群馬県八ッ場ダム対策特別委、1号橋可決、談合調査せず、生活再建策は迷走

2010年3月9日

 群馬県議会では、自民党県議団の要望により、昨年10月、八ッ場ダムの特別委員会の設置が決定されて以後、八ッ場ダムに関する議論が低調でした。
 「八ッ場ダムの必要性と八ッ場ダムに関わる住民の生活再建について一体的横断的集中的に審査を行う」目的で特別委員会を設けたのだから、他の委員会では八ッ場ダムについての議論はしない、という理屈がまかり通っているからです。
 それならそれで、特別委員会で八ッ場ダム問題についてちゃんと議論をすればよいのですが、この特別委員会では、昨年来、八ッ場ダム賛成反対両派の学識者それぞれ二名から意見を聴取しただけでお茶を濁してきました。
 昨日の特別委員会では、湖面1号橋は推進、生活再建策は迷走、談合は調査せず、という群馬県の取り組み姿勢が改めて明らかになりました。ダイエットバレー構想をはじめ、「生活再建」の名の下で行われてきた関連事業の実態について、国民はもちろん、群馬県民もほとんど知らされてきませんでした。

◆2010年3月9日 読売新聞群馬版より転載
 -八ッ場1号橋契約議案、県会委が可決 談合有無県は調査しない意向ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100309-OYT8T00113.htm

 県議会八ッ場ダム対策特別委員会は8日、国土交通省が建設凍結を検討している湖面1号橋について、先月の入札で決まった橋脚工事の請負業者と契約を結ぶための議案を、自民党県議などの賛成多数で可決した。9日の本会議で可決される見通しだ。

 同橋を巡っては、国交省は建設中止を視野に、地元住民に対して必要性に関する意識調査をしている。

 同日の委員会でも民主党系などの県議から、「橋よりも有効な手段を考えるべき」「契約後に予算が来なければ業者への賠償義務が生じる」など、契約締結への慎重論が出された。

 県は、「事務レベルでは国と協議しており、粛々と進める」と説明した。橋は将来のダム湖を横断する計画で、事業費約52億円の96%が国のダム費で支出されるが、施工は国に代わって県が担当している。

 また、同ダム関連工事で落札率が95%を上回るものが多いとの指摘から、前原国交相が談合の有無を調査する意向を示したことに関連して、県発注工事について県が調査を行うかどうかについても質問が及び、県は「落札率をもって談合があったかどうかと言うのは無理がある」(契約検査課)として、調査を行わない考えを示した。

◆2010年3月9日 東京新聞群馬版より転載
 -八ッ場ダム・湖面1号橋 P3橋脚工事本契約可決 県議会特別委ー
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100309/CK2010030902000123.html

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)建設中止問題を審議する県議会の「八ッ場ダム対策特別委員会」は八日、ダムの生活再建事業のうち建設の是非が焦点となっている「湖面1号橋」について、橋脚一基(P3橋脚)の工事の本契約に関する議案を賛成多数で可決した。議案は九日の県議会本会議でも可決される見通し。

 湖面1号橋は現在、橋脚の一部の基礎工事が着手されているが、大部分は未着工の状態。国土交通省の三日月大造政務官は一月末に建設凍結の可能性を示唆したものの、県は二月初旬に橋脚二基(P3、P4橋脚)の工事を新規着工するための入札を“強行”。建設業者を決定している。このうち、P4橋脚はすでに工事の本契約が成立している。

 特別委では、県の川滝弘之県土整備部長が「1号橋は、地元住民の生活再建のために必要不可欠な施設。当初の予定通り粛々と建設事業を進める」とあらためて強調。県特定ダム対策課の坂井賢一課長も「国から(建設凍結を求める)具体的な指示は一切ない」と述べ、建設の正当性を訴えた。 (中根政人)

◆2010年3月9日 朝日新聞群馬版より転載
 ー生活再建策の健康増進施設 採算合わず断念ー
 http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581003090001

