「災害は我々に追い風」 石木ダム意見交換会で長崎県課長

 長崎県と佐世保市が進める石木ダム事業では、ダム予定地に暮らす住民の家屋と土地の明け渡し期限が今月18日に迫っており、これまで石木ダム問題と無関係だった人々や団体からもダム反対の声があがっています。
 これに対抗するように、ダム推進派によるアピールも行われています。推進派議員らによる現地視察の際には、非公開の意見交換会で県の河川課長から、10月の台風19号による関東地方などでの甚大な水害はダム建設にとって追い風になるとの発言も飛び出したようです。
 
 洪水や水害を機に、流域住民の不安を煽り、少しでも安全性を高めるためにダムが必要だというアピールは、これまでもしばしば行われてきました。10月の台風19号の通過後は、八ッ場ダムでは試験湛水中に満水になったことがアピール材料となっています。
 石木ダムの建設目的は「川棚川の洪水調節」と「佐世保市の水道用水の供給」ですが、川棚川の洪水調節にとって石木ダムは役に立たず、佐世保市では水あまりが顕著です。

◆2019年10月25日 長崎新聞
https://this.kiji.is/560299091445908577
ー石木ダム行政代執行 回避を 反対派議連が県に申し入れー

  長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、超党派の「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」(代表・城後光波佐見町議)は24日、家屋の撤去などの行政代執行を行わないように求める申し入れ書を県に提出した。
 議連は強制収用に反対するため9月に設立。国会議員7人を含む県内外の議員計81人で構成している。
 この日は議連メンバーの県内議員16人が県庁を訪問。石木ダムがなぜ必要か納得できる説明がない中での行政代執行は「民主主義政治の根幹を揺るがす愚行」「基本的人権を踏みにじる暴挙」とする申し入れ書を、城後代表が県土木部の天野俊男次長に手渡した。中村法道知事の見解を伝えようとする県側に対し、申し入れ書を受け取る姿勢ではないとしてメンバーが憤る一幕もあった。
 面会後、城後代表は「ダムの推進、反対にかかわらず行政代執行はおかしいという立場で来た。(思いが)きちんと届くか疑問に思うやりとりだった」と話した。県側は申し入れ内容を中村知事に伝えるとしている。

◆2019年10月29日 長崎新聞
https://this.kiji.is/561735060565656673
ー「行政代執行をすべきでない」 長崎県保険医協会が声明ー

 長崎県保険医協会(本田孝也会長)は28日、県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業について「地域住民の健康状態をかんがみれば行政代執行を強行すべきでない」とする声明を出した。
 同協会は県内の医師・歯科医師1930人で構成。声明はダム建設予定地の住民の精神的ストレスは大きいと指摘し、「世論に耳を傾けながら住民との対話を行う」よう求めている。同協会の関係者は同日、県庁で県に声明文を提出し、同市や同町などに郵送した。

◆2019年10月30日 NHK長崎放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20191030/5030005854.html
ー石木ダム推進県議が現地視察ー

 川棚町に建設が進められている石木ダムをめぐって、すべての建設用地の明け渡し期限が来月18日に迫る中、30日、建設推進派の県議会議員が現地を視察しました。

 長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、ことし5月、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての土地の強制収用を可能にする裁決を出し、建物の移転などを伴う用地の明け渡し期限が来月18日に迫っています。

 こうした中、建設推進派の県議会議員10人余りが30日、川棚町を訪れ地元の川棚町議会議員や佐世保市議会議員と意見を交わしました。

 意見交換会は非公開で行われ、出席者によりますと、「事業採択から40年以上たっても工事が進まないのは問題だ」とか、「利水面ばかりに注目が集まり、治水面がないがしろにされている」などといった指摘が出されたということです。

 このあと、県議会議員らはダムに水没する予定の県道の付け替え工事現場を視察し、担当者から工事の進捗状況などについて説明を受けました。

 視察を終えた田中議員は、記者団に対し「議員があまりに無関心なので、現場を見て切実感を持ってほしかった。意見がまとまれば県知事に対し、来年度の本体工事着工に向け予算を編成するよう提案したい」と話していました。

◆2019年10月30日 テレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/news/20191030280356/
ー「50年は長すぎる、そろそろ結論を…」石木ダム推進派の議員らが現地で意見交換会ー

 東彼・川棚町の石木ダム建設をめぐり、推進派の長崎県議会議員や佐世保市の議員などが意見交換を行い、それぞれの立場で石木ダムの必要性を訴えました。

 川棚町で開かれた議員の意見交換会には、長崎県議会や佐世保市議会、川棚町議会の議員から約40人が参加し、石木ダムの早期の完成に向け意見を交わしました。

 長崎県は石木ダムをめぐる裁判や工事の状況などを説明すると、議員からは事業を急ぐよう求める声があがりました。

 長崎県議会石木ダム建設推進議員協議会 田中 愛国 会長 「(計画から)50年はちょっと長すぎるんじゃないかと、そろそろ結論を出して私ども議員としても行政にお願いしながら進めていく時期にきたんじゃないかと」

 石木ダムの完成時期は当初40年前の1979年度でしたが、度々延期され、9月には2025年度に改められています。

 川棚町議会の代表は町内の水害対策として治水の面からダムが必要だと強調しました。

 川棚町議会石木ダム対策調査特別委員 田口 一信 委員長 「もし治水のダムを造らないなら、利水単独のダムを川原に作るはずはないと思っている。あくまでも治水が基本」

 意見交換会は非公開で行われ、参加した議員は現地視察も行っています。

◆2019年10月31日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20191031/ddl/k42/040/219000c
ー石木ダム推進派視察 県議ら33人、早期完成の必要アピール 建設予定地住民とは面会せずー 

 県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダム事業を巡り、県議ら建設推進派の議員が30日、現地で意見交換会を開き、県道付け替え工事の現場を視察した。住民らの住む土地の明け渡し期限が11月18日に迫る中、早期完成の必要性をアピールした。

 推進派の議員は、県議会と佐世保市議会、川棚町議会の33人。川棚町中央公民館での意見交換会では、県の説明を受けた後で、それぞれの立場から意見を述べた。

 出席議員によると、佐世保市議からは「県が責任を持って行政代執行を」との要望が出され、川棚町議からは

◆2019年11月2日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20191102/ddl/k42/010/274000c
ー「災害は我々に追い風」 石木ダム意見交換会で県課長 ー

 県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業をめぐり、先月30日にダム建設推進派の県議らが開催した意見交換会で、県河川課の浦瀬俊郎課長が「災害は我々にとって追い風」と発言していたことが出席者への取材で分かった。

 浦瀬氏は、毎日新聞の取材に発言を認め、「自然災害が多発する中、一日も早く石木ダムを含め整備を進めていく必要があるという趣旨だった」と説明した。

 石木ダムを巡っては、水没予定地内で暮らす13世帯約50人の家屋などの明け渡し期限が18日に迫る。中村法道知事は話し合いを通じて事業に理解を求める考えを示している。

 県議、佐世保市議、川棚町議計33人の意見交換会は冒頭を除き非公開。複数の出席者によると、浦瀬氏の発言は議員らとのやり取りの中であり、その場でもたしなめる声が出たという。

 出席したある議員は「ダムは必要だが、台風19号などで多くの犠牲者が出て、避難生活を強いられる人たちがいる中で軽率だ。」と指摘した。
 浦瀬氏は「長崎水害後にも理解をいただいて、かなりの方に(河川整備のための)移転をしてもらっている。そうした観点から発言した」と語っている。【浅野翔太郎】