馬淵新大臣就任を受けて、各方面の声

 2010年9月18日、菅改造内閣が発足。昨年9月16日の鳩山政権発足より約1年、前原誠司大臣が進めてきた八ッ場ダムを巡る政策はこれからどうなるのか、混沌とした中で、馬淵澄夫氏が民主党政権二代目の国交大臣に就任しました。馬淵大臣就任を受けて、各紙が様々な反応と馬淵大臣、前原前大臣の八ッ場ダム問題に関する発言を取り上げています。

◆2010年9月18日 上毛新聞一面よりより転載
ー馬淵国交相 八ッ場中止変わらず 大沢知事「地元の声聴いて」ー

 前原誠司前国土交通相が八ッ場ダム本体工事の建設中止を打ち出してからちょうど1年、内閣改造で馬淵澄夫氏が新しい国交相に就任した。馬淵氏は首相官邸での記者会見で八ッ場ダムについて「できるだけダムによらない治水のあり方を検討し、提示していこうと再検証を進めている。有識者会議の中間報告もいただき、中止の方向を持ちながらも予断なく検証という、この方針は変わらない」と述べ、前原氏の路線を継続させる考えを示した。
 馬淵氏は民主党内で、耐震強度偽装問題などの追及で名をはせた論客として知られる。昨年9月の民主党政権誕生で国交副大臣に就任。前原氏の下で、高速道路無料化や八ッ場ダム本体工事の建設中止といった政策転換を進めた。
 昨年9月と今年1月に前原氏が長野原町を訪れた際にも同行。前原氏が一時、建設凍結を検討していた八ッ場ダム地元住民の生活再建関連事業の一つ「湖面1号橋」をめぐっては、、建設継続を主張したとされる。
 横浜国大工学部土木工学科出身で、三井建設に勤務した経験もある元土木技術者。ある国交省の職員は「ダム工事とはどういうものか前原さんよりよく知っているし、大変さも認識している人」と手腕を評価する。
 馬淵氏の国交相就任を受け、大沢正明知事は「大臣という立場で一日も早く1都5県知事や地元の皆さんの声を聴いてもらい、深刻な地元の状況を把握していただきたい」とコメントを発表。引き続き中止撤回と生活再建関連事業の推進を強く求めていく考えだ。
 一方、八ッ場ダム建設の見直しを求めている市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「前原氏が大臣を務めた1年はダム本体の再検証も地元の生活再建もなおざりだった」と批判。「馬淵氏には専門チームをつくって地元住民にヒアリングしたり、地元支援の法案をまとめるなど問題解決に向けた迅速な政治決断を求めたい」と話した。

(以下、二面より転載)
ー国交相交代「逃げられた気持ち」 八ッ場住民 前向き判断へ要望もー
 「生活再建が遅れなければいいが」「早く検証結果を出して」-。前原誠司前国土交通相が外相に就任し、後任に馬淵澄夫国交副大臣が”昇格”する閣僚人事が17日に決まると、八ッ場ダムの地元、長野原町の水没地区住民らは不安や期待、さまざまな気持ちで大臣交代を受け止めた。
 高山欣也町長は「前原大臣が中止を表明し、生活を混乱させたのだから解決まで続けるべきだった。結論を出さないうちに逃げられた気持ち」とバッサリ。馬淵氏に対しては「先入観を持たないで検証し、一日も早く結論を出してほしい」と期待を込めた。川原湯温泉街で酒店を経営する篠原ヒサさん(80)は「前原大臣は中止の姿勢を示していたが、新しい大臣には(ダムを)造ってほしい」と要望した。
 同ダム水没関係5地区連合対策委員会の萩原昭朗委員長(78)も「新大臣には現地をよく見て、下流都県の意見を聞いてダム建設を前向きに判断してほしい」と注文を付けた。
 自動車修理・販売業の森田英男さん(66)=同町川原畑=は「馬淵さんは副大臣だったので、大きな変化はないと思う。人が代わった分だけ、生活再建が遅れるのが心配」と不安そうに話した。

