佐世保市、石木ダム推進根拠の水需要予測を7年ぶりに再評価するも・・

 佐世保市水道への都市用水の供給は、石木ダム事業の主目的の一つです。佐世保市は人口減少が顕著で、水需要も右肩下がりですから、石木ダム事業への参画は水道事業の経営を圧迫するだけなのですが、これまで過大な水需要予測を立てて、ダム事業への参画を正当化してきました。
 石木ダム事業の工期延長に伴い、佐世保市はダム事業に参画し続けるには厚労省から補助金を得るため、水需要予測について改めて再評価を行わなければならなくなりました。そこで、佐世保市上下水道事業経営検討委員会が1月23日に開かれたのですが、この委員会は架空の水需要予測を容認してしまいました。
 石木ダム事業はダム予定地の住民13世帯が不要なダム建設のために立ち退くことを拒否して、事業が行き詰っているのですが、委員会のメンバーは佐世保市水道と一体であるため、客観的な評価は最初から望めないという会議だったようです。

 石木ダムに反対している佐世保市の市民団体のブログです。

石木川まもり隊ブログ 
1月24日 「史上最低の再評価委員会!」 
http://ishikigawa.jp/blog/cat09/5784/

1月23日 「明日の再評価は中止すべきです!」
 http://ishikigawa.jp/blog/cat09/5767/

◆2020年1月24日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN1R627XN1RTOLB00H.html
ー水需要説明、委員「概ね了」 石木ダム再評価委ー

  長崎県佐世保市が県とともに川棚町に計画する石木ダムを巡り、市水道局は23日、利水面での事業再評価を「市上下水道事業経営検討委員会」(9人)に諮問し、初会合が開かれた。水需要予測について水道局から説明を受けた委員らは、「おおむね了」として、初日の審議を終えた。反対派は「公正な第三者委員会と言えない」と諮問中止を申し入れた。

 委員長の武政剛弘・長崎大名誉教授が委嘱状を受けた後、経営検討委員会(任期2年)の第7回目会合として始まった。

 石木ダム建設も織り込んだ今後10年間の、市の水道ビジョン策定をしたメンバーだけに、改めて武政委員長が「今回はゼロベースで予断を持たずに審議することが求められている」と切り出した。

 水道局は「(ダムなどの)貯水施設は、渇水時でも常時安定的な給水を確保することが水道事業の責務だ」と水道法の理念を強調したうえで、令和20(2039)年度の需要予測を5時間にわたり説明した。

 水需要の6割を占める生活用水については人口減が続いても横ばいで推移すると予測。理由は、何度も渇水を経験している市民は使用を控えているが、渇水の懸念がなくなれば人口規模が似た他都市並みに水が使われるとみなし、1人が1日に必要とする水量が39年度に18リットル(9・3%)増とし、人口の減少率とほぼ相殺されるとした。

 水需要の3割は業務・営業用水で、その大口需要であるハウステンボス(HTB)と、自衛隊(海自・陸自)と米海軍について説明した。HTBは曜日や天候、イベントの有無で一日平均使用量と一日最大使用量に4~5倍の開きがあるとして従来に比べ大きく見積もり、日に2708トンとした。

 自衛隊については防衛省の将来予測を踏まえ、具体的数値が示されない米海軍については過去最大の実績だった00年度をもとにした。

 水需要の1割の工場用水は大口が佐世保重工業。船の修繕で最も水を使う工程が、複数のドックで同時に起きた場合を想定していたが、今回はHTB以上に水需要に規則性がないとして5996トン(39年度)を見込んだ。従来より100トン弱増えた。

 用途別の説明が終わるごとに質疑があった。「水道法では渇水時でも必要な量を安定的に供給することになっているのに、水道局が節水を呼びかけるのは矛盾では?」「工場用水など推計値自体そのものは右下がりだが、右上がりになった時にこれで対応できるのか」など次々に水道局を後押しする発言が続いた。

 水道局は、39年度の計画取水量を計11万8388トンと算出、安定的に取水できる7万7千トンの差である約4万トンを石木ダムに担わせたい考えを示した。

「渇水起こらず 水足りている」 石木ダム予定地住人
 市の付属機関である経営検討委員会への諮問は妥当なのか。散会後の記者会見での問いに対し、水道局は「県の再評価も付属機関が担った」と述べ、第三者性には問題ないという見解を示した。「佐世保の水需要に理解がある方々が望ましい」とも述べた。

 石木ダム建設予定地に住む炭谷猛さん(69)は別室で傍聴した。「現実に渇水は起きておらず、水が足りているという現実が日々更新されている」と批判。支援者の女性は「HTBや造船業の変動幅の大きさを強調して個別に推計するなど水不足を創出しようとしている」と批判した。

 次回は2月。ダム以外の水源案などについて審議される。(原口晋也)

◆2020年1月24日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20200124/ddl/k42/040/202000c
ー石木ダム再評価委 水需要、市試算を了承 7年ぶりの事業検証 佐世保ー

  県と佐世保市が川棚町に建設を計画する石木ダム事業について、利水面で再評価する同市上下水道事業経営検討委員会の初会合が23日、同市役所で開かれ、市側が説明した水需要予測を大筋で了承した。ダム事業に反対する住民は「市は恣意(しい)的な数字で事業を正当化している」と反発、委員の人選についても「中立でない」と批判した。【綿貫洋、浅野翔太郎】

 再評価は、県がダムの完成時期を3年延長し2025年度にしたことを受け、事業継続が適切かを検証するもので7年ぶり。委員長の武政剛弘・長崎大名誉教授を始め、経済団体や公募委員ら9人で構成する。

