞれの地域で叡智(えいち)を結集し、より一層の創意工夫と自助努力を重ねて、公共事業に依存しない地域づくりを推進する必要がある。

 今回の政府予算案で私が注目するのは「社会資本整備総合交付金(仮称)」という新しい制度だ。従来の道路、河川、下水道などの公共事業への個別補助金をまとめた上で、既存の交付金を統合して創設された制度だ。規模は2兆2000億円。自治体の自由裁量で必要な公共事業に充てられるほかに、人材育成を含めたソフト事業にも活用可能な使い勝手の良い交付金制度だ。従来の補助金のうち、新型交付金として北海道に交付されるのは783億円という。

 北海道では今後、交流人口の拡大による地域活性化が不可欠になるが、その際に最も重要になるのは「地域資源を結び合わす観光」の振興である。地域の様々な資源を持続可能なかたちで活用し、農商工・観光連携や文化・観光連携、医療・観光連携などを推進していくのである。

 その際に、新たな地域法人として「地域観光マネジメント法人(仮称)」を立ち上げて、「ふるさと起業」を図る必要があるというのが私の持論である。このような地域法人は、資源を活用した新規事業の立ち上げや人材育成の拠点になるので、まさにソーシャル・キャピタル(社会的資本)としての役割を果たしうるはずだ。「ふるさと起業」を推進するソフト事業に新交付金を投入して、地域の未来を拓(ひら)いていくことが不可欠である。

◆ダム日記2 「続・ひもつき交付金」 by まさのあつこさん(ジャーナリスト)
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-0906.html