八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

川原湯温泉のやまた旅館休業

2012年11月26日

 八ッ場ダムの水没予定地、川原湯温泉のやまた旅館が今月で休業になります。
 やまた旅館は、現温泉街の背後の山の中腹に造成された打越代替地に、新旅館を建設中です。陶芸家であるご当主、豊田拓司さんは、温泉街がダム事業によって衰退してゆく中、小粒ながら川原湯らしさを堪能できる”やまた屋さん”の風情を守ってきました。陶芸教室、地元の食材を使った心づくしの料理によるもてなしが人気で、ホームページには川原湯温泉の歴史や風土についての詳しい解説が掲載されています。
 代替地に移っても観光客に愛される宿が続くことを、多くの川原湯ファンと共に願っています。

 やまた旅館のホームページ
 http://www2u.biglobe.ne.jp/~yamata/

 やまた旅館の先代のご当主、豊田嘉雄さんは、八ッ場ダム絶対反対期成同盟の中核メンバーでした。嘉雄さんのご著書、「湖底の蒼穹」(関東建設弘済会)は、群馬県立図書館に収められています。

◆2012年11月26日 上毛新聞社会面

 -やまた旅館が今月末に休業 川原湯温泉 代替地へ移転準備ー

 八ッ場ダム(長野原町)の水没予定地、川原湯温泉の「やまた旅館」が今月末で休業する。代替地に建設中の新旅館が年明けに完成する予定で、春の開業に向けて準備を始める。最盛期に20軒以上の旅館があった温泉街で、営業を続けるのは4軒だけとなる。
 やまた旅館は、主人の豊田拓司さん(60)が生まれたころ、父、嘉雄さん(故人)が始めた。戦後のにぎわいで多くの観光客が川原湯温泉を訪れ、旅館不足に陥ったことがきっかけという。
 「当時は駅から温泉街まで人がつながっていたそうだ」と豊田さん。
 代替地に建設中の新旅館は、木造2階建ての和風建築。客室5部屋と食堂、内湯を備え、規模は現旅館とほぼ同じ。温泉は、川原湯神社そばの新湯源泉から、ことし6月に完成した配湯施設経由で引き込む。
 豊田さん自身は旅館移転に前向きだが、「ここが良かった」と寂しがる常連客は少なくない。「ここを気に入ってくれている人が、今後も来てくれるかどうか」と不安もあるが、これまで同様、手作りの食器でもてなすつもりだ。
 12月以降も温泉街で営業するのは「山木館」「丸木屋」「やまきぼし」「ゆうあい」の4軒。このうち山木館は代替地で新築工事を始めており、来年6月ごろには3軒に減る見通し。