国交省によるマスコミ現地案内

 今冬は例年より寒さが厳しく、八ッ場ダム予定地も谷の北斜面は雪が積もっています。厳しい寒さの中では道路などの関連工事も止まりますが、さる1月26日、国土交通省の出先機関がマスコミ関係者に工事現場を案内しました。八ッ場ダム事業の進捗状況をアピールするためですが、進められている工事はすべて関連事業であり、本体工事ではありません。八ッ場ダムが構想から今年で60年目を迎えていることを考えれば、「進捗状況」というお役所言葉は、「遅延状況」と言い換えるべきでしょう。

 国交省のアピールを鵜呑みにすれば、道路や橋脚などのスケールの大きい事業が展開されていると感じるだけでしょうが、現場をよく見ると、コンクリートが酸性土壌で赤茶けていたり、法面崩落対策を施しているところがひび割れていたり、工事が延々と続けられているところが目に付きます。
 最近の現地での最も大きな変化は、付替え国道が開通したことです。これまでは吾妻川沿いの国道を上流に向かって走ると、自然に吾妻渓谷、川原湯温泉に行き着いたのですが、付替え国道の開通により、現在の国道は脇道になってしまいました。これまで交通の要衝であった川原湯温泉は、水没予定地も代替地も主要幹線から外れ、不利な条件下に置かれることになってしまいました。それを少しでも改善するために、50億円以上の事業費をかけて付替え国道からのアクセスとなる湖面橋を建設しているのですが、橋の建設がどれほど川原湯の賑わいに貢献するかは未知数です。

◆2012年1月27日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581201270001

 -八ツ場関連工事着々 道路・トンネル・・・ー

 国土交通省八ツ場ダム工事事務所は26日、長野原町のダム建設予定地や関連工事の現場を報道陣に公開した。本体工事は止まっているが、道路やトンネルなどの建設は着々と進んでいた。

 「山間の急斜面特有の工法を採用しています」。担当者が雪が降り積もる現場を指して説明した。

 ダムができれば水没する地域の生活道路となる県道林・岩下線(8・5キロ)。杭を岩盤まで打ち込むことで、強度が上がるうえに工程が早く済むという。今年度中の完成を見込む。

 ダムサイトそばの仮排水トンネルは、政権交代前の2009年7月に完成していた。吾妻川を約300メートルにわたってせき止める。長さ390メートル、高さ8メートル。案内されて中を歩いたが、真っ暗で何も見えない。

 ダムの建設予定地に入ると、「586メートル」と書かれた標識が多数ある。満水時の高さを示す地点だ。

 ダムを見下ろせる打越代替地は07年に分譲が始まった。「川原湯温泉の風情が残るように、どの宿からもダム湖が見えるように造成を進めました」と担当者。だが標識よりも下に残る家屋もある。

 JR吾妻線も水没するため、岩島―長野原草津口の10・4キロで付け替え工事が進む。昨年度末現在で約9割が実施済み。新しい川原湯温泉駅の基礎工事も進んでいた。利用客はホームからエレベーターで約6メートル昇って駅前広場に出るという。一部の用地は住民の反対で取得できていない。

 川原湯温泉の出入り口にある湖面1号橋。水没予定地の川原湯と川原畑の代替地間を結ぶ494メートルの県道だ。高さ約65メートルの工事用エレベーターで昇った。建設会社の担当者は「八ツ場では、機材が想定する零下5度以下になるため、苦労もあります」と話した。

 公開終了後、工事事務所の幹部は「地域住民が一刻も早く生活再建できるよう関連工事はできるだけ早く進めていく」と話した。

 新年度の政府予算案は、本体工事を行うための関連工事に18億円、移転代替地整備など生活再建対策事業に117億円を盛り込んでいる。(小林誠一、牛尾梓)

◆2012年1月27日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20120127-OYT8T00109.htm

 -八ッ場ダム 1号橋脚来月完成へ 13年度目標へ進捗状況公開ー

 八ッ場ダム(長野原町)の報道陣向け説明会が26日、現地で行われ、建設中の湖面1号橋(494メートル)や、付け替え県道林岩下線(8・5キロ)などの作業現場や進捗(しんちょく)状況が公開された。

 湖面1号橋は水没予定地の川原湯と川原畑の両地区の代替地を結ぶため2009年度に着工。計4本の橋脚のうち、高さ12・5~73・5メートルの3本は完成済みで、この日は、残る川原湯側の1本(65・5メートル)の作業の様子を公開した。

 工事担当の県によると、この橋脚も現在高さ約60メートル付近まで達しており、2月上旬に完成予定。その後、橋げた工事に移行し、13年度の完成を目指す。

 東吾妻町から長野原町川原湯地区の代替地や湖面2号橋(不動大橋)を通り、林地区に通じる県道林岩下線は、東吾妻町分の700メートルのみが未開通。現時点で残り約350メートルまで作業が進んでいるが、国交省八ッ場ダム工事事務所は「東日本大震災の影響で資材が入荷しにくく、3月末の完成が春先にずれ込む可能性もある」としている。

 また同事務所は川原湯温泉の旅館が移転する代替地に温泉を届けるため、今月から現温泉街の源泉「新湯(あらゆ)」付近で配湯施設の設置工事に着手したと説明。5月の暫定配湯を目指すという。

◆2012年1月27日 上毛新聞
http://www.raijin.com/news/a/2012/01/27/news04.htm

 ー湖面渡る橋、新駅周辺着々と・八ツ場ダム関連工事ー

 建設中の湖面1号橋の橋脚上から水没予定地や代替地を望む 国土交通省八ツ場ダム工事事務所と県は26日、建設継続が決まった同ダムの地元、長野原町や東吾妻町で関連工事の進捗(しんちょく)状況を公開した。

 2013年度完成予定の「湖面1号橋」はこれまでに3本の橋脚が完成し、現在4本目の橋脚を建設中。橋脚の作業用リフトを使って地上約70メートルの足場に上ると、水没地区や代替地が一望できる。開通すれば、長野原町の川原畑、川原湯両地区の代替地を結び、住民の生活の利便性が向上する。

 川原湯温泉街では足湯脇の源泉から湧き出た湯をくみ上げ、配管を通して高台の代替地に送る配湯施設の整備が始まった。足湯前で、送湯ポンプを設置するための基礎工事が進められている。温泉の配湯は、旅館や温泉施設が代替地に移転する前提条件となる重要な工程。国交省は5月から代替地の一部で、暫定的に配湯できるとの見通しを示している。

 川原湯地区代替地に計画されているJR吾妻線の新川原湯温泉駅の予定地周辺では、線路敷きの工事が進められている。

 ダム本体工事の際に河川を迂回(うかい)させる仮排水トンネルの内部、長野原町と東吾妻町を結ぶ県道林岩下線の未開通部分0・7キロの工事現場なども公開された。