八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

湖面2号橋のセレモニー

2010年7月1日
 昨年9月、政権交代の象徴として、テレビ画面にたびたび映し出された十字架状の湖面2号橋の橋桁がつながり、昨日、現地でセレモニーが開催された様子がニュースで流れました。
 ダムを推進してきた地元長野原町の町長らは、「ダム本体工事に向けて意義深い」と挨拶。政権が八ッ場ダム中止方針を掲げながら、生活再建関連事業と呼ばれる八ッ場ダム事業が粛々と進められ、一方で地元住民の生活再建は一向に先が見えない矛盾だらけの状況が続きます。昨年末、この湖面2号橋の工事現場で、作業員の方が亡くなられたことはどのニュースも取り上げません。
 湖面2号橋は県道の一部で、吾妻川の右岸では付け替え鉄道の新しい川原湯温泉駅の脇を、左岸では水没予定地の児童が通う長野原第一小学校の脇を通る予定です。湖面2号橋の上流には湖面3号橋ができ、下流の川原湯温泉駅前では、湖面1号橋の工事が始まっています。

●2010年7月1日 産経新聞群馬版より転載
ー参院選 「八ツ場」積極論戦なく 住民らに焦り 群馬ー
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/100701/gnm1007010211001-n1.htm

 30日に接続式が行われた八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)生活再建事業の一つ、湖面2号橋。関係者からはこの日、「地域の再生が近づいている」と歓迎の声が上がった。だが一方で、住民らが求める本体工事の是非については、社会の関心が低下。今回の参院選では群馬選挙区でも、積極的な論戦は展開されておらず、住民らは「日に日に苦しくなっている現状を理解してほしい」と焦りを隠さない。(時吉達也)

 湖面2号橋は今年度内に開通予定。八ツ場ダム関連の生活再建事業をめぐっては、湖面2号橋と同様、ダム湖建設が予定されていた地域を横断する「湖面1号橋」の建設継続が、今年3月に決定。ダム建設に伴う住民の移転も進み、国土交通省関東地方整備局八ツ場ダム工事事務所によると、昨年度1年間で30世帯が住所を移し、家屋移転を完了させたのは対象470世帯の8割強に達したという。

 ただ、昨年秋に政府が建設中止を表明した本体工事については、民主党が「予断を持たずに検証する」、自民党が「本体工事に着工」、共産党が「本体工事を中止」などと、それぞれの主張を明らかにしているものの、県内でも争点になりきっていないのが実情。ある陣営関係者は「県民の関心はさまざま。地元以外の地域で、ことさら『八ツ場』を押し出す必要はない」と話す。

 こうした状況に、住民の一人は「下流域の治水にかかわる問題で、私たちだけの問題ではないのに」と首をかしげる。

 大沢正明知事は30日の記者会見で、「これだけ地元住民の思いがあるわけだから、争点にしていただきたい。候補者の考え方をしっかりと述べるべきだ」と訴えた。

●2010年7月1日 読売新聞群馬版より転載
ー「2号橋」橋げた接合祝うー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100701-OYT8T00050.htm

 接続工事が終わり、「閉合式」が行われた湖面2号橋(30日、長野原町で)  八ッ場ダム(長野原町)の水没予定地である川原湯、林地区の住民が移転する代替地を結ぶ「湖面2号橋」(長さ約590メートル)の橋げた接続完了を祝う「閉合式」が30日、橋の上で行われ、地元住民ら約100人が出席した。

 工事発注者の国土交通省八ッ場ダム工事事務所の佐々木淑充所長ら関係者が、橋げたの一部にセメントを流し込むセレモニーを行った後、川原湯地区の清水英之区長、林地区の篠原忠秋区長が握手を交わし、橋の接続を祝った。

 来賓の高山欣也町長は「代替地での生活が水没住民のさしあたっての希望。2号橋の完成が本体工事着工に向け、大きな意義あるものと期待したい」とあいさつした。

 昨年9月に前原国交相がダム本体工事の中止を表明した後、湖面2号橋は、工事途中の橋脚が巨大な十字架のように見えたことから八ッ場ダム問題を象徴する風景としてマスコミに取り上げられ、有名になった。

 接続工事は5月25日に完了していた。今後は橋の舗装や欄干の工事などを行い、9月末に完成予定。取り付け道路などの工事を経て今年度中に供用が開始される。総事業費は約63億円。

●2010年7月1日 朝日新聞群馬版より転載
ー政権交代の象徴 「湖面2号橋」つながる
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581007010001

 八ツ場ダムの地元、長野原町で30日、ダムの水没予定地にかかる「湖面2号橋」がつながったことを祝う式典があった。昨年9月に前原誠司国土交通相が「ダム本体中止」を宣言して以来、十字架のような姿から「政権交代」の象徴ともなっていた。

 2号橋は総事業費63億円をかけてつくられた。水没予定地の川原湯、林両地区を結ぶ県道の一部で、全長590メートル。橋を支える4本の橋脚のうち最も高いのは80メートルを超え、国内有数の高さだという。

 舗装工事などが終わり完成するのは9月末の予定。国交省では、すでに工事が終わった上流側の3号橋とともに年度内の開通をめざす。下流側の1号橋は5月に工事が始まったばかり。

 式典では関係者が60センチ四方の穴に生コンを打ち込んで、橋を「閉合」させた。高山欣也町長は「八ツ場ダムの象徴となった橋がつながったことは、本体工事の着工に向けて意義深いことだ」と話した。