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八ッ場ダム予算執行の条件(民主党議連総会の記事)

2012年1月23日

 1月20日、民主党の議連「「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」(会長:川内博史衆議院議員)が総会を開きました。この会議に呼ばれた国交省、財務省担当者が説明した内容がニュースとなっています。

◆2012年1月23日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581201230001

 -「官房長官裁定」争点にー

 昨年末、建設再開が決まった八ツ場ダム。新年度当初予算案に関連工事費は盛り込まれたが、本体工事費の行方は不透明だ。ダムを推進する国土交通省と見直し派の間では、再開決定直前に示された「官房長官裁定」の解釈が、予算執行の争点に浮上。財務省が国交相に官邸との事前調整を求める事態になっている。

 「その場にいたわけではない」「事務方として勝手に申し上げるのは難しい」

 20日に東京であった民主党「八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」総会。会長の川内博史衆院議員や事務局長の初鹿明博衆院議員が、官房長官裁定について「野田佳彦首相は年末に『予算執行の前提』と発言した」と指摘したのに対し、国交省の担当者は苦しい弁明をした。

 国交省と見直し派の対立点は、裁定の実行が、本体工事費の予算執行の前提なのかという点だ。

 総会で国交省は、生活再建法案については3月上旬の閣議決定をめざすと時期を示したが、利根川水系の河川整備計画については検討を始めたばかり。策定作業は2008年から止まっており、今本博健・京大名誉教授ら河川専門家の間では「過去の例からすれば数年かかる」との見方もある。

 前田国交相は今月6日の会見で、河川整備計画について「『スピードアップしろ』と指示した。有識者の話も聞く」と発言。生活再建法案も、昨年末に省内に検討の態勢を整えたとした上で「通常国会に法案を出す準備を進めている」と述べた。一方、予算執行時期については、自身が判断する意向を強調した。

 国交省としては、裁定が実行されなくても、その実現に一定のメドが立ちさえすれば、予算執行に踏み切る意向とも受け取れる。

 こうした状況に、見直し派は反発を強めている。

 20日の総会で初鹿議員は「裁定の2条件がクリアされていないにもかかわらず、国交相が実施計画を持ってきたらどう対応するか」と財務省に質問。担当者から「非常に申し訳ないが、国交相が判断しても官邸に聞かざるを得ない」と官邸との事前調整を求める答弁を引き出した。

 初鹿議員は「簡単に予算は執行できない。民主党の国土交通部門会議で協議することになるだろう」、川内議員も「首相発言は、裁定の実施が必要と解釈するのが党内の大勢の考えだ。国交省は重く受け止めるべきだ」と話す。

 全国137人の学者が名を連ねる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」も、官房長官裁定が今後のカギとみている。「2条件がクリアされるまでは執行停止の状態が続く」として、今月17日、河川整備計画を民主的に策定するよう首相と国交相に要請。これまでの国交省の有識者会議は、ダム推進派が大半として、人選のやり直しや公開の場での議論を提案した。(牛尾梓、小林誠一)
    ◇
 【官房長官裁定】
 (1)作業中の利根川水系の「河川整備計画」を早急に策定し、基準点(伊勢崎市八斗島)の目標流量を検証する(2)ダム検証で建設中止の判断があったことを踏まえ、建設予定だった地域に対する生活再建の法律を、川辺川ダム(熊本県)をモデルにまとめ、次期通常国会への提出を目指す▽八ツ場ダム本体工事については、上記の2点を踏まえ、判断する――との内容。

 昨年12月22日の建設再開表明直前に、藤村修官房長官が前田武志国交相と前原誠司民主党政調会長に提示。野田佳彦首相は12月29日、「官房長官裁定をクリアしないと予算は執行しない」と述べた。

◆2012年1月20日 共同通信
http://news.so-net.ne.jp/article/detail/664971/?nv=c_photo_latest

 -生活再建支援法案3月に閣議決定ー

 国土交通省は20日、ダム事業が中止となった場合に建設予定地の住民の生活再建を支援する「ダム事業廃止特定地域振興特別措置法案(仮称)」について、3月上旬の閣議決定を目指す方針を明らかにした。

 生活再建支援の法整備は昨年12月、八ツ場ダム(群馬県)の事業再開を決めた際の条件として政府と民主党が合意した。

 八ツ場ダム建設に反対する、与党の議員連盟の総会で同省が説明した。

◆2012年1月21日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20120121/CK2012012102000068.html

 -「八ッ場」本体工事予算執行 財務省「官邸事前調整を」ー

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の本体工事予算をめぐり、財務省は二十日、国土交通省に対して、予算の執行について財務大臣の承認を受けようとする前に「官邸でしっかり調整してほしい」との意向を示した。 (伊藤弘喜)

 この日、衆議院第一議員会館で開かれた「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」の総会で、国交省の担当者が「国交相の判断に基づいて予算執行する」と話したことを受けて、財務省の担当者が述べた。

 通常の予算執行の手続きでは、予算の担当省庁が実施計画を財務相に送り、承認を経る。だが、八ッ場ダム本体工事予算については、国交省が実施計画を送る前に官邸の判断を仰ぐよう、財務省が要請した形だ。

 野田佳彦首相は、ダム建設が中止された地域の生活再建法案の国会提出と利根川水系の河川整備計画策定の二点が完了しない限り、八ッ場ダム本体工事の予算を執行しない考えを示している。

 この日の総会で、国交省側は生活再建法案について「三月上旬の閣議決定を目指している」と明言。利根川水系の河川整備計画については「国交相から策定のスピードアップの指示を受けている」と述べるにとどまり、出席した議員からは「策定を終えることが予算執行の条件だ」とくぎを刺された。