あしたの会の活動を誤解させたフジテレビの番組

 2010年7月22日

 八ッ場あしたの会は「八ッ場ダム事業の見直し」と「水没予定地の人々の生活再建」を目指して活動しています。八ッ場ダムの本体工事中止だけでなく、現地の人々の生活再建、地域再生がなされなければ、八ッ場ダム問題の本当の解決はないからです。ダム予定地の人々の犠牲は計り知れません。問題を先送りにするのは容易ですが、それでは犠牲が積み重なるばかりです。
 今週日曜日、フジテレビで放映された番組で当会が紹介されました。しかし、その取り上げ方は残念ながら視聴者に多くの誤解をまねくものでした。本日付で申し入れ書をフジテレビに送付しましたので、以下に公表します。
  マスコミは”第四の権力”といわれます。世論をミスリードすることのないよう、公器としての責任を果たすことを期待します。
  
 
 フジテレビジョン代表取締役社長 豊田 皓 様
 フジテレビジョンディレクター 高橋 龍平 様

 拝啓

 7月18日に貴テレビ局で放映された番組「八ッ場ダム三代 ~愛するふるさとよ 沈んでくれ!」に関しまして、書面にて申し入れをいたします。

 八ッ場あしたの会は「八ッ場ダム事業の見直し」と「水没予定地域住民の生活再建」を目指して活動しており、八ッ場ダム予定地の住民の皆さんが強いられている厳しい状況についてマスコミの方々に訴えてきました。上記番組の高橋ディレクターも情報を提供したマスコミ関係者のお一人です。

 八ッ場あしたの会の代表世話人の一人である歌手の加藤登紀子さんは、2005年に八ッ場ダム水没予定地の川原湯温泉を訪ねて温泉街の人々と出会い、2007年に地元の方々を支援する無料コンサートを現地で開催しました。温泉街の方々とのこうした交流の中で、2008年5月に他の代表世話人と共に、地元の旅館等経営者の方々との親睦会が催されました。

 加藤登紀子さんらの八ッ場ダム予定地訪問について、高橋ディレクターより取材・撮影の依頼があり、地元の方々の厳しい状況と私どもの活動を紹介するとの趣旨から、依頼をお受けすることになりました。ところが、7月18日の放映では字幕で八ッ場あしたの会は「八ッ場ダムの建設反対を唱える市民団体」であるという一面的な紹介をした上で、当日の親睦会の映像が流されました。その中で加藤さんが、親しくなった地元の方々の生活再建を心配して発言した言葉の一部のみが取り上げられ、それに続く場面で地元の方が、市民団体を相手にしない、という場面が流れました。加藤さん、八ッ場あしたの会が地元の生活再建を願って活動していることは何も触れられず、加藤さんの言葉が地元の方の怒りを買ったと受け取れる編集でした。しかし、これは事実ではありません。このような映像によって、地元のことを何も知らないのに地元の人々の苦境を無視して理想論を唱える他所者というステレオタイプなイメージが作り出されました。

 18日に放映された当該場面は、昨年7月10日に貴テレビ局で放映された「翻弄 ~57年目の沈む村」でも使用された映像であり、番組の放映後、視聴者より、八ッ場あしたの会への非難攻撃のメールが何通も届きました。視聴者からの攻撃の趣旨は、八ッ場あしたの会および加藤登紀子さんが地元の人々の苦境に何の関心もなく、一方的にダム中止という自分たちの理想論、感情論を押しつける人々だというものでした。

 今回の放映後も、前回と同様の印象を持った視聴者の方々から、同様の趣旨の攻撃的なメールが届き、インターネットで八ッ場あしたの会や加藤登紀子さんの発言を中傷するブログの記述なども見られました。これらの攻撃は全く事実に反するものであり、私どもの活動や当日の状況についての誤解に基づくものです。

 昨年7月10日放映の際は、その直前に高橋ディレクターより2008年5月の映像が使用されることが告げられましたが、その番組で私どもの活動をどのように取り上げるのかについて具体的な説明はなく、私どもの活動の趣旨が誤解される編集が行われていることを察知することは不可能でした。

 今回の放映については、番組制作者から何の連絡もなく、同じ場面が再使用されることについての事前の説明もありませんでした。番組制作者は撮影当日、八ッ場あしたの会だけでなく、加藤登紀子さんら代表世話人の著名人に対して撮影許可を得たとのことですが、ご本人たちの意思に反した内容を無断で繰り返し放映するようなことがあってよいのでしょうか。

 昨年の政権交代後、八ッ場ダムについて一斉に大量の報道が流れましたが、それまで八ッ場ダム問題があまりに知られていなかったためか、誤った情報が精査されることなく流され、人権侵害が目に余るケースが多数発生しています。八ッ場ダム問題を巡る状況が緊迫する中、このようなデリケートなテーマについて、社会に広範な影響を与えるテレビ局が番組を制作、放映する場合には、取材対象者の発言意図を確認し、映像使用について本人への許可を得るなどの最低限のマナー遵守は、公器として当然求められることではないでしょうか。

 取材に協力した結果、誤解に基づく非難攻撃を浴びる事態となったことについて、やりきれない思いでいっぱいです。
 今後、二度とこのようなことが起こらぬよう、貴テレビ局、および番組制作者の誠意あるご対応を求めます。

                                       敬具
                               
                                             八ッ場あしたの会