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科学者の会、公開質問書を提出

2012年3月1日

 民主党政権によるダム検証は、ダム事業を進めてきた国と関係都県が主体となった検証作業に非公開の有識者会議(会議を事実上仕切っている事務局は行政当局)がお墨付きを与えるという官僚主導の手続きで実施されており、八ッ場ダムをはじめ全国のダム事業にゴーサインが出つつあります。
 このほど、国交省の有識者会議で俎上に乗ることになった石木ダムは、長崎県が半世紀前に計画したダム事業ですが、今も水没予定地の13軒の方々がダムに反対しています。 石木ダム等について議論する有識者会議は2月22日に開催の予定でしたが、石木ダムに反対する地権者とこれを支援する市民らが会議の傍聴を求め、有識者会議の事務局(国交省)が傍聴を拒否したため、流会となりました。
 「ダム検証のあり方を問う科学者の会」はこうした事態を踏まえ、本日、国交省の有識者会議に公開質問書を提出しました。

 石木ダムの地元の長崎放送では、夕方さっそくこのニュースを流しました。

 ◆2012年3月1日 長崎放送
 http://www.nbc-nagasaki.co.jp/news/nbcnews.php

 -石木ダム有識者会議に質問書ー

 日石木ダム建設など全国のダム事業の是非を検討する国の有識者会議が非公開で行われていることを受け、ダム問題の専門家らが会議の全面公開を求める質問書を国の有識者会議に提出した。質問書を提出したのは元京都大学防災研究所長の今本博健名誉教授ら、ダム問題などの専門家11人でつくる科学者グループ。国の有識者会議をめぐっては先月、傍聴者を入れない形で石木ダム建設の是非を審議しようとしたが、地元の地権者らが傍聴を求めて抗議したため流会となった経緯がある。質問書では、ダム建設によって土地を奪われる可能性があるダム予定地の地権者は、有識者会議の審議の行方を見守る権利があると指摘している。その上で、有識者会議を構成する委員9人には、傍聴を希望する市民に対して、科学者としての考えを明らかにする責務があり、会議は全面公開すべきとして、今月9日までに回答するよう求めた。

—転載終わり—

 ダム検証のあり方を問う科学者の会が公開質問書を公表しましたので、全文を転載します。

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 国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」

 座長 中川博次様
 委員 宇野尚雄様
 委員 三本木健治様
 委員 鈴木雅一様
 委員 田中淳様
 委員 辻本哲郎様
 委員 道上正?様
 委員 森田朗様
 委員 山田正様

     有識者会議の全面公開を求める公開質問書

 私たち「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は貴有識者会議の会議を全面公開することを求め、次のとおり質問いたします。

 1 ダム予定地の反対地権者が審議を見守る権利について
 2月22日に開催された有識者会議は、石木ダム予定地のダム反対地権者を含む市民が傍聴を求めたことに対応できず、流会となりました。
 当日の会議は石木ダム等の検証報告を審議する予定でした。石木ダムは事業者の長崎県が土地収用の事業認定を九州地方整備局に申請しており、有識者会議がもしダム推進の検証報告を容認すれば、九州地方整備局はそれを受けて事業認定を行い、反対地権者は強制収用がかけられることになります。だからこそ、故郷を奪われることにもつながる有識者会議の審議の行方を見守りたいと、地権者は必死の思いで、傍聴を求めました。会議の日程は事前に決まっていたはずですが、今回も直前の20日にようやく日程が公表されました。このため、傍聴を希望した地権者は、飛行機で上京するために仲間の方たちからカンパを集め、高額なチケットを購入せざるをえませんでした。
 ところが、有識者会議は頑なに傍聴を拒絶しました。そのことに私たちは怒りを禁じ得ません。ダム予定地の地権者はこれからの生活の根底に係る審議の行方を見守る権利があります。その権利を蔑ろにしてよいのでしょうか。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。

 2 有識者会議の合議による全面公開について
 有識者会議の公開の可否を決めるのは有識者会議自体です。有識者会議の規約には「会議は原則として非公開で開催する。」と書かれていますが、2010年9月29日の第12回会議から座長が冒頭で「本有識者会議の規約では、『会議は原則として非公開で開催する。』とされておりますが、私からあらかじめ各委員にお知らせいたしておりましたとおり、本日は報道関係者の皆様に公開で会議を行うということにしたいと思います。よろしゅうございますか。」と諮り、マスコミ関係者に限り、傍聴を認めています。したがって、一般市民の傍聴も有識者会議で座長がその容認を諮れば可能となります。手続き的にはただそれだけのことで全面公開にすることができます。有識者会議の合議で全面公開することについて各委員の見解を明らかにしてください。

 3 一般市民に対して非公開にする理由について
 国の審議会等の諮問機関の公開は今や当然のことになっています。国交省を見ても、国土審議会、社会資本整備審議会、それらの分科会はすべて全面公開されています。公的な諮問機関であるこれら審議会が全面公開されているのに、国交大臣の私的諮問機関である有識者会議がダム検証の行方に関心を抱く一般市民に対して非公開のままであることがどうして許されるのでしょうか。有識者会議の非公開はあまりにも時代遅れであると言わざるを得ません。一般市民に対して非公開にする理由を明らかにしてください。

