八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

国交大臣、八ッ場ダムを視察

 赤羽一嘉国土交通大臣が八ッ場ダムを視察したことをマスコミ各社が報道しています。
 八ッ場ダム上流の群馬県嬬恋村では、吾妻川の氾濫で人命こそ失われなかったものの大きな被害がありましたので、嬬恋村の被災地と合わせての視察だったようです。

 八ッ場ダム事業では現在、ダム湖周辺やダム堤の安全確認のために試験湛水を行っていますが、最も懸念される試験湛水と地すべり地などの安全対策について、国交省の現地事務所が大臣にどのような説明を行ったか触れている記事は見当たりませんでした。
 赤羽国交大臣がダムで犠牲になった地元に対して、「利根川の大変危機的な状況救ってくれた」と感謝の気持ちを述べたことを伝える記事が多い中で、朝日新聞群馬版は「今後、八ツ場を含めたダム群の効果の検証が必要との見方を示した」と伝えています。
 
◆2019年11月2日 TBS
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3820232.html
ー国交相が群馬・八ッ場ダムを視察ー

 赤羽国土交通大臣は2日午前、群馬県の八ッ場ダムなどを視察しました。

 八ッ場ダムは先月1日から水をためてダムの安全性を確認する「試験湛水」を行っていますが、台風19号による降雨では7500万立方メートルもの水がたまったということです。

 「たまさかだったと思いますけども、実験的なああいう状況でありましたので、(下流の)利根川の大変危機的な状況救ってくれたのは、感謝の思いでいっぱいでございました」(赤羽一嘉国交相)

 また、赤羽大臣は激甚化する災害への対策として、各地のダムそれぞれの許容量について、今後、検証を行う必要があると述べました。

◆2019年11月2日 テレビ朝日
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000168286.html
ー赤羽大臣が八ツ場ダム視察「危機的状況救った」ー

 台風19号で急激に水位が上がった群馬県の八ツ場ダムや橋が崩落した現場を赤羽国土交通大臣が視察しました。

 赤羽国土交通大臣:「利根川の大変危機的な状況を(八ツ場ダムが)救ってくれたというのは、感謝の思いでいっぱいだ」
 群馬県長野原町の八ツ場ダムでは、台風19号の大雨でダムの水位が54メートル上昇し、一時、ほぼ満水になりました。赤羽大臣は現地でダムの担当者から当時の状況や対応について説明を受けるなかで、八ツ場ダムが利根川の氾濫を防ぐのに役立ったとの認識を示しました。また、群馬県嬬恋村では吾妻川が増水し、国道144号につながる鳴岩橋が崩落するなどの被害が出て、復旧のめどは立っていません。嬬恋村の村長は、赤羽大臣に復旧のための費用や作業について国の早急な支援を求めました。

◆2019年11月3日 上毛新聞
https://this.kiji.is/563513794280899681?c=62479058578587648
ー八ツ場ダムと台風被害の嬬恋村を視察 赤羽国土交通大臣ー

 台風19号の豪雨災害を受け、赤羽一嘉国土交通相は2日、群馬県の吾妻川に架かる橋が崩落するなど被害の大きかった嬬恋村と、水をためて安全性を確認する試験湛水(たんすい)中の八ツ場ダム(長野原町)を視察した。同省職員や地元関係者から説明を受けて台風の爪痕が残る現場を歩き、「元気になったということを一日も早く伝えられるよう、復旧復興に取り組みたい」と述べた。

 八ッ場ダムでは豪雨で約7500万立方メートルもの水がたまったことなどについて説明を受けた。その後、嬬恋村に移動し、吾妻川の増水で鳴岩橋が崩落し一部が通行できなくなっている国道144号を視察。近くの田代地区では川の水が流れ込み、住宅に被害があったことが報告された。

 視察後に報道陣の取材に応じた赤羽国交相は、「風景を見ると息をのまざるを得ない。避難勧告で被害を最小限に食い止めた地元の皆さんに感謝したい」と語った。八ツ場ダムについては「利根川の危機的な状況を救ってくれた感謝の思いでいっぱい」と話した。

◆2019年11月3日 朝日新聞群馬版
https://digital.asahi.com/articles/ASMC22DLYMC2UHNB001.html?iref=pc_ss_date
ー「ダム群の効果検証が必要」国交相が八ツ場視察ー

 台風19号の大雨で一気に水がたまった試験貯水中の八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)に2日、赤羽一嘉国土交通相が訪れた。被災状況の視察の一環で、赤羽国交相は八ツ場の一定の治水効果を認めた上で、今回は試験貯水中で容量に余裕があったとし、今後、八ツ場を含めたダム群の効果の検証が必要との見方を示した。

 国交省の発表では、台風19号の影響で八ツ場ダムには計画上の洪水調節容量を上回る水が流入。さらにダムを実際に運用していれば、下流都県の利水のために水位を上昇させていた可能性もあった。

 赤羽国交相は「(八ツ場の)効果についての議論はあるが、八ツ場ダムを含む上部のダム群や、遊水地があって総合的に最悪の状況にならなかった」とする一方、「(試験貯水中で)今回はたまたま良かった」との認識を示した。「今回以上の台風災害の可能性もあり、一つ一つのダムの容量を検証していく流れになると思う」と述べた。

 赤羽国交相はこの日、大雨で大きな被害を受けた嬬恋村にも足を運んだ。「改めて自然災害の恐ろしさ、大変さを認識した。地元の要望を聞きながらしっかりと(対応を)進めたい」と話した。(丹野宗丈)

◆2019年11月3日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20191103/ddl/k10/040/111000c
ー台風19号 国交相が被災地視察 嬬恋村など「しっかり復旧を」ー

 赤羽一嘉国土交通相が2日、先月12日から13日にかけて県内に接近した台風19号の影響で崩落した国道144号の鳴岩橋(嬬恋村)などの被害状況や台風に伴う大雨で一気に満水近くまで水がたまった長野原町の八ッ場ダムを視察した。視察には山本一太知事も同行し、国交省関東地方整備局の職員や県職員などから被害や八ッ場ダムに関する説明を受けた。

 視察後、記者団の取材に応じた赤羽国交相は「改めて自然災害の恐ろしさや大変さを認識した。再発がないようにしっかりと復旧、復興を進めていきたい」と話した。八ッ場ダムについては「地元のさまざまな思いがあるダムが利根川の危機的な状況を救った」と語った。【西銘研志郎】

~~~転載終わり~~~

写真下=川原湯温泉街の跡もダム湖に沈んだ。伐採されずに残された樹木のてっぺんがわずかに見えている。2019年11月3日撮影。

写真下=ダム湖の上流端は、草津温泉の玄関口であるJR長野原草津口駅前。台風19号の大雨で運ばれた土砂が堆積し、吾妻川の川幅が狭まっている。11月3日撮影。