国交省、「リスク管理型フルプラン」テーマに水資源開発分科会を開催

 さる10月3日、国土交通省は国土審議会第19回水資源開発分科会を開きました。分科会のテーマは「リスク管理型フルプラン」でした。
 国土交通省のホームページに配布資料がアップされました。
 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000085.html

 フルプランとは「水資源開発基本計画」の通称です。
 水資源開発促進法においては、国土交通大臣が、産業の発展や都市人口の増加に伴い、重要な水系を指定し、これらの水系でフルプランを決定することとしています。現在、水資源開発水系として指定されているのは、利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川の7つの水系です。なお、利根川及び荒川に限り、2水系を合わせて1つの水資源開発基本計画として定めています。ところが、7水系のうち6水系のフルプランは2015年度、吉野川水系は2010年度が目標年度となっており、いずれのフルプランも期限切れとなっています。
右画像=以下の国交省サイト、「水資源開発基本計画(フルプラン)」より
http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000005.html

★利根川・荒川水系フルプラン
 http://www.mlit.go.jp/common/001021585.pdf

 これら7つの水系では、水資源開発促進法により、ダム等の水源開発事業が必要であることを示すフルプランが策定されています。これらの指定水系では、八ッ場ダム、思川開発、霞ケ浦導水事業、設楽ダム、川上ダム、天ヶ瀬ダム再開発、小石原川ダムといった水資源開発事業が進められ、木曽川水系連絡導水路が計画されています。しかし、水需要が減少の一途をたどり、水余りが一層進行していく時代において、水需給計画で新規のダム事業を位置づけることは困難になってきました。

 そこで、国土交通省と水資源機構は、これらの事業を推進するため、「リスク管理型の水の安定供給」が必要であるという新たな理由をつけて、これらの事業をフルプランに位置づけることを考えました。10月3日の会議はフルプランをどのように作成するかが主な議題であったようです。

 今まで通りに水需給計画をつくると、上記の新規の水資源開発事業の位置づけができなくなるので、現行の「需要主導型フルプラン」を「リスク管理型フルプラン」へ改変し、「定量的」「数値」による従来の記載に替え、次のように「定性的に記載」という書き方で、水余り進行の事実を隠蔽しようとしています。

 もはや新規の水資源開発の必要はなくなっているのですから、水資源開発促進法とともにフルプランを廃止すべきなのですが、こうした姑息な方法で、時代遅れのダム事業を推進するフルプランの枠組みが維持されています。

(資料2-3)「リスク管理型フルプラン」の骨子(案)
 http://www.mlit.go.jp/common/001256766.pdf

 なお、指定水系の中で吉野川水系だけは、新規の水資源開発事業の計画がありません。そこで、吉野川水系は従前どおりの水需給計画をつくることになったようです(資料3-2)。何のためのフルプランなのかと思います。

 ◆第19回水資源開発分科会及び第8回吉野川部会 合同会議 配布資料
 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000085.html

· 0-1_議事次第
· 0-2_配布資料一覧
· 1_(資料1)水資源開発分科会及び吉野川部会 委員名簿
· 2-1_(資料2-1)第18回水資源開発分科会及び第7回吉野川部会での主な意見
· 2-2_(資料2-2)次期「リスク管理型フルプラン」のポイント(案)
· 2-3_(資料2-3)次期「リスク管理型フルプラン」の骨子(案)
· 2-4_(資料2-4)次期「リスク管理型フルプラン」の骨子(案)補足説明資料
· 3-1_(資料3-1)次期水資源開発基本計画における渇水リスクの分析・評価について
            (新たな水需給バランスの総合的な点検手法の考え方(案))
· 3-2_(資料3-2)吉野川水系における需要想定方法(案)及び供給可能量算定方法(案)
· 4_(資料4)今後の審議予定
· 5-1_(参考1)次期「リスク管理型フルプラン」と関連する地震対策、
            老朽化対策等に関する基本計画等の概要
· 5-2_(参考2)国土交通省設置法(抄)他