ー大規模事業見直し 「一朝一夕にできず」 前原氏が離任会見ー
 外相に横滑りした前原誠司国土交通相は17日午前、国交省で離任会見し、1年前の就任直後に中止表明した八ッ場ダム(長野原町)問題で、地元住民との話し合いが1月以降、途絶えていることについて、「なかなか話し合いに応じていただけないのは残念だが、仕方ない。大きな公共事業の見直しは一朝一夕にはできない」と述べた。
 同有識者会議で八ッ場ダムを含む全国のダム事業の是非を判断するための基準づくりが進んでいる点を在任中の成果に挙げた。
 今後の治水の在り方については、「トータルなコストの中で、『できるだけダムに頼らない治水』を考えた。治水の哲学そのものを見直していかなければいけない」と持論を語った。

◆2010年9月18日 読売新聞群馬版より転載
ー八ッ場担当・国交相に馬淵氏 想定外、様子見、期待の声ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100918-OYT8T00043.htm

 八ッ場ダム対応で注目される国交相に就いた馬淵氏は、昨年9月と今年1月、前原氏の現地視察や地元との意見交換会に同行しており、国交省内では「まじめで手堅い」との評判もある。

 大沢知事は「一日も早く6都県や地元の声を聞いて、深刻な状況を把握してほしい」とのコメントを発表。取材に対し、「全くの素人ではないだろうが、本人とはほとんど話をしたことがない」と語り、前原氏との「太いパイプ」が途切れることに不安をのぞかせた。

 長野原町の高山欣也町長は「想定外だったが、前原さんの方針や考えを理解していると思う。早く代替地を造成して住民の不安を払拭(ふっしょく)してほしい」と語った。川原畑地区ダム対策委員長の野口貞夫さん(66)は「どういう考えや方針をもっているのか、じっくりと見ていきたい。6都県の意向を尊重して、ダム建設の方向に行ってほしい」と訴えた。

 一方、川原湯温泉で老舗旅館「山木館」を経営する樋田洋二さん(63)は「前原さんは『生活再建をやる』と言ったが、実績は上がっておらず、交代して良かった。馬淵さんには、柔軟性を持って生活再建を進めてほしい」と期待を込めた。

 馬淵氏はゼネコン出身のため、「業界の実態を把握しており、継続性の面でも期待できる」(青柳剛・県建設業協会長)というエールも送られた。

◆2010年9月18日 東京新聞群馬版より転載
ー菅改造内閣発足 八ッ場ダム・中ぶらりの地元 国交相『誰でも同じ』ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100918/CK2010091802000074.html

 17日に発足した菅改造内閣で、八ッ場(やんば)ダム問題を担当する国土交通相が、前原誠司氏から副大臣だった馬淵澄夫氏に交代したことについて、ダム中止撤回を求める地元・長野原町の関係者は「誰が大臣になっても同じ」と冷ややかな反応を示した。一方、ダム建設に疑問を示す市民団体は馬淵氏に対し、中止の早期実現に向けた具体的な政策の提示を求めた。 (山岸隆、中根政人)

 前原氏が八ッ場ダム建設中止を宣言してから十七日で一年。長野原町の高山欣也町長はダム建設の可否が決まらない中での国交相の交代に「ダム問題にてこずっていた前原さんには、うまく逃げられたという感じだ」と皮肉を込めて語った。

 川原湯温泉で老舗旅館「高田屋」を経営する豊田明美さん(45)は「トップダウンで早くダムの可否を決断してくれないと、住民の生活再建に向けた議論ができない」と将来の不安を訴えた。

 地元住民の補償交渉に携わってきたダム水没関係五地区連合対策委員長の萩原昭朗さん(78)は「馬淵さんには、地元に直接来て住民の意見を聴き、ダム建設に方針転換することを望む」と話した。

 「個別の会談を重ねてきた実績がある」として前原氏の続投を望んでいた大沢正明知事は、馬淵氏に「一刻も早く流域都県や地元の声を聴いていただくとともに、深刻な現地の状況を把握してもらいたい」と要望した。

