農水省の漏水ダム

 杜撰なダム計画を推進するのは国交省だけではありません。
 北海道の東郷ダム(富良野市)は総貯水容量460万?、堤高47.5mの農水省のダムです。総額約343億円の国費を投じてきましたが、着手から約40年経過してもダムの漏水が直せず、いまだに貯水できないのは問題だとして、会計検査院は昨年9月22日、農林水産省に計画見直しを求めました。東郷ダムは1972年度から北海道開発局が実施している国のかんがい事業の一環で、77年度にダム本体に着工しました。検査院によると、当初の総事業費は約80億円。

 この東郷ダムの貯水量を4%に減らして運用することになったという記事を転載します。税金の無駄遣いの象徴のようなダム事業ですが、わが国ではこうした問題でダム起業者が責任を問われることがありません。

 2012年2月13日 日経BPネット
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20120209/557787/

 -漏水が止まらない東郷ダム、貯水量を4%に減らして運用ー

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 北海道富良野市に建設している東郷ダムに生じた漏水の問題で、国土交通省北海道開発局は同ダムの貯水量を計画の430万tから18万tに減らして運用する案を作り、北海道と富良野市などに提出した。同開発局によれば、自治体などの意見をくんで2011年度内に対応方針を固めたい考え。2月9日時点でまだ回答はないという。

 富良野市などに供給するかんがい用水を、東郷ダム以外の水源を利用して供給する方法を提案した。例えば、河川などからの利水で賄った場合、最大で18万tが不足する。この不足分を東郷ダムにためた水で補う。

 東郷ダムの漏水は、基礎の地盤面から約33mの高さまで水がたまったときに発生することがわかっている。ダム上流の基礎地盤面の上には約20mの厚さで砂れきが堆積している。18万tためた場合、水面は砂れきから約10m、基礎地盤面から約30mの高さまで達するが、漏水が生じる33mの高さを下回るので貯水に問題はないという。

 ただし、同案に基づいて貯水量を18万tにした場合、洪水吐きを下げるなどの改修が必要。これらの改修には、設計や工事などに約46億円かかるとみている。

 案を提出したのは2011年12月19日。北海道と富良野市、中富良野町、富良野土地改良区に提出した。北海道農政部によれば、2月9日時点で案の内容について検討中だという。

 東郷ダムをめぐっては2011年9月、会計検査院が農林水産大臣に意見を表示。経済的で効果的なかんがい用水の水源を確保して、事業の効果を早く発現するよう求めた。

 東郷ダムは北海道富良野市などにかんがい用水を供給することを目的として建設しているロックフィルダム。堤高は47.5mで、堤頂長は422m。1977年度に着工した。2009年度までに約198億円の事業費がかかっている。

 漏水は、1993~94年度に実施した試験湛水で発覚。漏水対策を講じたうえで、97~98年度に二度目の試験湛水を実施したが、再び漏水が発生した。漏水は、左岸側の岩盤にある複雑な亀裂が原因とみられている。

 山崎一邦=フリーライター[日経コンストラクション]