 4 閣議決定違反について
 閣議決定{平成11年4月27日)「審議会等の整理合理化に関する基本的計画 別紙3 審議会等の運営に関する指針」には「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。」と定められ、同閣議決定「別紙4 懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」で有識者会議のような合議体についても「審議会等の公開に係る措置に準ずる」と記されています。ところが、有識者会議は会議が非公開で、議事録の公開も2ヶ月程度経ってからですから、「速やかに」というには程遠いものです。しかも、発言者の名は伏せられており、発言内容について発言者の責任が問われないようにされています。
 このように、有識者会議は会議が非公開で、議事録も公開に値しないものですから、その理由を明示しなければなりませんが、有識者会議はそのこともしておらず、閣議決定に明らかに違反しています。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。

 5 科学者としての責務について
 有識者会議の各委員はそれぞれ優れた業績を持つ科学者であると思います。科学者は常に、そして誰に対しても、自らの理念や論理に基づく科学的思考の内実を説明する責任があり、自明のこととして有識者会議の議論は公開で行い、会議での発言には責任が伴うものでなければなりません。各委員は傍聴を希望する市民に対して科学者としての考えを明らかにする責務があります。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。

 以上の5点に対するご回答をそれぞれの項目について3月9日(金)までに下記の連絡先へメールまたはFAXでお送りくださるよう、お願いいたします。
 貴有識者会議の各委員が科学者としての良心に基づき、本公開質問書に対し、誠意ある対応をされることを期待いたします。

 2012年3月1日

 「ダム検証のあり方を問う科学者の会」
 呼びかけ人:
 今本博健(京都大学名誉教授)(代表)
 川村晃生(慶応大学教授) (代表)
 宇沢弘文(東京大学名誉教授)
 牛山積(早稲田大学名誉教授)
 大熊孝(新潟大学名誉教授)
 奥西一夫(京都大学名誉教授)
 関良基(拓殖大学准教授)(事務局)
 冨永靖徳(お茶の水女子大学名誉教授)
 西薗大実(群馬大学教授)
 原科幸彦(東京工業大学教授)
 湯浅欽史(元都立大学教授)

 連絡先
 〒112-8585 東京都文京区小日向3-4-14 拓殖大学政経学部
 関良基 気付 「ダム検証のあり方を問う科学者の会」

【参考】
 地元の方々が「石木ダム絶対反対の唄」を唄っている動画↓

 石木川に反対する市民団体のブログ
 http://blog.goo.ne.jp/hotaru392011

【関連記事】
◆2012年3月2日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581203020001

 -有識者会議に公開審議要求ー

 八ツ場などのダムの必要性を再検証している国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長=中川博次・京大名誉教授)の運営方法に問題があるとして、

 「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(共同代表=今本博健・京大名誉教授、川村晃生・慶大教授)は1日、同会議と国交省河川計画課に質問状を送った。

 石木ダム(長崎県)の審議のために2月22日に開かれた会議は、傍聴を求めた反対派住民の対応をめぐって混乱、流会になった。

 質問状は、住民が審議を見守る権利▽会議の全面公開▽非公開の理由▽「議事は公開」とした閣議決定違反▽科学者の責務――の5項目について、見解を9日までに答えるよう求めた。

 同会議は八ツ場ダムの審議でも、報道各社1人とするなど公開を限定した。

◆2012年3月2日 朝日新聞長崎版
http://mytown.asahi.com/nagasaki/news.php?k_id=43000001203020002

 -石木ダム巡り質問書ー

■国の会議流れ科学者ら

 県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムを再検証する国の有識者会議が審議の公開をめぐり流会になる騒ぎがあり、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は1日、国や有識者会議のメンバー9人に見解を問う公開質問書を提出した。

 流会になったのは2月22日に国土交通省で開かれる予定だった会議。県が昨年7月に国に報告した石木ダムの事業継続方針を議論する場だった。

開会前、石木ダムの建設に反対する地権者らが会議の傍聴を求めたの対し、国交省側は「原則非公開」を主張。30分ほど押し問答が続いた末、会議が静かに開催できないとして流会になった。

 「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は、ダム建設の見直しを求める今本博健・京大名誉教授ら137人がつくる。会議を非公開とした理由やダム建設予定地の地権者が会議に参加する権利についての見解を9日までに回答するよう求めている。

◆2012年3月2日 長﨑新聞
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/ishiki/2012/03/02091118.shtml

 -有識者会議の公開を 流会受け、科学者の会が質問書ー

 河川工学者らでつくる全国組織「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は1日、県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を再検証する国の有識者会議が先月22日、傍聴を求める地権者らの抗議を受けて流会したのを受け、会議の全9委員に全面公開を求める質問書を提出した。

 同会は今本博健京都大名誉教授(河川工学)ら11人が呼び掛け人となり昨年発足。全国の学者126人が賛同し、国のダム検証の在り方を疑問視して公開討論会などを求めている。

 質問書では「地権者は生活の根底に関わる審議の行方を見守る権利がある」「一般市民の傍聴は座長が容認すれば可能となる」などとして会議の全面公開を要望。座長の中川博次京都大名誉教授(水工学)ら9委員に対し、9日までに見解を示すよう求めている。

 同会の関良基拓殖大准教授(森林政策)は「これまでの有識者会議は全く検証の体を成していない。本当に科学的な検証をしているのであれば、一般市民にも堂々と公開すべきだ」と話した。