立野ダムによる災害誘発の危険性とインフラツーリズム

 八ッ場ダム予定地でインフラツーリズムを主導する国交省と跡見学園女子大の篠原ゼミが、熊本県の立野ダムでも同様の企画を進めています。
 八ッ場ダムも立野ダムも、防災(水害の軽減)が主目的ですが、地質が悪いことからダムによる災害誘発の危険性が指摘されています。
 立野ダム予定地では、2016年4月の地震により断層の存在がクローズアップされ、震災復興に専念するべき時に、なぜ危険なダムを造らなければならないのか、とのもっともな理由で、ダム建設反対の声が高まっています。

 国交省と篠原ゼミ(跡見学園女子大)によるインフラツアーの企画は、ダム反対運動の影響力を弱めるための宣伝工作といえます。宣伝の中身を見ると、ジオパークの目玉である柱状節理をダム事業で破壊しながら、「柱状節理の存在は立野ダムというインフラと、阿蘇ジオパークとを組み合わせたインフラツアーの大きな目玉になる。」とPRするなど、環境破壊の現場で繰り返されてきた事実の歪曲と隠蔽のオンパレードです。(以下の記事をご参照ください。)

◆2018年6月22日 Yahoo! ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180622-00000007-impress-life
ー跡見女子大とジャルパック、立野ダムインフラツアー造成のため熊本県南阿蘇村を視察ー

 立野ダムに反対する市民団体のフェイスブックに、ダム事業で破壊された柱状節理の写真があります。
 「阿蘇:立野ダムによらない自然と生活を守る会」フェイスブックより

 八ッ場ダム予定地は浅間北麓ジオパークに登録された地域にあります。ダム建設地はジオサイトの一つであり、国の名勝に指定されている吾妻峡です。立野ダムは阿蘇ジオパークのジオサイトが建設地です。全国各地で、国みずからが最大の観光資源を不要なダムのために破壊しているのが「観光立国」のわが国の実態です。

 八ッ場ダムと立野ダムの柱状節理については、こちらのページで取り上げています。
 八ッ場ダム水没地の柱状節理(国の天然記念物「川原湯岩脈」)は立ち入り禁止区域にありますが、まだ水没していません。水没地に天然記念物があることがクローズアップされると都合が悪いためか、もう随分前から無視されてきました。
 https://yamba-net.org/wp/22958/
 「八ッ場ダムに沈められる柱状節理と立野ダムで「破壊予定」の阿蘇の柱状節理」

 わが国ではまだ、ダムによる大災害が起きていませんが、近年建設されるダムは、八ッ場ダムに代表されるように、地質が悪く、事業が難航してきたケースが多くなっています。
 今月17日に、立野ダム予定地を抱える南阿蘇村が開いた国交省との意見交換会では、住民から「近くに活断層があり、上流側の山が崩れダムに土石がたまれば危険。熊本地震でも立野峡谷から多くの倒木が流出した」、「上流の遊水地整備や下流の河岸掘削などで下流域の洪水対策は可能なはず」などの指摘がありました。
 国交省はこれらの指摘や疑問に答えることができないまま、ダム建設を強行しようとしています。

◆2018年6月22日 朝日新聞熊本版
https://www.asahi.com/articles/ASL6K44QSL6KTLVB007.html
ー立野ダムに賛否 南阿蘇村が現地見学会ー

  南阿蘇村は17日、同村などで建設される立野ダムの現地見学会と意見交換会を開いた。事前に申し込んだ村民約100人が参加。近く着工が予定される工事現場を、国土交通省立野ダム工事事務所職員の案内で見た後、参加者が賛否それぞれの意見を述べ合った。

 ダム予定地では、本体工事期間中に白川の水を迂回(うかい)させるための仮排水路トンネルも見学した。トンネルは直径9・5メートル、長さ500メートルで、秋から川の水を通す予定という。本体は工事の契約を2月に終えており、近いうちに着手するとしている。

 ダムの大きさは高さ90メートル、幅200メートル。下方の三つの穴から常時水を通し、大雨で水量が増えると水がたまり下流への水量を調節する仕組み。総事業費は917億円(2012年時点の見込み)で22年度の完成を目指している。

 意見交換では、住民グループ「南阿蘇自然守り隊」の松本久代表が「近くに活断層があり、上流側の山が崩れダムに土石がたまれば危険。熊本地震でも立野峡谷から多くの倒木が流出した」などと懸念を語り、「上流の遊水地整備や下流の河岸掘削などで下流域の洪水対策は可能なはず」とダムの必要性への疑問も示した。

 国交省側は「遊水地は20~30年に一度の大雨に対応する。ダムは昭和28年水害並の150年に1度の規模の水害に対応するためつくっている」と説明。地権者の住民は「下流域を守るという約束を履行するためにもダムを完成させて欲しい」と求めた。

 意見交換会は1月に続き2回目。議論は平行線のままだが、村は今後の意見交換会は予定しておらず、住民の要望に応じてダムの見学会は随時開催するという。吉良清一村長はダムが必要との立場を改めて示し、「住民に丁寧に説明していきたい」と話した。(後藤たづ子)

~~~転載終わり~~~

 他紙の関連記事をこちらのページに掲載しています。洪水時に、穴あきダムに流木が詰まる懸念などが取り上げられています。
 https://yamba-net.org/wp/42097/
 -熊本県南阿蘇村、立野ダム現地見学会と意見交換会を開催ー