第二回「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の記事

 2010年1月15日、全国の市民団体が公開を求める中で、非公開の有識者会議が国交省で開催されました。
 この有識者会議のテーマは、ダム行政から脱却することを目指すとされていますが、政権交代後も河川官僚主導による事務方の運営手法に変化はなく、河川政策の民主化が進んでいないことを示しています。
 その中で、今回はダムに頼らない河川行政をめざしてきた有識者の意見聴取が実施されました。当日の配布資料は国交省のホームページに掲載されています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=807

 膨大な知識と分析の蓄積であるこれらの知見がどのように有識者会議の行方に反映されるか、注目されます。有識者会議の経過については、こちらに掲載しています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=760

◆2010年1月15日
ー「密室」嫌い前淀川委委員長欠席  ダム有識者会議、市民団体も公開要望
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2010011500046&genre=A1&area=K00

 全国のダム計画の見直しを検討する国土交通省の有識者会議が非公開であることについて、ダム問題を考える31の市民団体が14日、公開を求める要望書を同省に提出した。また淀川水系流域委員会の宮本博司前委員長=京都市下京区=は会合に参考人として呼ばれたが、非公開を理由に出席を拒否するなど会議のあり方に批判が強まっている。
 会議は「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長・中川博次京都大名誉教授)で昨年12月に設置された。今夏にもダム計画の是非を判断する基準をまとめる予定だが、「委員に遠慮なく意見交換してもらう」(国交省)として公開せず、議事要旨を後日、同省のホームページに掲載している。
 要望書では「八ツ場(やんば)ダムをストップさせる市民連絡会」などが「国の治水対策に大きな影響を与えるのに密室で審議されれば国民の信用を得られない」と前原誠司国交相に公開を求めた。
 宮本氏は凍結された大戸川ダム(大津市)計画などを議論した実績から昨年末、1月15日の第2回会合への出席を求められたが断ったという。「流域委は公開で議論したから関心を呼んだ。今回も国民全体で議論のうねりを作ることが大事なのに、非公開では結論に実効性が伴わない」と話している。

◆2010年1月15日 共同通信配信
ーダムの治水効果は限定的 有識者会議で市民団体代表ー
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011501000976.html

 ダム事業継続の判断基準などを定める国土交通省の有識者会議の第2回会合 が15日、同省内で開かれ、八ツ場ダム(群馬県)建設などに反対する市民団 体「水源開発問題全国連絡会」の嶋津暉之共同代表が、ダムの治水効果は限定 的で、環境にも悪影響を及ぼす恐れがあると意見陳述した。
 嶋津氏は、ダム建設による治水効果は上流の限られた地域に集中的に雨が 降った場合に限定されると指摘。「ギャンブル的な対策であるにもかかわら ず、これまで過大評価されてきた」と批判した。ダムが水質悪化などの原因と なる上、地滑りなどの災害を誘発し、土砂堆積で年々機能が低下するなどの問 題点も指摘した。
 その上で嶋津氏は(1)現在100~200年に一度の洪水を想定している 流量を現実的な量に再設定(2)河床の掘り下げや堤防かさ上げをダムよりも 優先(3)河道が流せる水量を再評価(4)水が乗り越えてもすぐには決壊し ない「耐越水堤防」の整備―の4段階で、有識者会議が治水の在り方を見直す よう提言した。

◆2010年1月15日 毎日新聞より転載
ー治水:河川はんらん許容…有識者会議、政策転換検討で一致ー
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100116k0000m010119000c.html

 できるだけダムに頼らない治水対策を検討している国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が15日開かれ、「洪水を許容する政策への転換を検討することが必要」との判断で一致した。来年夏ごろに提言をまとめる方針。従来の治水策はダムと堤防で流量を調節して河川からあふれさせないことを目指してきたが、河川のはんらんを許容して洪水を分散させる「流域治水」へと転換される可能性も出てきた。

 この日の会議では、▽河川対策▽流域対策▽ダム事業の検証のための基準作り--の3分野にわけて検討することを決めた。ゲリラ豪雨の多発など想定を上回る大雨が増えていることも背景に、「流域治水」も議論することでも一致。はんらんへの対応として、土地の利用規制や水害保険制度の創設なども検討することにした。

 「流域治水」が導入されれば治水対策の大きな転換となる。しかし、複数の関係省庁や多くの自治体にまたがる政策のため、議論の行方は不透明だ。

 また、ダム事業の見直し基準については、▽完了までの期間や事業途中での効果の有無▽維持管理コストが的確に見込まれているか▽費用便益になじまない生態系などをどう考えるか--などの論点が示された。【石原聖】

