◆2010年12月8日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581012080001
国交相からの対話要請、地元側は拒否
八ツ場ダムの地元、長野原町の住民との意見交換会について、馬淵澄夫国土交通相は7日の記者会見で、地元側に対して早期の開催打診を要請したことを明らかにした。しかし同日夜、地元側は高山欣也町長や町議らが非公開で協議した結果、「現段階では受け入れられない」などとして、年内の対話を拒否することを決めた。
高山町長は馬淵国交相から今月中の週末の開催を打診されたことを明らかにした上で、「中止方針を棚上げしたものの、中止を白紙撤回したわけではなく、今年1月に(前原誠司・前国交相と)対話した時と状況は変わっていない。年内は多忙で開催は無理」などと説明した。
一方で「永久に会わないわけではない」とし、「来年度のダム関連予算の概算要求の内容が明らかになっていない。八ツ場ダムにいくら予算が付くか、誠意をみたいという意見もあった」と述べ、年明け以降に再び要請があれば検討するとの意向も示した。
この日の協議にはダム予定地周辺の5地区のダム対策委員長5人と、同地区選出の町議5人が出席。「大臣に会って話したい」との声もあったが、馬淵国交相が中止方針を棚上げした後に政府与党の幹部から「中止方針は変わらない」との趣旨の発言が相次いだことを問題視する意見が強かったという。
馬淵国交相は7日の会見で「(11月6日に)現地を訪ねた時には町長や代表者としか会えなかった。住民の方々とお話ししたい」と話していた。6日午後に馬淵国交相名の文書が町長宛てに届いていた。
◆2010年12月8日 上毛新聞より転載
国交相と「当面会わず」 年内の意見交換 八ッ場住民拒否
八ッ場ダム問題で、長野原町の水没予定地の住民でつくる同ダム水没関係5地区連合対策委員会の代表者らは7日夜、町内で会合を開き、馬淵澄夫国土交通相から年内開催の打診があった意見交換に応じないことを決めた。近く文書で回答する。
会合は非公開で約1時間にわたって行われ、高山欣也町長と5地区の代表者、町議ら11人が出席した。終了後、高山町長が記者会見して「年末は忙しく、当面は会わないことにした」と説明した。
会合では①ダム事業中止を完全に撤回したわけではない②今年1月の前原誠司前国交相との意見交換ですでに思いは伝えた③ダム問題に進展がないーなどの理由から、現時点での意見交換に否定的な声が多かったという。
高山町長は「今後も永久に会わないわけではない。例えば来年度政府予算案での生活再建事業の扱いが判明した後などに再度申し入れがあれば、検討したい」と将来的な開催に含みをもたせた。
◆2010年12月8日 読売新聞群馬版より転載
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20101208-OYT8T00096.htm
八ッ場意見交換拒否 国、民主党に不信感強く
「中止方針変わっていない」
建設継続か中止かで揺れる八ッ場ダムを巡り、馬淵国交相が地元の長野原町に年内の開催を打診してきた意見交換会について、地元住民は7日、「ノー」を突きつけた。昨年9月の突然の中止表明以降、政府や民主党に翻弄され続けている住民の不信感の強さが浮き彫りになった。
6日に馬淵国交相から寄せられた意見交換会の年内開催の要請を受け、高山欣也町長は7日夜に急きょ、町役場に水没地区の住民代表5人と町議5人を集め、約1時間半、非公開で意見を聴いた。
会合後、取材に応じた高山町長によると、馬淵国交相は11月6日に同町を訪れた際、これまでの建設中止方針を棚上げする発言をしたが、住民からは「中止方針が変わったわけではない」という意見があったという。さらに、民主党の岡田幹事長が「地元と話し合いをしていくための表現」などと発言したことを念頭に「あれも災いしている」と語った。
また、今年1月に行われた前原国交相(当時)との意見交換会に触れ、「言いたいことは述べてある」「内容が変わっていないのに、忙しい年末に会う必要はない」といった内容の発言もあったという。
馬淵国交相は11月6日の視察の際、高山町長に住民との対話の場を設けるよう求めた。これに対し、高山町長は文書で要請するように国交相に伝えていた。
高山町長は「永久に会わないわけではない。時期尚早。今の(進展がない)状態では、要請には応えられない。中止が撤回されれば会うだろう」と語った。
◆2010年12月9日 東京新聞群馬版より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20101209/CK2010120902000080.html?ref=rank
八ッ場・意見交換会 国交相要請断る 長野原町長正式に文書「当面応えられず」
八ッ場(やんば)ダム問題で、地元の長野原町や八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会などが、馬淵澄夫国土交通相が町に打診した住民との意見交換会の開催を当面は見送る方針を決めたことを受け、高山欣也町長は八日、正式に要請を断る馬淵氏宛ての文書を国交省に提出した。 (山岸隆)
住民との対話をめぐっては、十一月六日に馬淵氏が「今後は中止の方向性という言葉は使わない」と中止前提方針を事実上撤回。高山町長も馬淵氏が望む住民対話に前向きな姿勢を見せていたが、その後に民主党の岡田克也幹事長が大きな方針転換ではないとの見解を示したことから、高山町長が国交省に抗議するなど一転して反発を強めていた。
国交省は今月三日、国の来年度予算の概算要求状況を県に説明する際、水没対象地区住民の生活再建事業費の概算要求額も明らかにせず、地元の不信感は一気に加速。一時の蜜月から冷め切った状態の六日になって、馬淵氏から年内の土曜日か日曜日に意見交換会を開きたいとの文書が高山町長に届いた。
地元側は七日夜に緊急会合を開き、高山町長や同対策委の代表、各地区の町議ら計十人が出席し、高山町長が経緯を説明した。しかし、出席者からは「今年一月に当時の前原誠司国交相と行った意見交換で地元の考えはすでに伝えてある」「ダム建設中止を撤回しないなら話し合いに応じられない」「年末で忙しい」などと直接対話の受け入れに否定的な意見が相次いだ。
会合終了後に記者会見した高山町長は「残念ながら、あえてこの時期に会う必要はないとの結論になった。岡田幹事長の発言が住民の大きな不信感を招いたようだ。生活再建事業の内容も不透明。当面の間は要請には応えられない」と語った。