八ッ場ダム、維新の会の候補者の声

2012年11月25日

 第三極としてメディアをにぎわせている日本維新の会が八ッ場ダム問題についてどのような姿勢であるかを問う記事が、群馬版の各紙で取り上げられています。
 日本維新の会代表となった石原慎太郎氏は、都知事時代、八ッ場ダム推進の筆頭格でした。石原氏をはじめとする関係都県知事の推進ありきの姿勢が民主党政権の八ッ場ダム見直しを困難とした最大の要因と言われます。
 一方、群馬県内では、昨年12月末、民主党が八ッ場ダム再開を決定したことに反発して離党した元民主党議員やその秘書が三名、次の総選挙では維新の会より出馬することになっており、これまでの言動との整合性が問われています。

 同じく日本維新の会から今回、群馬一区に立候補する上野宏史前参院議員は、三年前の参院選ではみんなの党から立候補しました。上野氏は群馬県内の土建業界を地盤とした元建設官僚である義父の後援会を引き継ぎ、国会で八ッ場ダム推進を唱えてきただけでなく、昨年12月22日の夜に前田国交大臣(当時)が八ッ場ダム予定地を抱える群馬県長野原町を訪れた時は、地元の推進派住民や自民党県議らと共に、前田大臣を拍手で迎えたことが知られています。

 ちなみに、同じ12月22日、前田国交大臣が八ッ場ダムの再開決定を明言する前に、野田政権の藤村官房長官は八ッ場ダム再開に反対する民主党の前原政調会長と再開を求める国交大臣に対して、党と国交省の対立を解消するため、八ッ場ダムの本体工事費執行には、ダム中止後の法案の国会提出や利根川水系河川整備計画の策定を踏まえて判断する必要があるとする官房長官裁定を示していました。前田大臣の22日の行動は、官房長官裁定を無視したものですが、前田大臣が長野原町を訪ね、八ッ場ダム再開決定を公言して”地元住民”に歓迎されたことがマスメディアで全国に報道されたことから、そのことが既成事実となって、翌23日、民主党は抵抗しきれず、政府・民主党三役会議で予算案計上が決定されました。
 しかし。後者の利根川水系河川整備計画が未策定であるため、民主党政権では八ッ場ダムの本体工事費は執行されませんでした。
 八ッ場ダムは現在も本体未着工です。

◆2012年11月25日 上毛新聞一面トップより一部転載

 -党、候補 主張にねじれ 有権者に戸惑い 維新に賛否両派 八ッ場ー

 ■整合性
 
 日本維新は、八ッ場ダム建設の強力な推進派だった石原慎太郎前都知事が代表に就任。党には民主党時代、建設再開決定に抗議して党副幹事長などを辞職した2区の前職、石関貴史氏(40)と建設反対を訴えてきた4区の新人、宮原田綾香氏(28)が所属する。建設反対で民主を離党した前職の中島政希氏(59)も行動を共にする。
 石関氏は建設再開を「政治的敗北」とした上で、「政治的に決着した課題はどんな結論であっても速やかに進めるべきだ。だらだらと引き延ばす現状は地元の人を苦しめるだけ」と決着した問題とする。宮原田氏も「改革を前に進めるという理念の下で(石原氏と)一緒の党になった」と割り切る。
 ただ、八ッ場ダム建設を進めてきた大沢正明知事は21日の定例会見で、「上野さんは八ッ場に賛成し、代表の石原さんは推進しており、整合性はついているのか疑問だ」と指摘した。

◆2012年11月22日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000001211220001

 -<2012総選挙@群馬>維新内に賛否両派ー

 小異を捨てて大同につく――。第三極の結集を呼びかけ、日本維新の会の代表に就任した前都知事の石原慎太郎氏は、八ツ場ダム(長野原町)の建設を強く求めてきた。一方、同党に加わった県内関係者には、建設中止を求めてきた見直し派が多い。八ツ場建設への正反対の姿勢は、「小異」なのか。

 大沢正明知事が21日の記者会見で、いぶかしがった。八ツ場ダムの建設を推進する石原氏と、反対の立場の候補者がいる日本維新の会が合流したことだ。「党首の石原さん、上野(宏史)さんは賛成なので、整合性はついているのか疑問に思っている」

 石原氏は2009年に現地を視察した際、「八ツ場ダムは絶対必要。政府に強く進言するつもりだ」と述べるなど、推進派の筆頭格として行動してきた。

 一方、維新が県内で公認した3氏のうち、1区に立候補予定の参院議員、上野宏史氏(41)=比例=は建設に賛成してきたが、2区の前職、石関貴史氏(40)と4区の新顔、宮原田綾香氏(28)は建設反対の立場を明確にしてきた。

 宮原田氏は大学院時代、八ツ場ダムによる地域コミュニティーの変化を研究。10年には「それでも八ツ場ダムはつくってはいけない」の著書を出版した。

 その宮原田氏は21日の取材に、「一つのイシューが争点化していく過程を見て、政治の道を志した」と答え、八ツ場問題を政治家をめざした原点に挙げた。一方で、「民主党政権が中止を撤回してしまった。建設に反対したい気持ちはあるが、もう一回覆すのは現実的には難しいと思っている」とも明かした。

 宮原田氏の選対本部長となり、維新で政治活動を続ける意向の衆院比例北関東の前職、中島政希氏(59)は今年1月、マニフェストに掲げた「八ツ場ダム建設中止」の撤回に反発して民主党を離党した。

 八ツ場への姿勢の違いも「小異」なのか。中島氏は21日の取材に、「政党にはありがちなこと。政治家同士が違うというのは当然のことなんじゃないですか」と反論。「党の方針は決まっておらず、党内でも反対していく。一事業の問題ではなく、国のあり方の問題。八ツ場ダムも統治構造を変えないと変えられない」と話した。(牛尾梓)