◆2010年1月15日 京都新聞より転載
ー会議非公開は今後も継続 国交省ダム有識者会議ー
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2010011500222&genre=A1&area=K00

 全国のダム計画の見直しを検討する国土交通省の有識者会議の第2回 会合が15日、省内で開かれた。市民団体が批判していた会議の非 公開については「不用な混乱を招かないため」と今後も継続することを 決めた。
 終了後に会見した三日月大造政務官によると、冒頭に会合の進め方を協議。「議論の内容は地域ごとの利害が絡む。(公開すれば)審議の中身が独り歩きし、議論の客観性を失わせる懸念もある」として公開しないと申し合わせたという。
 また三日月氏は、淀川水系流域委員会の宮本博司前委員長=京都市下京区=が非公開を理由に出席を断ったことに対しても「公開による不利益を勘案しており、われわれは決めた手法で進める」と述べた。この日の会合ではダム問題を考える水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之代表から意見を聞いた。

◆2010年1月19日 日経BPネットより転載
ー洪水を許容する「流域治水」へ、国交省有識者会議
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20100119/538586/?P=2

 国土交通省は1月15日、できるだけダムに頼らない治水策を検討する「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長:中川博次京都大学名誉教授)の第2回会合を開いた。メーンの議事は、ダム事業の見直しを求める市民団体「水源開発問題全国連絡会」の嶋津暉之共同代表へのヒアリング。会合は非公開だったが、会合後にそれぞれ会見した三日月大造政務官と嶋津共同代表によれば、嶋津共同代表がダムの問題点やダムによらない治水策などを提起し、委員との質疑応答もあった。
 嶋津氏はヒアリングで、ダムによる治水策の問題点を主に八ツ場ダムを例にとって説明したうえで、新規ダムを治水計画から除くための四つのステップを提起した。

 ダムの問題点として、嶋津共同代表が挙げたのは次の四つ。
(1)ダムの集水面積は小さく、あまり大きな効果がない。
(2)雨の降り方によって治水効果が大きく変動するギャンブル的な対策である。
(3)下流に行くほど、洪水ピークの削減効果が減衰する。
(4)ダム地点の洪水が想定を超えると、治水機能が急激に下がる。

 そのうえで、新規ダムを治水計画から除くための四つのステップを次のように提起した。
(1)実際に観測された洪水流量に基づいて目標流量を下げる。
(2)新規ダムよりも河道整備を優先する。
(3)河道整備で対応できない部分は洪水を受容する対策を講じる。
(4)想定を超える洪水が発生した場合に備えて、耐越水堤防を採用したり、洪水を受容する対策を講じたりする。

 三日月政務官は会見で、嶋津共同代表が提起した四つのステップについて「今後の検討に大いに資する」と評価した。ただし、実行するには課題も多い。三日月政務官によれば、委員から主に次の3点の意見が出た。一つは、目標流量の設定に関して、基本高水流量を含めて確定流量と推測流量との関係や河川の重要度の決め方の問題。二つ目は、憲法で保障されている生存権を侵さないような治水の平等性や公平性の問題。三つ目は、耐越水堤防の技術的な問題だ。嶋津共同代表は会合後の会見で、「敵意をむき出しの委員も一部いたが、おおむね好意的だった。方向性は受け入れてもらえたと思う」と述べた。

嶋津共同代表がヒアリングで述べた考え方は、中川座長が提起した三つの論点に一致する部分も多い。論点には、従来のダムと堤防で洪水を防ぐ治水策から河川の氾濫(はんらん)を許容して流域全体に浅く広く流水のエネルギーを分散させる「流域治水」への政策転換の検討を盛り込んだ。治水対策案、評価・検証の進め方、今後の治水理念の構築の三つの論点について、第4回と第5回の会合で委員が発表する予定だ。なお、次回の第3回会合は委員以外のヒアリングを実施する。

 会合では、本会議以外で委員が次の三つのテーマごとに打ち合わせ会議を開くことも決まった。河川対策、流域対策、評価軸や検証の進め方を議論する。

治水策や評価軸の意見を募集

 さらに、有識者会議での議論の参考にするために、一般から意見を募集することにした。幅広い治水策の具体的な提案と新たな評価軸の具体的な提案を求める。応募方法や募集期間を近く公表する。

 第2回会合は、嶋津共同代表のほかに、淀川水系流域委員会の委員長を務めた元国交省河川局防災課長の宮本博司氏もヒアリングに呼んでいた。宮本氏はこの有識者会議が非公開であることを理由に出席を拒否した。会合の前日の1月14日には31の市民団体が国交省に対して公開を求める文書を提出していた。しかし、三日月政務官によれば、会合の冒頭で中川座長が従来通り非公開とすることを提案し、委員が合意した。