国交省のホームページに3月13日の前田国交大臣の会見要旨が掲載されました。
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin120313.html
官僚出身の前田大臣の答弁はソツがないものの、官僚体制の代弁者という姿勢が顕著です。
昨年の暮れ、政府は八ッ場ダムの本体工事の予算計上を決定し、予算執行には、「利根川の河川整備計画の策定」と「ダム中止後のダム予定地域をサポートする法案の国会提出」という二条件を踏まえて判断することとしました。
後者の法案は八ッ場ダムの中止に当たって必要とされてきたものですが、八ッ場ダム再開とのバーター取引であることから国交省が急いで準備し、すでに3月13日に閣議決定されています。残るは利根川の河川整備計画の策定です。
河川整備計画の策定に当たっては、ダム検証と同様、国交省が準備した素案を有識者会会議が審議することになっています。この有識者会議は、八ッ場ダム推進をかねてから主張している宮村忠氏(関東学院大学名誉教授)が座長を務め、国交省の方針にお墨付きを与える道具となってしまっていることから、いわゆる御用学者の弊害が指摘されてきました。こうした批判を受けて、民主党はダムに反対している識者をメンバーに入れるよう政府に要請していますが、八ッ場ダム本体工事の早期着工を求める関係都県、議員らは民主党の動きを強く牽制しています。
国交省では、表面的に民主党の意見を取り入れるという形をとりつつ、八ッ場ダムを利根川の河川整備計画に組み込むという同省の方針が妨害されることのない体制をとるべく、準備が進められている可能性があります。
前田大臣の会見要旨から、関連箇所を転載します。
◆前田大臣会見要旨 2012年3月13日(火) 8:49 ~ 8:54 参・本会議場 中庭側廊下
閣議・閣僚懇
本日の閣議におきまして、「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」が閣議決定されました。
これは、ダム事業による水没が予定されていた地域で、当該ダム事業の廃止等があった場合に、その振興を図るため、当該地域の生活環境及び産業基盤の整備等を推進するものです。
詳細は事務方からお聞き下さい。・・(中略)
質疑応答
(問)ダムの廃止に伴う生活再建法案が閣議決定されました。
これは昨年末の八ツ場ダムの建設の際の条件の1つになっていたと思います。
これをもって1つ条件がクリアされたと考えてよろしいのか、また、利根川の河川整備計画がもう一つ条件に挙げられていましたが、この整備状況、更には、八ツ場ダムの予算執行の見通しについてお願いします。
(答)1つはこのように再建法案が提出されました。
これは、これから審議をいただくわけですが、もう一つの条件である、利根川の整備計画については、意見を異にする専門家、学者を是非入れるべきというご意見が党にありました。
実は私もそういう思いがありまして、是非加わっていただくような全体のスキーム作りを行なっておりまして、ほぼそれも固まりました。
やはりそのスキームも客観性、透明性というものを持たさなければいけないということが基本ですから、こういうスキームでどういうふうに評価されるのかということを、多少専門の異なる公共政策の専門家であったり、あるいは河川というか、わりと広い分野での専門家であったり、危機管理の専門家であったり、そういう有識者5人くらいでしょうか、学術会議メンバーくらいに当たるような方々に、スキーム自体も評価をしていただいて、ほぼこういうスキームで良いだろうというものがだいたいまとまってきています。
更に具体的な識者を選んでいくということで、こちらの方はまだ最終的に決まったわけではないのですが、何とか進んできているということです。
(問)予算の執行は。
(答)そういうことも決まって、実際に動き始めて、その成果を待ってということですから。
まだ24年度予算のことですから。・・・(以下略)