 八ツ場ダム(長野原町)建設に伴う生活再建策のひとつ、ダイエットバレー構想の中核施設「エクササイズセンター」について、県が計画を白紙撤回していたことが8日わかった。アンケートをした結果、採算が合わないと判断したという。同日開かれた県議会八ツ場ダム対策特別委員会で、県特定ダム対策課が明らかにした。

 ダイエットバレー構想は、群馬大の寺石雅英教授が発案。健康増進をテーマとしたまちづくりを目指し、施設は川原湯地区の移転代替地の核のひとつに位置づけた。県は、「利根川・荒川水源地域対策基金事業」の2008年見直し案に同構想を取り込み、地元と協議していた。

 エクササイズセンターは、約11億円を投じてエステティックサロンやトレーニングルーム、サイクルセンター、足湯などを備えた施設を基金事業で建て、株式会社で運営するという構想の目玉だった。

 しかし、県によると、09年8~12月に県内や東京都内などで調査に応じた20~60代の男女約500人のうち、「行ってみたい」と答えたのは15%。行く頻度を尋ねても、大半が「行ってみないとわからない」などと消極的な答えだった。県は経営的に難しいとみて、寺石教授に代替案の検討を依頼したという。

 このほか8日の特別委では、川原湯と川原畑の両地区の移転代替地を結ぶ計画の「湖面1号橋」をめぐり、国が新年度予算案で1号橋へ予算を配分するか不明な段階で、橋脚工事の落札業者と契約するリスクを指摘する声が委員から上がった。県側は「(工事を中止した場合)業者に損害を賠償する義務が生じる」と認めたが、「入札や契約を国からやめろと言われていない。国の判断でやめる場合はしかるべき協議があると考えている」と述べ、契約を結ぶ方針は変えないと明言した。

 のり面崩落の恐れから工事が遅れている国道145号八ツ場バイパスについては、県は「そうした事実があると聞いているので、早期に調査結果や対策を説明するよう、国に求めている」とした。

◆毎日新聞群馬版 2010年3月9日

 -公共事業:平均落札率94.5% 県議会特別委「談合有無の判断無理」 /群馬ー
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100309ddlk10010095000c.html

 県は8日、昨年4~12月に県土整備部が発注した公共事業の平均落札率が94・5%だったと明らかにした。県議会八ッ場ダム対策特別委員会で、角倉邦良氏(リベラル群馬)の質問に答えた。比較的高い数字に、角倉氏は「(談合の有無の)調査をするか」と尋ねたが、県契約検査課の針谷宗人課長は「落札率をもって談合があったかどうかというのは無理」と慎重な姿勢を示した。【奥山はるな】

 県契約検査課によると、昨年4~12月、県土整備部は道路や河川などの公共事業1493件(総額323億3700万円)を発注。一般競争入札は74件で、うち1社しか応札せず「無競争」となったのは12件だった。

 08年ごろから八ッ場ダム関連工事における一般競争入札の落札率の高さを指摘してきた市民オンブズマン群馬の杉山弘一副代表は「個々の落札率を見ないと一概には言えないが、落札率が90%以上に集中していれば、談合の可能性が強まる。平均が90%を超えたというだけでも、調査する価値があるのでは」と話している。

 2月24日の衆院国土交通委員会で、民主党の中島正純氏が国や県の資料に基づき、01~08年度に国や県が発注した同ダム関連工事(100万円以上)のうち、264件を受注した業者が自民と民主の選挙区支部などに献金していたと指摘。264件中180件は談合の可能性が高いとされる落札率95%以上だった。前原誠司国交相は「調べていないので談合があったかは分からないが、客観的に見れば談合が行われていたのではないかという状況だ」とし「できる限り調査したい」と答弁している。

 04年度以降、県土整備部発注の公共事業の平均落札率は93・8~96・0%の間を推移しており、同課は「品質確保のため、入札の最低価格を指定するなどしているので、落札率が高くなる。談合が行われていると決めつけることはできない」としている。