 一方、ダム見直しを主張する市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は、ダム中止宣言後の一年間を振り返り「政策としては実体的に何も進まなかった」と前原氏の姿勢を批判した。
 ダム問題の現状については「治水・利水の効果の有無を検証するために必要な情報の公開が徹底的に不足している。中止した場合の生活再建の具体案も示されておらず、地元住民は“中ぶらりん”な状況に置かれている」と指摘。馬淵氏に「前原氏の政策をただ踏襲するだけでは、ダム問題の全面的な解決は困難だ」と警告した。

◆2010年9月18日 毎日新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム・流転の行方:国交相に馬淵氏 住民に期待と不安 /群馬ー
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100918ddlk10010212000c.html

 ◇「深刻な状況見て」
 「誰がなっても先は見えない」「現地の深刻な状況を見てほしい」。八ッ場ダムの中止宣言から17日でちょうど1年。この日の内閣改造で、国土交通相には副国交相だった馬淵澄夫氏が就任し、ダム水没予定地区の住民の間では期待と不安の声が交錯した。

 水没予定の川原湯温泉街。今年4月から休業している旅館「柏屋」の豊田幹雄専務は「国交相が替わっても、生活再建を第一でやってもらいたい。馬淵氏には地元の実情をしっかりと見てほしい」と話した。今年11月に休業予定の旅館「高田屋」の豊田明美社長は「国交相が誰であろうと、先が見えないことに変わりはない。ダムを建設するのか、中止するのかはっきりしてほしい」と語った。

 一方、大澤正明知事は「深刻な現地の状況を把握していただきたい。引き続き(ダムの)中止撤回と生活再建関連事業の推進について強く政府に求めていきたい」とのコメントを出した。【鳥井真平】

◆2010年9月19日 読売新聞群馬版より転載
ー馬淵新国交相、中止路線を踏襲ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100919-OYT8T00035.htm

 前原外相(前国土交通相)の後任として、副大臣から昇格した馬淵国交相は17日夜、首相官邸で就任記者会見を開き、八ッ場ダム(長野原町)について、「できるだけダムによらない治水のあり方を検討し、再検証を進めている。有識者会議の検討結果を踏まえ、中止の方向を持ちながらも、予断なく検証する方針は変わらない」と述べて、前原外相の中止路線を踏襲する考えを明らかにした。

 馬淵国交相は、翌日未明にも国交省内で記者会見を開催。ダム建設と地元の生活再建のあり方を問われたが、「中止するには法的根拠の有無など様々な状況があるが、一朝一夕にはいかない。(地方と)一定の協議が必要だと思う」と手続き論を述べるだけで、生活再建には触れなかった。

 また、ダム中止表明で地元の猛反発を受けた前原外相がこの1年間、地元住民への謝罪を繰り返したのに対し、馬淵国交相は、2度の記者会見では政策論に終始し、謝罪と受け取れるような言葉を発する場面はなかった。

◆2010年9月19日 産経新聞より転載
ー【週刊知事】ダムの方針転換に期待 埼玉・上田清司知事ー
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/100919/stm1009190801000-n1.htm

 上田清司知事は17日の定例記者会見で、この日発足した菅改造内閣について「安定的に国会を乗り切るため、手堅い人材を各グループから配置した」と感想を述べた上で、「困難の後だけに安定内閣かもしれない」と代表選を含む民主党内の一連の混乱を皮肉った。

 さらに、八ツ場ダム(群馬県)の建設中止の方針を表明した前原誠司国交相の後任に馬淵澄夫国交副大臣が決まったことについて、「大臣が代われば中身が変わることもある」と本体工事推進への期待感を示した。その上で「地域住民に希望を与えなければ。民意は(建設工事の)推進」と語った。

 また、8日から15日までの日程で米国を訪問したことに触れ、「医療サービス会社の代表と会談し、日本進出の話の中で埼玉をアピールした。好感触を得ている」と、自身のトップセールスの成果も強調した。