八ッ場ダム対策特別委員会(群馬県議会)

 群馬県議会では定例会ごとに八ッ場ダム対策特別委員会が開催されています。  委員会の名簿は、群馬県議会のホームページに掲載されています。
 http://www.pref.gunma.jp/gikai/z1110886.html  

 これらの委員のうち、八ッ場ダムの建設に反対なのは、伊藤祐司議員(共産)と角倉邦良議員(リベラル)で、他の9名(自民党、みんなの党)は賛成の立場です。 反対議員は賛成議員より数でははるかに劣勢ですが、毎回、多くの疑問点を提示し、質問時間は賛成議員を合わせたよりも長くなります。
 群馬県当局は核心を突く質問に対しては、「これは国の事業なので」という断り文句で具体的な回答を避け、自民党県議の多くは反対議員の質疑の間、居眠りや私語で、無関心や反発をアピールします。  
 群馬県議会では委員会の議事録が公開されません。傍聴が5名まで許可されていることで公開性を保っていることになっているようですが、平日の昼間に時間をとれない県民が多いことや、委員会での発言には責任を伴うことを考慮すれば、議事録は公開されるべきでしょう。  

 今朝の新聞で質疑の一部が取り上げられていますが、他にも色々と問題のやり取りがありました。 以下、質疑の大まかな内容です。
 

・角倉議員「ダム事業が中止になった場合でも、群馬県は地元の生活再建に資する事業に負担金を拠出するべきではないか?」→県「仮定の話には答えられない。県としては、ダム建設が再開になると信じている」  

・角倉議員「川原湯温泉の新駅予定地周辺の用地買収は?」→県「一部地権者との用地取得の交渉が難航していると国から聞いている。」  

・角倉議員「JRの付け替え工事はいつ完了するのか?」→県「具体的な完成時期は国から明らかにされていない」→角倉議員「たとえ八ッ場ダム事業が継続になったとしても、ダム予定地を走っている線路の付け替えが終わらないと、ダム本体工事は実質的には始められないではないか?」→県「国としては誠意を持って用地交渉にあたっていると聞いている」  

・伊藤議員「八ッ場ダムの検証結果では、ダム建設によって電力は減少しないとし、その前提として導水管事業を行うことになっているが、この導水管事業は具体的にどういうものか?」→県「具体的には決まっていない」  

・伊藤議員「八ッ場ダムの治水効果は、ダム推進に都合の良いように膨らまされており、科学的根拠がないのではないか? この60年間、利根川・江戸川では洪水被害がなかったのに、洪水被害の想定額が巨額に見積もられている。」→県「被害想定を計算する際は、水防団などの活動を考慮に入れていない。実際の被害が少なかったのは、水防団などの活動があったからで、実際の被害額と比べておかしいという指摘は当たらない」  

・伊藤議員「ダム事業が仮に再開された場合、国交省の報告書によれば、事業費増額、工期延長は必至と書いてあるが、県はこのことをどのように認識しているのか?」→県「それは関東地方整備局の試算でそうなっているだけで、そうなると確定しているわけではない。群馬県としては、一都四県とともに事業費、工期ともに現計画の範囲内でおさめるよう要望している」→伊藤議員「要望しているといっても、実際に八ッ場ダムの検証結果の報告書にこのことが書かれているのだから、ダム事業が継続されれば、現計画の範囲内でダムが完成することなど、ありえないと考えるべきではないか?」・・・県~上記答弁の繰り返し・・委員長「国からこのことについて意見照会がないのだから、県は(このことについて態度を明確にしなくても)これでいい」

◆2011年12月13日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20111214ddlk10010188000c.html

 -八ッ場ダム建設:推進、反対両派が激論--県議会対策特別委 /群馬ー

◇決議案と意見書案、建設継続求め提出

 県議会八ッ場ダム対策特別委員会が13日開かれ、政府の最終判断を前に、ダム推進、反対両派の応酬が繰り広げられた。推進派の県議は「政治的判断」で中止を目指す前原誠司民主党政調会長らの対応を批判し、建設継続を求める決議案と意見書案を提出。いずれも賛成8、反対2で可決された。一方、ダム中止を求める県議は、国土交通省関東地方整備局による検証が不十分だったとして、ダムは不要と改めて主張した。【奥山はるな】

 この日の特別委では冒頭、県が検証作業の進捗(しんちょく)状況について報告。同整備局が「事業継続は妥当」との対応方針をまとめた段階にあり、現在は「国交相の判断を待っている」と説明した。前原政調会長らの一連の発言については触れなかった。

 これに対し、建設中止を求める伊藤祐司県議(共産)は、同整備局の検証作業が浅間山の噴火時などを十分に想定していないとして「八ッ場は治水上も利水上も無駄で、地滑りなどの災害を誘発する危険なダム。造れば将来に禍根を残す」と主張。角倉邦良県議(リベラル群馬)も、本体工事の凍結を前提に「生活再建が滞らないように、負担金支出を継続してほしい」と要望した。

 一方、建設推進を求める大手治之県議(自民)は、前原政調会長の発言について「納得がいかない」と批判。田所三千男県議(同)も「(国は)政治的判断でなく、生命、生活を守るダムということを頭に据えてほしい」と述べ、県が国に働き掛けるよう求めた。萩原渉県議(同)は「国交相の発言をかたずをのんで見守ってきた。来年度予算に(推進の)結論が反映されることを信じている」と述べた。

 ダム推進の決議案と意見書案は16日の本会議で可決される見通し。

◆2011年12月13日 朝日新聞群馬版より一部転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581112140001

 県議会は13日、八ツ場ダム対策特別委員会(11人)を開いた。国の方針決定前の最終委員会となる可能性が高く、賛否両派が論戦を展開した。

 見直し派は、国交省の再検証で不十分だった点を取り上げた。

 角倉邦良議員(リベラル群馬)は、ダムができれば水没する長野原町川原畑地区の地滑り対策について質問。県の古橋勉・特定ダム対策課長は「工事は今年度中に完了と国土交通省から聞いている」。

 川原湯地区の代替地に来年できる配湯設備の管理費については、県の担当者は「国から具体的な維持管理費の額や期間が示されていないので答えられない」と苦しい釈明をした。

 伊藤祐司議員(共産党)は、米国でダムが泥流を食い止めた事案を国交省が7日の有識者会議で報告したことに言及。「八ツ場ダムの寿命は100年で、浅間山の大噴火は数百年おき。ダムで災害は防げない」と主張した。

 一方、推進派は、関連工事が進んでいる現状を印象づけようとした。

 地元選出の萩原渉議員(自民党)は、草津温泉や嬬恋といった観光地への玄関口となるJR長野原草津口駅の整備計画を尋ねた。

 県によると、駅舎のデザインは決まっており、来年早々に着工し、2013年夏の完成を目指す。約14億3千万円の事業費は、3分の1が県の負担で、それ以外は国とJR東日本が出す。観光拠点として活用する考えだ。萩原議員は「ようやく大臣決断まできた。(ダムを造るという自民党政権時代の)約束は守らないといけない」と訴えた。

 岸善一郎議員(自民党)は、川原湯温泉で毎年1月20日に行われる「湯かけ祭り」の会場である王湯会館について質問。県は、代替地で来年度着工を目指していることを報告した。

 特別委は、基本計画通りの15年度完成などを国に求める意見書を本会議に出すことを賛成多数で決めた。(牛尾梓)