愛媛県・肱川流域、野村ダム直下の町でダム放流説明会

 7月7日の西日本豪雨の際、ダムからの緊急放流後の氾濫で5人の犠牲者が出た愛媛県西予市では、国土交通省四国地方整備局によるダムの操作に納得しない被災住民らが団体を作りました。当初は行政の責任を追及する趣旨の名称を冠した団体名でしたが、それでは国や県との話し合いができないということで、「説明をきく会」という名称に変更されたということです。
 住民団体は行政との話し合いを求め、さる12月10日に集会を開催しましたが、11月中旬に主催団体が要請した参加要請に対して、国と県は直前まで回答しなかったとのことで、被災者と行政との溝は深いままのようです。

◆2018年12月11日 愛媛新聞
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201812110160?sns=2
ー愛媛豪雨災害 野村ダム放流説明をきく会 早期の避難周知をー

 【西予住民 市対応に質問相次ぐ】
 西日本豪雨で肱川(宇和川)氾濫により西予市で5人が死亡したのを受け、同市野村町野村の野村小学校体育館で10日夜、住民グループ主催の「野村ダム放流の説明をきく会」が開かれた。野村ダムの異常洪水時防災操作を知ってから避難指示を発令するまでの市の対応や今後の防災対策などに質問が相次いだ。

 被災者や遺族らでつくる「野村の未来を守る会」が開き、市民約140人が出席。避難指示の発令や周知、避難誘導の在り方や改善方法、支援制度など9項目を市に文書で質問していた。

 会は7月7日早朝の避難指示に関し、5、6の両日にもダム側が、市に越流の恐れがあり最悪の事態を想定するよう求めたとし「早く避難所開設や周知をしてほしかった」とただした。管家一夫市長は「雨の降り方を考慮したが、改善していきたい」と答えた。

 市担当者は「放流量に応じた浸水想定区域を把握していれば避難勧告など段階的対応ができた可能性もある」とし、避難の在り方の検討や訓練を進めると説明。放流量が毎秒300トンを超え、さらに増える恐れがある場合に避難勧告、異常洪水時防災操作の3時間前を目安に避難指示を発令する運用に変えたと述べた。

 来場者からは市に、ダム運用や被災者支援制度の見直しを国や県に強く求める意見が出た。会合後に自営業森原千代美さん(70)=野村町野村=は「二次災害の恐れを考え夜間に避難指示を出さなかったとの説明はある程度理解できたが、あれほどの水量を一気に放流した国には本当に腹が立つ。きちんと説明責任を果たしてほしい」と語気を強めた。

【国と県出席なく】
 10日の「野村ダム放流の説明をきく会」で、主催した「野村の未来を守る会」が出席を求めていた、野村ダムを管理する国土交通省四国地方整備局と県の出席はなかった。最終期限の12月3日までに「調整中」との理由で出席可否の返答がなく、仲介した西予市が6日夜に国と県が出席との意向を会に伝えたが、調整がつかなかった。会は再度、会合を開き国と県に説明を求めるとしている。

 会の和気数男代表によると、11月中旬に国と県に出席を要請していた。会は、事前に質問項目を関係機関に示し会合を進めることにしており、準備が間に合わないと判断、7日に国へ出席を断ったとしている。

 10日は開始直前に国と県の担当者が会場に訪れた。会は、国の回答が期限に間に合っておらず、準備もできないとして担当者に退去を求めた。国側は今後の出席要望を現時点で受けていないとし「1月に放流に関する検証に関し県や市と説明会を開くので参加いただきたい」とコメントした。

タイトル
◆2018年12月12日 毎日新聞愛媛版
https://mainichi.jp/articles/20181212/ddl/k38/040/544000c
ー西日本豪雨 肱川氾濫 西予市長、野村ダム規則読まず 説明会で回答ー

 西日本豪雨でダムの緊急放流後に肱川が氾濫した問題で、西予市の管家一夫市長が野村ダム(同市野村町)の操作規則を読んでいないことを明らかにした。同町の被災者らでつくる「野村の未来を守る会」(和気数男代表)が10日夜開いた説明会で、参加者からの質問に管家市長が回答した。

 ダムを管理する国土交通省四国地方整備局は、当時の操作について「マニュアル通り」と住民説明会などで繰り返し、操作の正当性を主張。回答を受け質問者は「マニュアル通りというなら市長も読んで勉強すべきではないか」と批判した。

 説明会では、避難指示のタイミングや住民への周知方法など、同会が提出した九つの質問に市が回答。避難指示について市は「ダムの放流量から浸水想定区域を把握していれば、事前に避難勧告を発令するなど段階的な対応ができた」とし、今後県が作成する浸水想定区域図をもとに避難のあり方を検討するとした。また放流量が安全に放流できる毎秒300トンを超える可能性がある場合は避難勧告を、今回実施した大規模放流をする場合は3時間前を目安に避難指示を出すよう運用を改めたと説明した。【中川祐一】