本体工事に着工した槇尾川ダム(大阪)、中止なるか?

 府民の支持の高い橋本徹知事が槇尾川ダム(大阪府営)を中止にしたいとしています。ダムを中止するためには、法的な問題をクリアしなければならないなど、まだ障害があるようですが、ダム本体工事に着工したダムが中止になれば、わが国では初の画期的なケースとなります。
 槇尾川ダムについては、これまでの硬直した河川行政から真に住民の生命を守る河川行政への転換が必要として、「淀川方式」を採用した元河川官僚の宮本博司さんや今本健博さん(京都大学名誉教授)ら勇気ある識者や滋賀県の嘉田知事の影響が大きいとされています。
 関西に比べ、首都圏のダム行政をめぐる動きは遥かに遅れています。知事も有識者も従来のタガに嵌められて、前に一歩進むことができないのでしょうか? 来年の各都県知事選では、候補者が八ッ場ダムについてどのような見識を持っているかも確認する必要があります。

◆2010年12月21日 朝日新聞関西版より転載
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201012210010.html

 ー橋下知事、自ら脱ダム案を地元住民に説明へ 槙尾川ダムー

 大阪府が建設継続か中止かを検討している槙尾川ダム(和泉市)について、橋下徹知事が建設予定地の地元住民らとの意見交換会を近く開くことがわかった。建設続行に慎重な知事が、住民にダム建設を中止して河川の局所改修などで対応する「脱ダム」案の妥当性などを自ら説明。建設を求める声が強い住民の意見も聴いたうえで、府の幹部会議の場で最終判断する。

 意見交換会は年内か年明けの早い時期で日程を調整している。これまで2回開いており、今年2月に開いた際は、知事が「(雨の降り方によっては)ダムが絶対安全というわけではない」とくり返し訴えたが、住民側の反発は解けず、議論は平行線だった。

 知事は同ダムについて、本体が着工された直後の昨年9月に「原則、ダムは造りたくない」と表明。河川工学の専門家らによる有識者会議で、ダム案(事業費108億円)と脱ダム案(80億円)を比較・検討してきた。だが意見がまとまらないまま、最終判断が知事に委ねられていた。

 知事は20日、朝日新聞に「住民の中に入って考え方を説明し、意見を聴くプロセスを踏む」と話した。知事を支持する府議会最大会派「大阪維新の会」はダム建設の中止を求める一方、地域住民への十分な説明や支援策が必要と提言。知事は住民の意見を聴き、水害が起きた際の訴訟対応なども府庁内で議論したうえで、結論を出す考えだ。(宮崎勇作)

◆2010年12月20日 毎日新聞より転載
http://mainichi.jp/photo/news/20101221k0000m010104000c.html

 ー槙尾川ダム:河川改修で対応、大阪維新の会了承ー

 大阪府が本体工事を中断して是非を検討している槙尾川ダム(和泉市)について、橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の府議団は20日、総会を開き、ダムを中止して河川改修で対応する「脱ダム案」を「最適」とする意見書を了承した。年内にも橋下知事に提出する。

 意見書では、脱ダム案でも、府が治水目標とする30年に1度の大雨(時間雨量65ミリ)の際に人命被害を防ぐことができ、事業費もダム案より約28億円安い約80億円で済む点を重視。脱ダム案を「最も効率的かつ効果的」だとした。

 橋下知事は総会に先立つ20日午前、記者団に「議会が言ったからといって、そのまま(受け入れる)という訳ではないが、非常に重要な判断資料になる」と述べた。【堀文彦】

(写真)槙尾川ダムの建設現場=大阪府和泉市で2010年11月11日、堀文彦撮影

◆2010年12月23日 産経新聞より転載
http://www.sankei-kansai.com/2010/12/23/20101223-047653.php

 ー槙尾川ダム建設問題 橋下知事結論越年かー
 大阪府が建設の是非を検討している槙尾川ダム(和泉市)をめぐり、年内に結論を出すとしていた橋下徹知事の最終判断が、年明けにずれ込む可能性が高くなっている。「ダムは原則建設したくない」と述べる知事が、中止を決めれば本体工事に着工したダムとしては全国初。だが、判断がずれ込んでいるのは、百八十度の政策転換に伴う法的リスクの懸念が残ることや、地元住民に直接説明する機会を持ちたいという意向があるためだ。

 知事は24日、府の顧問弁護士から直接意見を聞き、事業を中止した場合のリスクを整理する方針。

 知事はこれまで「年内に結論を出したい」と明言。いったん本体工事に着工した事業を中止するにあたって、契約業者からの違約金請求や、国支出分の返還請求、府がこれまで支出した金額の返還を求める住民監査請求などの可能性を検討。また将来、大雨による被害が発生した場合、政策転換に伴う損害賠償が必要かどうかについても協議してきた。

 しかし、前例がないだけに、府と顧問弁護士との2回にわたる協議では明確な結論が出ていないという。

 そんななか、橋下知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の府議会会派が20日、法的リスクの回避を前提に、脱ダム案を支持する方針を打ち出した。

 知事はリスクを整理したうえで、ダム建設予定地の地元住民らと意見交換会を開き、河川の局所改修などで対応する脱ダム案について説明。住民の意見も聞いたうえで、府の幹部会議で最終判断する方針。しかし日程的に年内での調整は困難な状況になっている。

 府幹部の一人は「法的リスクが伴わなければ、知事はダムを中止したいのだろうが、クリアすべき課題をきちんと整理し、落ち着いて判断する方がよいのでは」と話している。