八ッ場ダムの論拠見直しへ(馬淵大臣の会見と関連記事)

2010年11月5日

 本日の閣議後会見で、馬淵大臣が八ッ場ダム建設の根拠の一つである利根川の治水計画における基本的な数値の見直しを指示したとの発言がありました。

◆国土交通省ホームページ・大臣発言より「利根川水系の基本高水の検証について」の部分を転載
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_001213.html

 これは先般よりお話をしておりました中で、利根川水系の基本高水の検証につきまして報告を申し上げます。
 10月22日の会見におきまして、昭和55年度に利根川水系工事実施基本計画を策定した際に、八斗島地点における基本高水のピーク流量毎秒22,000トンを定めるに当たって「観測史上最大流量」を計算した時の詳細な資料を徹底的に調査するよう指示したと、このように申し上げました。現時点でこの資料一括としての資料は確認できませんでした。
 また、11月2日の会見でお答えをしたとおり、平成17年度に現行の利根川水系河川整備基本方針を策定した際の、昭和55年度に定めた基本高水のピーク流量については、飽和雨量などの定数に関してその時点で適切なものかどうか十分な検証が行われていなかったと考えております。
 結果から見れば、「22,000トンありき」の検討を行ったということであります。
 私としては、これは大変問題であると思っておりました。
 過去の資料がないということを私は問題にしているのではなく、利根川の治水計画の基本である基本高水の信頼性が揺らぎかねない問題であるということをかねがね申し上げてきたわけであります。
 この件につきましては、国土交通省、当時でありますが大変ずさんな報告をしたと、このように思っておりまして、率直に所管する大臣としてお詫びを申し上げます。
 このため、今後、過去の資料の調査というのはこれにて打ち切ります。
私は改めて、従来の流出計算モデルにとらわれることなく、定数の設定、あるいはゼロベースにおけるモデルの検証を行って基本高水について検証するよう河川局に指示をいたしました。
 この基本高水の検証に当たりましては、「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」におきまして、逐次情報公開などをするなど考えておりますが、学識経験者、あるいは科学的知見といったところでの評価をいただいて、透明性を確保しながら、私としてはできる限り早い段階で御提示をしてまいりたいと思っております。

◆2010年11月5日 毎日新聞政治面より転載
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101105k0000e010035000c.html

ー利根川:治水計画資料なし…「八ッ場」の論拠、見直しへー

 馬淵澄夫国土交通・沖縄北方担当相=2010年9月撮影 馬淵澄夫国土交通相は5日、各水系の治水計画の目標として河川整備方針で定める水量のピーク(基本高水)のうち、利根川を毎秒2万2000トンと算出した際の資料について「一括資料は確認できなかった。利根川の河川整備基本方針を策定した際、十分な検証が行われておらず、2万2000トンありきの検討を行った。当時の国交省がずさんだった」と謝罪した。八ッ場(やんば)ダム(群馬県)の必要性の論拠となっており、馬淵国交相は再計算も含め「ゼロベース」で調査するよう指示。他の水系の基本高水の信頼性にも疑問符が付く可能性が出てきた。

 基本高水は、最大で200年に1度発生しうる洪水を想定する。利根川では80年、中流の八斗島(やったじま)(群馬県伊勢崎市)付近を基準地点に毎秒2万2000トンと算出。05年度に河川整備方針が決定された際、妥当性が国交省の社会資本整備審議会で検証され、「既定計画策定後の水理・水文データの蓄積等を踏まえ、既定計画の基本高水ピーク流量を踏襲することが妥当」と判断。

 馬淵国交相は、基本高水がどのように決められたのか9月以降、同省河川局に説明を求め、80年当時の算出経緯を記した資料を調査するよう指示。雨の山への浸透度(飽和雨量)などの資料は保存されていたが、47年のカスリーン台風をモデルに、80年に算出した際の一括資料は確認できなかったと報告があったという。【石原聖】

◆2010年11月5日 朝日新聞社会面より転載
http://www.asahi.com/national/update/1105/TKY201011050287.html

ー利根川洪水想定の流量資料、やはり存在せず 国交相謝罪ー

 利根川水系で200年に1度の大洪水が起きた時の最大流量(基本高水)を算出した資料が見つからない問題で、馬淵澄夫国土交通相は5日、再調査の結果、資料は存在しないと結論付けた。30年前に算出された基本高水の数値は2005年度にそのまま国の方針として踏襲されたが、馬淵国交相は「大変、ずさんだった」とおわびした。

 利根川水系の基本高水は、1980年に中流の群馬県伊勢崎市の八斗島(やったじま)で毎秒2万2千トンと計算され、八ツ場(やんば)ダム(群馬県)を建設する最大の根拠とされてきた。05年度、国の審議会が新河川法に基づく利根川の河川整備方針を決めた際も、同じ数値が踏襲された。馬淵国交相は国の審議会で、十分な検証が行われなかったとして、「2万2千トンありきの検討を行った」と当時の国の判断を厳しく批判。その上で、「過去の資料がないことを問題にしたのではなく、利根川の治水計画の基本である基本高水の信頼性が揺らぎかねない問題だ」と語った。

 今後、馬淵国交相は、過去の算出方法にとらわれず、ゼロベースで基本高水を再計算するよう指示したという。新たな基本高水は、国と八ツ場ダムの建設費を負担する6都県などでつくる検証の場で明らかにしていくという。

◆2010年11月5日 共同通信47ニュースより転載
http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010110501000368.html

ー国交相、最大流量の再計算を表明 八ツ場ダムでー

 馬淵澄夫国土交通相は5日の記者会見で、八ツ場ダム(群馬県)を建設する根拠として使われている利根川の最大流量(基本高水)について「(過去の算定に使った)計算モデルにとらわれることなく、ゼロベースでモデル検証を行う」と述べ、再計算する考えを表明した。

 馬淵氏は、調査を指示していた利根川の最大流量を計算した際に使った資料などが確認できなかったとして「調査は打ち切る」と説明。資料がないことは「利根川の治水計画の基本である基本高水の信頼性が揺らぎかねない問題だ」と指摘、再計算を指示した。

 八ツ場ダムは現在の最大流量を減らすため建設するとされているが、ダム反対派は、国が森林などの土壌が持つ保水力を過小評価し流出する水量が多くなっているとして流量計算に問題があるとの立場を取っている。

◆2010年11月5日 TBSニュースより転載
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4568835.html

ー八ッ場の「基本高水」再計算ー

政府が建設中止の方針を示している八ッ場ダムに関連して馬淵国土交通大臣はダム建設の根拠としていた洪水時の利根川水系の最大流量について再計算する考えを示しました。

 国土交通省は、過去の降雨量の実績などをもとに「基本高水」と呼ばれる洪水時の最大流量を算出した上で水系ごとにダムや堤防などの治水計画を策定しています。

 八ッ場ダムを含む利根川水系の場合、1947年のカスリーン台風の降雨量を元に算出された、群馬県八斗島での毎秒2万2千立方メートルを「基本高水」として設定し、このうち6千立方メートル分について上流にある6つのダムで水量を調整することになっています。

 馬淵大臣は、この「基本高水」の数値について実績となるデータや計算方法など算出根拠となる資料が国土交通省の中に存在していなかったことを認め、基本高水の数値を再計算する考えを示しました。

 基本高水がこれまでより小さな数値に変更されることになればダム建設の根拠が揺らぐことになるため国交省が関係自治体と共に進めている八ッ場ダムの再検証作業にも影響を与えることになりそうです。(