八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

ダム中止後の生活再建支援法のニュース(続き)

 八ッ場ダムの再開条件として飛び出してきた「ダム中止後の生活再建支援法についての熊本県のニュースを転載します。

◆2012年2月23日 熊本日日新聞
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20120223002.shtml

 -<解説>五木村の不信払拭へ議論をー

 国土交通省が22日の民主党国交部門会議で示した「ダム中止特措法案」の概要で、国が買収した土地を地元へ無償譲与するなど、川辺川ダム問題を抱える五木村の振興につながる内容が盛り込まれた。

 だが、4月に動きだす村再建計画で想定している国の補助率かさ上げなどが、新法で継続されるかは不明確。地元の不安が解消されたとはいえない。

 概要は、地元自治体が支払ったダム事業負担金の範囲内で国有地を無償で譲るよう明記した。

 五木村では水没予定地244ヘクタールの約98%が国有地。希少な平地もあり、これまで約400億円を負担した県は相当な土地を譲り受け、県と村が産業や観光振興に活用を探る道が開ける。

 一方、国、県、村の3者合意を踏まえた村再建計画には、水源地域対策特別措置法(水特法)に基づき、国が事業費の75%を負担する国道445号や村道整備が含まれている。

 だが、概要は交付金の活用などは記したが、水特法の措置継続は確約しておらず、村の早期再建のために練られた同計画が、新法施行後も着実に進むような手当てが不可欠だ。

 概要は新法の適用を、関係各者がダム中止に合意することが条件としているが、地元には、遅々として進まなかった法整備が、八ツ場ダム(群馬県)建設再開に絡んで急進したことへの不信感もある。

 それを払拭[ふっしょく]するためにも、国は法案の具体化までに県、村と十分な議論を尽くす必要がある。(原大祐)

◆2012年2月24日 毎日新聞熊本版
http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20120224ddlk43010446000c.html

 -ダム事業廃止特定地域振興特別措置法案:計画中止の水没予定地の生活再建支援法案、今国会提出へ /熊本ー

◇五木村をモデルに 無償譲与など盛る

 ダム計画が中止された水没予定地域の生活再建を支援する「ダム事業廃止特定地域振興特別措置法案」が今国会に提出される見通しになった。川辺川ダム計画における五木村がモデルで、国土交通省は22日、民主党国土交通部門会議に概要を説明。3月の閣議決定を目指している。ただ、五木村の再建支援を巡っては既に国と県、村の3者合意ができており、今のところ県と村は冷静に受け止めている。【取違剛】

 法案は昨年10月、八ッ場ダム(群馬県)建設に反対する民主党議連が骨子を作成。政府が12月に同ダム建設再開を決める際、党に対し「予算執行にあたっては同法案の提出を目指す」などと理解を求めていた。

 国交部門会議によると、法案では水没予定地と周辺を「特定地域」に指定し、都道府県が振興計画を作る。国はそれまで自治体が支払ったダム事業負担金の額に応じ、取得していたダム計画地を無償譲与する。

 また、計画中止後も地元にとって必要な道路建設などは継続すること▽自治体の裁量で振興事業に使える「社会資本整備総合交付金」の交付--なども盛り込まれた。骨子に入っていた、水没予定地内の住民への支援金支給は見送られた。

 県川辺川ダム総合対策課は「当面は昨年6月の3者合意に基づいて再建支援する。国は法案のいかんにかかわらずバックアップしてほしい」と静観の構え。五木村の和田拓也村長は「まずは地元と約束した道路整備などを早くしてほしい」と話している。