九州豪雨に関する水害レポートと谷垣総裁発言

2012年7月20日

 九州では豪雨によって大きな被害が発生しています。
 水害があると「ダム建設必要論」が高まるのが常です。

 熊本県の立野ダムに反対する市民団体「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の緒方紀郎さんは、ダム推進派の機先を制するように、水害発生直後から現地調査の詳細なレポートを次々と公表しています。

 ★「立野ダムによらない自然と生活を守る会」のサイト
  http://stopdam.aso3.org/

 ★最新レポート「2012年7月12日洪水の検証と今後求められる災害対策」
  http://stopdam.aso3.org/pdf/20120716.pdf
  2012年7月16日

 国交省とズブズブの関係にある自民党は、総選挙に向けて「国土強靱化基本法」を発表し、10年間に200兆円規模のインフラ整備をするとしています。
 また、先ごろの九州豪雨による水害について、自民党の谷垣総裁は、「民主党の事業仕分けによってダム建設が延期になっている場所が氾濫している」と語ったと報道されています。

◆2012年7月17日 産経新聞 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120717/stt12071714560002-n1.htm
 九州北部豪雨「民主党の仕分けで氾濫」 谷垣自民総裁

 民主党の事業仕分けでは、ダム事業は取り上げられていません。谷垣総裁の発言は最初の前提が間違っています。
 民主党政権になっても全国のダム事業にはブレーキがかかっていません。大分県知事らは民主党政権によるダム建設の遅れによって水害が発生したと語っていますが、大分県にはすでに多くのダムがあり、上流にダムがあるところでも水害が発生しています。今回の水害を政争の具とする前に、現地の被害状況を把握し、河川行政のこれまでの予算措置に問題がなかったか検証する必要があります。

 2009年の政権交代直後に国交大臣となった前原誠司政調会長は、政権公約で掲げたとおり、全国のダム事業を見直す方針を打ち出しましたが、河川官僚の反発により「見直し」(検証作業)は形骸化しています。

 以下のページに全国のダム事業の表を掲載しています。
 https://yamba-net.org/wp/modules/dam/index.php?content_id=1

 ダム事業の中には、民主党政権下で中止が決まったダムもありますが、上記のページの表を見ると、中止となったダムはどれも昨年度の事業費が他のダム事業よりはるかに少ないか、ゼロであることがわかります。これは、事業主体が以前からその事業を中止する方針であったことを示しています。
 これまで自民党政権下でも、国交省などの事業主体の判断により、計画が最初の段階で止まっているようなダム事業の多くは中止されてきました。民主党政権下でのダム事業の中止は、民主党の政治主導によるものではなく、事業主体の判断によるものです。

 八ッ場ダム事業の場合、昨年の暮れに建設省OBの前田武志国交大臣が本体工事の予算計上を決定しましたが、民主党の抵抗により、本体工事の予算「執行」に利根川の河川整備計画の策定などの条件が付されたため、本体工事は現在も未着工です。これを「ダム事業の延期」とみなすこともできますが、八ッ場ダム事業の実態を見ると、ダム本体予定地を走るJR線の付け替えなどの関連事業が用地取得、地形などの悪条件により難航しているため、実質的な本体工事はまだできない状態にあります。関連工事は政権交代後、一度も中断されること無く続けられているのですから、八ッ場ダム事業の遅れは民主党政権の政策によるものではなく、自民党政権下で進められたダム計画の杜撰さが原因といえます。