日本の流水型ダムとその問題点

 水問題研究家の嶋津暉之さん(当会運営委員)からの報告を紹介させていただきます。

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 最上小国川ダム建設差し止め住民訴訟の報告会が9月29日(日)に山形県新庄市でありました。
 「最上小国川の清流を守る会」は、最上小国川ダムの建設差し止めを求める住民訴訟を2012年に提起しましたが、今年7月30日、山形地裁は住民側敗訴の不当判決を出しました。この判決は事実と証拠に基づかない誤りが多く、到底認めがたい不当判決であるとして、同会は仙台高裁に控訴しました。

 9月29日の報告会は控訴審も含めて、最上小国川ダム問題についてのこれからの取り組みを話し合うものでした。私も参加し、「日本のダム反対運動の経過と現状」、「ダム等河川開発の裁判の状況」、「最上小国川ダムと流水型ダムの問題点」について報告しました。

 このうち、流水型ダムの問題点についての報告内容を参考までにお知らせします。

 「環境にやさしいダム」をキャッチフレーズにして流水型ダム(穴あきダム)が増えてきました。最上小国川ダムも流水型ダムです。
 以下の資料の通り、4基の流水型ダム(益田川ダム、辰巳ダム、西之谷ダム、浅川ダム)が完成し、さらに7基の流水型ダム(最上小国川ダム、玉来(たまらい)ダム、立野ダム、三笠ほんべつダム、矢原川ダム、大戸川ダム、城原川ダム〉がつくられようとしています。

 しかし、「環境にやさしいダム」というのは虚構であって、流水型ダムは実際には河川の自然環境に少なからぬ影響を与えることが予想されます。
 流水型ダムは上流と下流の連続性を確保できることを売り物にしていますが、実際はそうではありません。洪水吐きの下流側に、減勢工がつくられるのですが、減勢工の副ダムは水生生物の行き来を妨げる障害物になります。また、副ダムの上流側に形成される貯水域で水質が劣化することも予想されます。

 流水型ダムについてさらに心配されることは、大洪水時に流木や土砂などで洪水吐きが詰まって、洪水調節機能が失われてしまうことです。
 洪水吐きの吞み口の手前に鋼製のスクリーンを設置して、流木等の流入を防ぐとしていますが、山腹が崩壊したような大洪水時には、枝葉が付いた樹木が土砂とともに一挙に流出してくるので、鋼製スクリーンの表面は流出樹木や土砂で覆われて、閉塞してしまうことが予想されます。

当日の配布資料より
「日本の流水型ダム」 (以下の図をクリックすると拡大表示されます。)

「日本の流水型ダムの問題点」
 https://yamba-net.org/wp/wp-content/uploads/2019/10/1f5ef14a48fb9cc258ac01f012baa3c6.pdf

 最上小国川ダムは八ッ場ダムと同じく、今年度末に完成の予定で工事が進んでいます。
 当日の報告会の成果の一つは、最上小国川ダムがたとえ完成しても、その後も最上小国川をずっと長期間調査し、流水型ダムの影響を明らかにする活動を継続することが確認されたことです。
 日本で最も古い益田川ダムさえ、完成してから十数年しか経っておらず、その後、完成したのは辰巳ダム、西之谷ダム、浅川ダムですが、完成してからの年数が短く、流水型ダムの問題はこれから露呈してくると思われます。
 ダムがたとえ完成しても、その影響をずっと監視していく、このような活動が重要であると思います。