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長崎県の石木ダム 住民描くドキュメンタリー映画再上映とダム推進団体の要望

 石木ダム予定地住民を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもり人」は、最初に長崎県内の45ヵ所で無料上映会が開かれ、4000人以上の県民がこの映画を鑑賞したそうです。
 その後、九州各県での上映を経て、7月には東京・渋谷で上映が始まりました。長崎県では、8月に映画館でも上映されることになりました。

 地元の長崎新聞では、映画上映の記事とともに、ダム予定地を抱える川棚町でのダム推進派の動きを伝えています。地域の分裂を誘う仕掛けは、ダム起業者が地元の力を弱めるために全国で行われてきた常套手段です。
 新聞報道によれば、推進派の団体には1600人もの会員がいるということですが、活動の実態は会員数よりはるかに小規模なもので、長崎県のやらせ団体であるようです。地権者13世帯は、今も団結してダムに反対しているのですから、ダムの早期完成を求める推進団体の要望が叶うことはありませんが、治水面でも利水面でも必要性が皆無な石木ダムですから、本心からダム完成を望む住民が実際に存在するとは思われません。

 関連記事を転載します。

◆2018年7月19日 長崎新聞
https://this.kiji.is/392507238356943969?c=174761113988793844 
ー石木ダム建設予定地の映画「ほたるの川のまもりびと」 山田監督 里山の日常を知って 8月17~23日、長崎で公開ー

  県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設予定地の人々の暮らしを描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」(山田英治監督)が長崎市万屋町の長崎セントラル劇場で8月17~23日に公開される。18日に長崎市内で会見した山田監督は「美しい里山で暮らし続けている住民の、何げない日常や思いを知ってほしい」と呼び掛けた。
 映画は13世帯が暮らす同町川原(こうばる)地区を舞台に2015年秋ごろから約2年かけて撮影。住民が棚田で米作りに汗を流したり、父と娘がキャッチボールをしたりと、ありふれた暮らしや昔ながらの里山の風景を収めている。県内では昨年から45カ所で試写会があり、約4700人を動員した。
 山田監督は「ダム反対ではなく里山の暮らし賛成映画をつくろうと思った。(暮らしの)豊かな部分に共感してもらえるような」と明かした。反対を打ち出せば目をそらす人もいるし、分断が生まれるとの思いからだ。一方で予定地に住むということだけで長い年月、ダム問題と付き合わされる人たちがいた。「せつなくて悔しくて。川原で感じた不条理が映画を撮ろうと思ったきっかけ」と振り返った。
 東京など県外では次々に上映が決まったが長崎では難航した。「上映してほしいとの声が映画館に殺到してやっと公開できることになった。僕が体感したことを映画を通じて体験してみてほしい」と訴えた。

◆2018年7月19日 朝日新聞長崎版
https://www.asahi.com/articles/ASL7L4RWWL7LTOLB00Q.html
ー長崎)石木ダム予定地の記録映画、映画館で8月に上映ー

 長崎県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムの建設予定地、川原(こうばる)地区の人々を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」が来月、長崎市で上映される。県内では延べ45カ所で試写会が開かれてきたが、映画館での公開は初めて。

 映画は、水没予定地に暮らす13世帯約50人の生活を描く。美しい自然や穏やかな日常の一方で、建設に反対する住民と工事を進める行政側の対立が今も続く。

 今月9日には長崎地裁で事業認定の取り消しを求める地権者側が敗訴。18日、長崎市役所で会見した山田英治監督(49)は「本当に残念」とした上で、「現地の状況はまだまだ伝わっていない。映画を見てもらうことで、ダムが必要なのか改めて考えるきっかけになってほしい」と語った。

 上映は8月17~23日、長崎市の長崎セントラル劇場で。午前11時50分~と午後5時30分~の1日2回で、初日は両方の回で山田監督が舞台あいさつをする。(森本類)

◆2018年7月19日
https://this.kiji.is/392507627596481633
ー石木ダム 早期完成を 川棚町民の会が県に要望ー

  県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を支持する「石木ダム建設促進川棚町民の会」の西坂保憲会長らが18日、県庁を訪れて、石木ダムの早期完成を求める要望書を中村法道知事に手渡した。
 同会は2008年に設立し、同町民有志約1600人で構成。反対地権者らが事業認定取り消しを求めた訴訟で、同地裁が棄却する判決を出したことなどを受けて、提出した。
 西坂会長は近年、異常気象で大雨が頻発し、西日本豪雨では死者と行方不明者が200人を超えたとして「川棚川がいつ氾濫するか分からない。安全に暮らすためにも早期完成は町民の切実な願いだ」と訴えた。
 中村知事は「これまでになかった集中豪雨が発生して甚大な被害が生じている。ダム完成を一刻も早く実現したい」と応じた。