2011年7月12日
民主党政権のダム見直し方針に沿って、全国のダムの検証が行われていますが、その殆どが実態としては、従来ダム計画を進めてきた当事者による検証となってしまっているため、実際に見直されるダム計画はごくわずかである可能性が高くなっています。
そうした中、滋賀県では、環境社会学者であった嘉田由紀子知事の下、今年5月に滋賀県独自の流域治水基本方針(案)をまとめ、県営のダム計画についても真摯かつ科学的な検証が進められています。
◆2011年7月8日 中日新聞滋賀版
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20110708/CK2011070802000129.html
-北川ダム3案比較へ 安全度を試算し治水-
県議会は7日、本会議を再開し、7氏が一般質問した。国の再検証の対象としている高島市の県営北川ダム事業について、答弁に立った嘉田由紀子知事は(1)同市朽木麻生の第一ダムと、同市朽木雲洞谷の第二ダムをともに建設する(2)第一ダムのみ建設する(3)河道改修だけで治水する-の3案の安全度を試算し、8月に開く検討会で示す考えを明らかにした。
3案の比較には、県が「地先の安全度」と名付ける独自手法を用い、過去に水害被害をもたらした同程度の降雨量を想定して被害発生確率を導く。地域の人らの声を踏まえて、安曇川地区の治水対策方針を決める。
嘉田知事は「しっかり関係住民の意見を伺いたい。過去に大水害を受けた安曇川地区の治水対策は私自身の大変重要な責務」と決意をにじませた。
清水鉄次氏(対話の会)が「住民たちは早く地先の安全度を上げてほしいというのが切実な願い」と訴えたのに答えた。
県営北川ダムは取り付け道路の工事に着手しているが、本体未着工。
(以下略) (木原育子)
—転載終わり—
滋賀県流域治水基本方針(案)はこちらをクリックすると見られます。↓
http://snipurl.com/20il5p
冒頭で嘉田知事がこの基本方針の考え方を直前に発生した原発震災と関連付けて述べていますので、一部を引用します。
滋賀県流域治水基本方針(案)、「はじめに」より
今年3月には東日本大震災が発生し、想定を超える地震とそれに伴う津波が各地を襲いました。この経験を通じて、想定外を想定外と言わない防災・減災が、より強く求められています。
そのような中で、潜在的な水害の危険性に対する認識を県民の皆さまと共有し、河川整備の計画規模を超える洪水を含め、どのような洪水にあっても命を守り、壊滅的な被害を防ぐ治水対策はどうあるべきか、そして同時に、自然の生態系や生き物の宝庫、また文化の源泉でもある河川の力を活かしながら、多面的な治水政策をどう組み立てていくべきか、真剣に議論を進めてまいりました。
この流域治水基本方針は、これまでの議論をとりまとめ、滋賀県が進める多面的な治水政策の道しるべとなるものです。ここには、県民の皆さまの暮らしの舞台である流域(はん濫原)の視点から積み上げる治水政策が示されています。ここから、想定外を想定外と言わない治水の一歩が始まります。