八ッ場付け替え国道工事の遅れは地質が原因

2010年3月9日
 八ッ場ダム関連事業の中で最も予算額が大きい付け替え国道工事は、今年3月末までに吾妻渓谷上流部が完成し、春から一般供用の予定でしたが、供用が遅れることが上毛新聞の報道で明らかになりました。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=838

 以下の記事は、工事が遅れている原因をより詳しく伝えています。

 2010年3月8日 朝日新聞群馬版より転載

 ー地質不安定と判断 バイパス開通、秋以降ー
 http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581003080002

 八ツ場ダム(長野原町)の水没地区の移転代替地を結ぶ国道145号八ツ場バイパス工事で、山を削ったあと、のり面に崩落の恐れが生じるなど一部区間で安全性に問題があると国土交通省が判断していたことがわかった。専門家は以前から付近の地質の不安定さを指摘しており、地元の生活再建計画そのものに影響する可能性もある。保全工事のためバイパスなどの開通は予定より半年ほど遅れ、今秋以降になる見通しという。(菅野雄介)

 複数の関係者によると、開通が遅れるのは八ツ場バイパスの雁ケ沢(がん・が・さわ)ランプ(東吾妻町松谷)以西の区間(全長約9・1キロ)と、県道林・岩下線(全長約8・5キロ)。

 八ツ場バイパスは東吾妻町松谷から長野原町川原畑、林、横壁、長野原の4地区を結び、草津町方面へ抜ける長野原バイパスに接続。県道は、東吾妻町岩下から長野原町川原湯、林の両地区を結ぶ。いずれも2車線の幹線道路として建設されている。

 国交省はこれまで、2本の幹線道路は今春に開通させる見通しを示していた。しかし八ツ場バイパスは川原畑地区で、のり面の危険性が明らかになったといい、改めて地質調査や、追加工事が必要になったことが地元に伝えられた。県道も川原湯地区西部などの工事が遅れている。

 川原畑地区の地質をめぐっては、京都大の奥西一夫名誉教授が2008年2月、八ツ場ダムへの公金支出差し止めを求めた住民訴訟で、同地区の二社平(じ・しゃ・だいら)周辺の地質が不安定だと指摘、地滑りの痕跡がある地形だけを対象とした国交省の調査では「不十分」との鑑定意見書を出していた。

 奈良県川上村の大滝ダムでは、03年3月に始まった試験貯水が原因で地滑りが発生。仮設住宅に移転した住民らは精神的な苦痛を受けたとして、ダムを建設した国に慰謝料など約2億5200万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、奈良地裁で今月下旬に判決が出る予定だ。

 川原畑地区の住民の一部からは、大滝ダムの事例を引き合いに、同地区の移転代替地周辺の地質を懸念する声も出ている。

 国交省は2本の幹線道路について、ほぼ完成している八ツ場バイパスの雁ケ沢―川原畑東部の約4・4キロ、県道の東吾妻町三島―川原湯東部の約1・9キロの区間のみを、4月から開通させる方針。

 いずれの区間も現在の国道145号とは直接つながらないため、住民の生活道路として町道に認定するよう、両町を通じて両町議会の議決を求める。今回のように部分開通区間を暫定的に町道にする場合には国交省が維持管理を担うため、町の負担はほとんど増えないという。

 国交省八ツ場ダム工事事務所では、バイパス工事の遅れについて「コメントできない」としている。

(写真)のり面の崩落の恐れがあるため、建設中の国道145号八ツ場バイパスでは対策工事が続く=長野原町川原畑