代替地移転の意向調査

 八ッ場ダムの全水没予定地区(川原湯地区・川原畑地区)住民を対象に代替地移転の意向調査が実施されたことが報道されています。
 国は1990年代以来、水没予定地住民に対してたびたび代替地移転の希望を問う意向調査を実施してきました。これらの意向調査については、国が説明した代替地分譲時期が大幅に遅れたことにより住民の生活設計が根底から覆ってしまったなど、国の説明責任(アカウンタビリテイ)がおろそかにされてきたことが指摘されてきました。

 代替地は造成工事が大幅に遅れ、しかも30メートル以上の高盛土、地すべりの危険など、安全性がなおざりにされていることが問題となっています。付け替え国道、付け替え県道など、代替地の基幹道路となる道路整備も大幅に遅れています。
 今回の意向調査にあたり、居住環境に直結するこれらの問題について、国は相変わらず住民にきちんとした説明をしていません。焦点となっている湖面1号橋の今後の取り扱いを検討するための調査という説明があるのみです。

 読売新聞はこの意向調査について、国土交通省と地元代表らの協議によって内容が決まった内情を伝えています。政権交代による政策変更を受け入れていない地元代表とこれを後押ししている国交省官僚組織がダム推進に都合のよいように意向調査をつくったのではないか、という疑念が広がっています。関連事業を進め、住民の代替地移転を促すことが、結果的にダム本体着工を可能とする状況を作り出すことになり、実際に水没予定地内では、再度の政権交代によりダム建設は可能という噂が流布しているからです。

*湖面1号橋の問題についてはこちらに掲載しています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/bridge/index.php?content_id=1

◆2010年2月24日 東京新聞群馬版より転載
ー地元に調査票配布 八ッ場ダム湖面1号橋 国交省 建設可否には触れずー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100224/CK2010022402000118.html

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)建設に伴う生活再建事業のうち、建設の是非が焦点となっている付け替え県道「湖面1号橋」について、国土交通省が、関係する同町川原湯、川原畑両地区の計約六十世帯に調査票を配布したことが二十三日、分かった。国交省八ッ場ダム工事事務所によると、回答は二十六日に締め切り、回収する。

 湖面1号橋は、水没予定地区のうち、川原湯、川原畑の両地区の代替地を結ぶ橋として計画。総事業費約五十二億円のうち、96%を国が負担することになっている。

 調査は「湖面1号橋の今後の取り扱いを検討するため」とし、建設の可否には触れていない。橋の建設や八ッ場ダム事業についての意見を自由記述で求めている。代替地移転の希望の有無や、移転しない場合も代替地周辺への転居を希望するかなどを質問している。

 同橋について、前原誠司国交相は一月末、三日月大造政務官を通じ、事業を担当する県に「建設凍結」の可能性を示唆。「橋は地元の生活道路として不可欠」とする県は、この対応に反発する形で今月上旬、橋脚二基の工事入札を“強行”し、建設業者を決定した。 (中根政人)

 
◆2010年2月24日 読売新聞群馬版より転載
「八ッ場ダム1号橋で住民意向調査 国交省が60世帯に実施」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100223-OYT8T01451.htm

 八ッ場ダム建設中止問題で、国土交通省が建設凍結を検討している湖面1号橋について、同省が地元の長野原町の川原湯・川原畑両地区住民に対し、意向調査を行っていることがわかった。同省は22日に計約60世帯に調査票を配布しており、26日までに回収する。

 調査票では、「湖面1号橋の今後の取り扱いを検討するため、『代替地への移転意向』等について、各々の世帯のご意見を伺うものです」として、改めて現時点で移転を望むかどうかを聞き、1号橋に対しての意見の記述も求めている。

 調査は前原国交相が指示し、同省と地元代表らが協議して内容を決めたという。先月の前原国交相と地元の意見交換会では、地元代表らが1号橋の早期建設を求めているが、今回の調査は、さらに全世帯の意向を確認するのが狙いとみられる。

◆2010年2月24日 朝日新聞群馬版より転載
ー1号橋 意向を調査 国交省、地元世帯にー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581002240001

 八ツ場ダム(長野原町)のダム湖に架かる予定の湖面1号橋について、国土交通省が橋の両岸にある川原湯、川原畑の両地区の住民に意向調査を始めた。前原誠司国土交通相は1号橋建設への態度を保留しており、新年度政府予算案で約155億円を計上した同ダム関連予算の個所付けの判断に生かすという。

 ダム中止が打ち出されて以来、国交省による住民の意向調査は初めて。

 調査票は国交省八ツ場ダム工事事務所が22日、川原湯地区の49世帯と川原畑地区の17世帯に配布。26日までに回収する。世帯主の名前が印字され、(1)現居住地についての国との契約状況(2)移転代替地の分譲希望などの有無(3)代替地に移るか現在地に残るか――などの質問が並び、1号橋や八ツ場ダムについて意見を記せる回答欄もある。

 国交省はこれまで、ダム建設を前提とした代替地への移転希望の意向調査を実施してきた。今回改めて調査するのは、前原国交相がダム中止を表明して以後の地元住民の意向を確認し、住民が代替地に移ることが前提の1号橋建設の必要性を検証する意図があるとみられる。

 1号橋をめぐっては、長野原町の高山欣也町長らが「生活道路として必要不可欠」と再三強調。一方、1月27日の参院予算委で前原国交相は「近々、態度を決めなければならない」と建設の是非について明言を避けた。