 審議では、市の人口の推移やハウステンボスが目標とする来場者数70万人増などを加味し算定した水需要予測を市が説明。人口減少は続くが、今後20年間で市民1人の1日当たりの使用水量は「潜在的な需要を加味した結果」で約9・3%増加するとした。これらを根拠に2038年度には1日計画取水量が11万8388トンに達し、安定水源7万7000トンを差し引いた4万1388トンの新規水源が必要と総括した。

 委員からは異論はなく、市が提示した水需要予測を大筋で了承した。次回以降の委員会で代替案、費用対効果をテーマに審議する予定で、市は19年度中の答申を目指している。

「数字恣意的」「人選に偏り」 反対住民ら怒りと落胆
 検討委の会場とは別の一室では、ダム事業に反対する市民や、水没予定地内の住民ら約20人が、モニター越しに審議の様子を見守った。

 石木川まもり隊の松本美智恵代表=佐世保市=は、市の水需要予測について「小佐々、鹿町地区の水道事業の統合で水の使用量が増えるとしながら、両地区で現在使っている水源を統合後の市の給水量に合算しないなど、数字は恣意(しい)的だ」と疑問を呈した。また「石木ダム建設推進佐世保市民の会」副会長が検討委メンバーになっていることを「公平中立な人選と言えない」として諮問の中止を申し入れた。

 水没予定地内に住む炭谷猛・川棚町議は会議冒頭で、武政委員長が「フラットな立場で議論を」と言いながら、ある委員が「建設をよろしくお願いします」と発言したことなどに触れ「建設ありきで議論が進んでおり、あきれて開いた口が塞がらなかった」と怒りと落胆の入り交じった表情で話した。

◆2020年1月24日 長崎新聞
https://this.kiji.is/593266296822006881
ー石木ダム利水再評価で検討委初会合 佐世保市の水需要予測を了承ー

  長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、佐世保市水道局が進める利水面の事業再評価について第三者の意見を聴く、市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)の初会合が23日、佐世保市役所で開かれた。この日は再評価案のうち、2038年度までの水需要予測を審議。水道局は、安定的に取水できる水源量の不足を挙げた上で「新規水源確保が必要」と改めて主張。検討委は了承した。

 佐世保市は国の補助を受けるため、適宜の再評価を義務付けられている。昨年、県が工期の3年延長を決定。市は2012年度以来となる再評価を進めている。再評価のうち水需要予測を巡っては、ダム建設反対派が「過大」と疑問視している。

 検討委で市水道局は、水需要予測を「必要最小限の数字」と強調。全体の6割以上を占める生活用水は、人口が減る一方、全国の同規模都市と同様に1人当たりの水使用量が増えるため、ほぼ横ばいで推移するとした。

 生活用水以外についても横ばいから微増になると想定。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に関しては「使用水量が未確定」として含めなかった。

 渇水などの非常時の備えを含め確保しておくべき計画取水量は、1日11万8388立方メートルと推計。既存ダムなどの水源量は1日7万7千立方メートルにとどまり、新たな水源確保が必要とした。

 検討委は識者ら9人で構成。水需要予測の妥当性について、目立った異論はなかった。2月以降に石木ダムの代替案の有無や費用対効果を審議し、意見を答申する。

 傍聴は別室で受け付け、約20人が中継映像で審議を聴いた。ダム建設予定地の住民で、事業に反対する川棚町議の炭谷猛さん(69)は「直接傍聴させないのは不誠実だ。ダムありきで進めている」と批判した。

 検討委に先立ち、事業に反対する市民団体は、委員の中にダム推進団体のメンバーが含まれ、中立を保てないとし、市水道局に検討委の中止を申し入れた。

◆2020年1月23日 朝日新聞長崎版
https://digital.asahi.com/articles/ASN1Q3FWJN1QTOLB002.html
ー水需要どう再評価? 石木ダム巡り佐世保で会合ー

  長崎県と同県佐世保市が計画する石木ダム(同県川棚町)の利水面での事業再評価について市水道局は23日、市上下水道事業経営検討委員会に諮問、初回の会合が開かれる。委員会は、ダム反対派が疑問視する水需要予測、代替案の可能性や費用対効果などについて7年ぶりに審査し、年度内をめどに意見を集約する。

 市水道局は、再評価を自己点検と位置づける。建設予定地の住民たちは、第三者の視点で事業の必要性を根本から問い直してほしいと考えており、立場の隔たりは大きい。

 今回の再評価は、県が昨年、ダム完成時期を3年遅らせて2025年度としたことが、国の定める事業再評価の基準である「社会経済情勢の急激な変化」にあたると判断、実施を決めた。事業を点検し、「継続」「見直し(て継続)」「休止」「中止」のいずれかの結論を出す。

 石木ダムのように様々な事情で計画が進まない公共事業は原則5年に1度、計画が時代に合わなくなっていないか、国(厚生労働省)が事業者に「客観的で厳格な」再評価の実施を求めている。

 石木ダムを巡る市の再評価は、12年度以来7年ぶり通算5回目。厚労省は委員会の意見を踏まえた市の報告を受け、国庫補助を続けるかどうかを決める。

 1~3回目の再評価では専門家のほか公募委員からなる「再評価監視委員会」を設けた。だが今回は、前回に続いて常設の「上下水道事業経営検討委員会」(計9人)に諮問する。水道事業の経営計画などの策定に関わる機関だ。ダム反対派は「水道局と一体のメンバーで、事業を客観的に評価できる第三者とは言いがたい」と批判する。

 前回は1月に諮問され、計3回の審議で「継続」と結論づけた。当時の委員長から「(日程に余裕があれば)いろんな方々の意見を聞けたかもしれない」と苦言が出た。今回も同様の運びとなる懸念がある。(原口晋也)